大野道寛さんに聞く2 YouTubeで伝えたかったこと

「ユーチューバー美容師」として名前が挙がることも多い大野さん。インタビュー第2回は「ショートボブ専門美容師」としての認知を決定づけた動画制作について聞きました。

前回のお話はこちら→ 大野道寛さんに聞く1「個人ブランディング」修業時代

 

最初は顔出しにためらいがあったんです

 

――2020年に始めたYouTubeは、現在チャンネル登録者12万に迫る勢いですね。動画制作を手がけるまでは何を考えていましたか。

大野 それまでインスタとブログでの発信はしてたし、充分に集客には役立っていました。でも安心はしていなかったんですよね。同じことを続けていたら、少しずつ減っていくんだろうなと思っていました。そのあたりでネットに動画を投稿する美容師も出てきていて、『Lily』のスタッフでも、すでにYouTubeで結果を出している人達がいたんです。彼らに「大野さんもやりましょうよ」と誘われたんですが、最初は断っていたんですよ。これからは動画の時代だよなーと思っていたけど、怖いもののない20代の彼らと違って、僕は30代で。

――この年でYouTubeで顔出しして、というのは抵抗があったと言ってましたね。

大野 今はなんのためらいもなく「こんにちは、みっちーです」ってやってますけどね。そんな感じでためらいながら始めたんですが、当初は多くを望まず、細々と続けていこうと思っていたんです。でもやっていくうちに変わってきた。自分は美容師としてこれからどうしていこうかという考えが動画制作に反映してきたんです。オンラインサロンで学んできて、そういうことを考える脳みそが育っていたんですね。漠然と動画を作るのではなく、自分だったら何を伝えるべきなんだろう、どういう作り方ならたくさんの人に伝わるんだろうと考えるようになりました。このあたりは完全に木村のエッセンスが入っていると思います。

何をしても広がってしまう髪質をショートに。 コメント欄はカワイイ! すごい! という絶賛で埋まった。

――昨年のタンザニアハーフの女性をショートボブにした動画は、一般のニュースサイトにまで取り上げられるほど話題になりました。現在430万回以上再生されています。

大野 あの動画で僕のことを知ってくれた人がほんとに多くて。認知が一気に上がりました。「美容師さんってすごい」「さすがプロ」といったコメントもたくさんいただいて、お客様の予約も数か月先まで埋まってしまって。動画の作り方としては、ひとりの女性をかわいくしていくのをビフォーアフターで見せるという、それまでも同じ内容だったんですけどね。

 

人はストーリーを見たがってる

――苦労して動画を作るのですから、たくさんの人に見てもらいたいですよね。

大野 人が面白がるものってそんなに変わらないと思うんですよ。YouTubeだったら、メントスコーラとか、落とし穴に落ちるとか、そういう動画って昔からずっとありますよね。僕ら美容師が作るんだったら、やっぱり「こんなに変わった!」というビフォーアフターの面白さって、昔からずっと変わらずあるんです。

ただのビフォーアフターではなく、それぞれのストーリーから展開していく。大野さんのYouTubeチャンネルより

 

――インスタでビフォーとアフターを見せるのとは違いますか。

大野 動画の場合、途中のカットしているところも映ってるんで、どんどんかわいくなっていくのが見ていてわかる。ビフォーとアフターの画像だけを見せるより、一発勝負に近いリアリティがあって面白いんだと思います。

――他に動画のこだわりがあったら教えてください。

大野 ストーリーがあることですかね。単に髪を切って変わった、というビフォーアフターより、お客様が自分の髪とどうつきあってきたか、進学や就職の転機にヘアスタイルをどう変えたいと思っているのか、そういうストーリーも込みのビフォーアフターの方が刺さると思うんです。僕が中学生の頃見ていた「ビューティコロシアム」も、単に女性がきれいになるのを見せるんじゃなくて、その人の背景とかのストーリーがあったから面白かったんじゃないかな。

 

 

――今後の動画制作についてはどう考えていますか。

大野 僕の場合、YouTubeを比較的早めにスタートできたのと、それなりのクオリティを保てたこと、すぐやめるんじゃなくて続けてこれたのが良かったんだと思います。ただ、本当に動画は編集が大変で。最初は自分でやってたんですけど、睡眠時間が確保できなくて、これは本業に支障が出ちゃうなと。今はいい外注スタッフさんが見つかったので、自分は企画と撮影に専念して、編集はお願いしています。これから動画始めようとしている美容師さんも、編集作業は頼めるなら頼んでしまった方がいいんじゃないかなあ。あと、時代が変わればプラットフォームも変わります。今はYouTubeでやっていますが、世の中が変われば乗り物も変わるかもしれません。そういう変化に対応できるようでありたいと思っています。

 

次のお話はこちら→ 大野道寛さんに聞く3 カウンセリングだけでも受けたい美容師

 

prifile/大野道寛おおの・みちひろ

1985年生まれ、東京出身。山野美容専門学校卒業後、表参道のトップサロンにて10年勤務。その後フリーランスとしてマンツーマンで顧客を担当する。20代よりショートスタイルの評価が高かったが、現在は「ショート・ボブ専門美容師Ⓡ」を打ち出し、ヘアスタイルに悩みを抱えた女性たちの希望をかなえている。そのサロンワークの様子を収録した動画は自身のYouTubeチャンネルにて公開され、多くの視聴者が美容師の力を再確認することになった。チャンネル登録者数は現在12万人に迫っている。2021年には木村直人さん、田中亜彌さんと新ブランド『devoted』を立ち上げ、新たな展開を図っている。

 

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