外国人美容師育成事業、監理機関に役員派遣理事2名を予定
第389回理事会/全美連

全美連(吉井眞人理事長※吉は土に口)は10月27日午後12時半から、都内千代田区のホテルニューオータニで第389回理事会を開催。「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業における監理実施機関への役員派遣」に関する付議事項等が審議され、東京都美容組合が監理実施機関を目指して設立する一般社団法人に、全美連から役員を派遣する事などを承認可決した。

議事に先立って挨拶した吉井理事長は「コロナ禍という大変な事態を迎えて2年になろうとしているが、美容業界においても様々な影響が出てきている。それに伴う業態の変化も起きているようだ。コロナに関しては分かってきたことも多いので、出張美容を含む今後の営業の在り方などについて皆さんの意見を聞きながら前に進めていきたい」と語った。

議事は藤原國明副理事長の議長で進められ、初めに各委員会の進捗状況が報告された。この中で井手口宥公組織強化・広報委員長は、9月9日に開催された第2回組織強化・広報委員会について「脱退防止策や新規加入者獲得策など各県の取り組みを発表してもらったが、どこも組合員の減少に歯止めがかかっていない。これ以上の減少は連合会の組織運営にも影響を与えかねない。組織強化は今や喫緊の課題だ」と危機感を訴えた。同委員会では、11月から全国6地区で開催を予定しているブロック会議で組織強化の重要性を改めて訴えていく考え。

連携事業・デジタル化推進委員会の白川徹委員長は、①産学連携就職情報交換事業、➁サロン間における連携事業、③美容業界におけるデジタル化推進等について報告した。このうち①については昨年度から全国47都道府県で実施されており、この6月からは学生が各サロンで採用面接を受けているという。このため委員会では引き続き(公社)日本理容美容教育センターと連絡を密にしながら同事業を推進していく。

また、③についてはデジタル化作業の担当分野を全美連、各単組、両者別に分けたうえで、全美連としては高い有効性が期待できる「ペーパーレス化」から取り組むことになった。具体的には、全美連があらゆる資料、情報等を文書ではなくメールで各単組に送ることによって、各県理事長も情報をスピーディーに確認・共有することが可能になるという。これを実現するため端末のタブレットを各県に配布するなどインフラ整備も進めていく。

一連の措置について白川委員長は「デジタル化によって各理事は全美連からの情報発信にアクセスが容易になるだけでなく、組織運営の業務効率化や通信費等のコスト削減がはかれる。デジタル化には情報の取り扱いに関するルールづくりも必要なので併せて検討していきたい」と期待感を示した。

■外国人美容師育成事業
続く付議事項の「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業における監理実施機関への役員派遣」に関しては事務局から提案理由が説明された。

それによると、外国人美容師の就労については、第48回国家戦略特別区域諮問会議(令和2年12月21日)において「クールジャパンの推進やインバウンド対応のため、日本の美容師免許を有する外国人材を育成する特別制度の創設に向けて令和2年度内を目途として所要の措置を講ずる」ことが決定しており、関係省庁(内閣府、出入国在留管理庁、厚生労働省)において協議が行われ、令和3年4月28日の意見交換(パブリックコメント)を経て令和3年7月30日に「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領」が公表されている。

現在、就労が認められる育成機関(美容サロン)は東京都内に限られるため、東京都美容組合(金内光信理事長)が中心となって一般社団法人を設立し、監理実施機関として東京都から認可を受けるための作業が進められているという。

この一連の作業において全美連が役員派遣の要請を受けているというもので、事務局からは国家戦略特別区域外国人会議合同会議の「東京都提出資料」および「東京都提案参考資料」等で理事によるフリートークが行われた第377回理事会(平成30年10月)から、国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領が公表され各県組合に通知(令和3年8月)されるまでの外国人美容師の就労に関する一連の作業経緯も報告された。

質疑では埼玉県の高野春夫理事から「外国人美容師の就労が時代の流れであることはある程度理解できるが、連合会から役員を派遣する場合の財源はどうするのか。また、今は就労エリアが東京都内に限られているとはいえ、将来全国に広がることも懸念される」といった意見が出された。これに対し東京都美容組合の金内理事長は、監理実施機関の理事構成について「最終確定ではない」とした上で「約10人前後を考えている」と答えた。

メンバーには東京都美容組合、全美連のほか養成施設や流通部門、一般美容室の代表者等を考えているという。また、財源については「会員制度をとっていくのでこの機関に参加する東京都美容組合をはじめとする団体等が負担することになる」との考えを示した。

いっぽう、吉井理事長は外国人美容師の就労が東京都だけに留まらず全国規模で展開されるのではとの心配に対して、この外国人美容師育成事業が政府のクールジャパン施策に基づいていることを強調し「日本で学んだ美容の良い部分をそれぞれの国に持ち帰ってもらい、現地での美容室展開や設備、薬剤等の調達時に日本での就労経験を活かして欲しいというのが趣旨で、美容師といっても実務実習生のイメージが強い。現段階では、2022年4月に美容学校を卒業後東京都内で勤務する予定者は約30名と考えている」と説明した。

吉井理事長は更に外国人美容師育成事業の制度概要にある「監理実施機関」「育成機関」「外国人美容師」等の各要件が非常に厳密で厳しいことにも言及した。

例えば、監理実施機関の要件としては「事務遂行体制の確保、財産的基礎、無料職業紹介許可の取得、非営利法人、苦情相談窓口の設置、欠格要件の非該当」、また外国人美容師の要件としては「美容師養成施設での知識・技能の修得、成績優秀・素行善良、美容師免許の取得(見込みを含む)、日本語能力試験N2相当以上、満18歳以上、日本式の美容に関する技術・文化を世界に発信する意思」等が挙げられている。理事長は「どこのサロンでも安易に受け入れられるような要件ではない」と述べて懸念を払拭した。

吉井理事長はまた、全美連から監理実施機関に役員を派遣することの必要性についても触れ「将来的に他県から外国人美容師の就労問題に関して全美連に問い合わせがあった場合、この事業に実際に携わって得られた適格な情報が提供出来るという意味でも派遣の意義は大きい」と述べた。

■美容師養成に係る検討会
付議事項2号議案の「美容師の養成に係る検討会(仮称)への対応」に関する件は、事務局の説明によると今年の7月に「規制改革推進会議第18回投資等ワーキンググループ」が開催され、出席した全美連、(一社)日本美容サロン協議会の代表、厚生労働省担当者らによって①美容師国家試験制度、➁実務実習制度、③外国人美容師に関する就労、④美容師の働き方改革、⑤新型コロナウィルス対応等のテーマについて議論がなされたという。

その結果、①および➁の論点に関しては、美容師養成施設から出ている「美容師資格取得後に至るまでにどのような知識・技能が確保されていくべきか」という視点に立って、現行の仕組みに必要な改善策を検討する検討会を厚生労働省が設置し、本年度末に一定の結論を得る予定になっているという。

これに対し理事から「会議ではまつ毛エクステを美容師国家試験科目にしてはどうかとの要望が出たようだが」「同ワーキンググループの議事録では美容学校の必要性も問われている」等の質疑があった。

吉井理事長は「そうした意見や要望が出ていることは事実」としながらも、厚生労働省が設置する検討会はまだ開催されていないこと、現行の免許制度や業務独占は堅持された中での検討会であることを強調し「まず必要な調査を行いその結果を踏まえてより良い養成方法を検討していくことになる」と答えた。同検討会への対応および参加メンバーについては理事長に一任された。

なお、当日は議事に先立って「第23回作文コンテスト」入賞者の表彰式が行われた。全美連が厚生労働省の後援を受けて毎年行っているもので、今回のテーマは「美容師から世の中への提案」。全国から60点の応募があった。表彰式では、最優秀賞に選ばれた岩見吉記さんに厚生労働省医薬・生活衛生局の成松英範生活衛生課長から厚生労働大臣賞が、また吉井理事長から賞金の10万円が贈られた。

成松課長は挨拶でコロナ禍における美容業界への影響、美容師養成問題などについて触れ「感染が少しずつ落ち着いてほのかな光も見え始めているが、予断を許さない状況に変わりはない。厚労省が設置する『美容師の養成に係る検討会(仮称)』では全美連にも加わってもらい、美容業をより発展させていくという視点に立って会を進めていきたい」と語った。作文コンテストの審査結果は次の通り。

▼最優秀賞=岩見吉記(奈良県)▼優秀賞=川畑一弥(大阪府)、村橋哲矢(東京都)▼入選=石川隆行(東京都)、入矢武士(岡山県)、梶田悠介(大阪府)、黒田百合七(千葉県)、三谷健吾(鳥取県)

1議事に先立って挨拶する吉井理事長

2挨拶する厚労省の成松生活衛生課長

3外国人美容師育成事業の監理実施機関について説明する東京都美容組合の金内理事長

4作文コンテストの表彰式で厚労省の成松課長から

最優秀賞の岩見さんに厚生労働大臣賞が贈られた

5議事のもよう

(取材:小牧 洋)