全日本美容業生活衛生同業組合連合会(以下全美連・吉井眞人理事長)は5月10日(水)、東京・代々木の美容会館9階ホールにて第371回理事会を開催した。
 この日は理事会に先立ち、高齢や障害のあるお客様、美容室に来店できないお客様に対応するための知識・技術を身につける「ハートフル美容師」の養成に協力している一般社団法人シルバーサービス振興会事務局長の久留善武氏が、「地域包括システム之構築と高齢者の暮らしを支える美容サービスの発展可能性」と題して講演し、日本の人口構造と高齢社会が加速度的に進む中、それに伴う社会保障や介護保険制度の見直しの状況などを解説。団塊の世代が75歳に以上となる2025年までに都道府県、市町村単位で、医療、介護、予防、住まい、生活支援などを包括的に確保できる体制づくりが進められている状況を紹介しながら、美容業にも地域の高齢者のも見守りや生活支援サービスの担い手として参画が求められているとして、全美連としての検討と協力を訴えた。
 この後、理事会冒頭で挨拶した吉井理事長は、美容業界からの人材のドロップアウトの問題に触れ、美容が魅力ある職業となるよう養成施設や業界全体と協力して解決に当たっていく意向を示し、各組合でも地域に密着した形での貢献できるよう呼び掛けた。

 続いて、藤原國明副理事長を議長に理事会の議事は進行。各種報告事項、事業報告、各委員会検討事項、「ハートフル美容師養成制度」の見直し、5月25日に予定されている第74回通常総会提出議案などについて、説明が行われそれぞれ審議了承を得た。
 このうち報告事項のひとつとして、内閣府の国家戦略特別区域諮問会議が進めている追加の規制改革事項として外国人労働者の受入れが検討されていることに、美容業として反対する陳情を行っていることが説明された。同諮問会議が「外国専門人材の受入れなどによるインバウンド・競争力向上」のひとつとして、「クールジャパン・インバウンド外国専門人材の受入れ・就労促進」を掲げ、「技術・人文知識・国際業務」「技能」の在留資格の下で特区として審査等を行い、外国専門人材として就労可能とする方針を発表したことを受けてのもの。現在、外国人は日本国内の美容学校で「留学」資格で学び美容師免許を取得できるが、就労はできない。これを、特区で「技能」の在留資格として認め就労の道を開く方針が示されたことから反対の意向を示したもの。全美連では平成18年度にも、入管法改正の中で講じられた構造改革特別区域での外国人受け入れ促進に対し、国内の美容師供給が過剰にあるとして反対の決議を出しており、今回の陳情もその決議を踏まえてのものであることなどが報告された。
 この反対陳情の報告に対して、東京都の金内光信理事長が組合員の美容室で人手が不足している現状を説明し、東京都を特区として外国人受け入れを要望できないか訴えた。これに対して吉井理事長は、「業界全体としては美容師は供給過多であり、人手不足も東京に限ったことではない。それよりもまず労働環境の整備を優先すべき」と語り、報告事項についての案件となるため、今後、正式な議案とするかも含めて検討する旨説明を行い、了承を得た。
 なお、会議資料によると平成29年4月1日時点の組合員数は54,139人で、前年比1,643人の減少となっている。