PEEK-A-BOO 福井達真さんに聞く10の質問 前編
今、最もホットなヘアデザイナーが語るクリエイションについて

注目のヘアデザイナーに、クリエイションについてお聞きする企画。第4回目は、現在発売中の月刊『SHINBIYO』4月号「ORIGINAL DESIGN」企画にて、作品をつくっていただいた『PEEK-A-BOO』福井達真さんにご登場いただきました。大胆さと繊細さを併せ持つカット技術により、常に新しい作品をつくりつづける福井さんのクリエイションに迫ります。今回は、前編となります。

Q1.デザインは煮詰めていく派ですか? ひらめき派ですか?

ざっくり言うと、両方ですね(笑)。途中途中で「ひらめき」を利用しつつ、最終的には「煮詰めて」いく感じでしょうか。ゼロからは生み出せないので、最初は、とにかくいろいろなことを考えます。日頃見たものや感じたもの、サロンワークで生まれた気になることなどをベースに考えていくんですが、とにかくずっと考え続けて、寝る時も夢に出てくるくらい考えます。ちょっと違和感を与えたいなとか、非日常のテイストを入れたら面白いかなと考えているうちに、こうしたらいいんじゃないか、というアイデアが降りてくる。それをまた具体的に考えていくうちに、また「あっ」と思いつくときがある、という繰り返しで、最終的に作品を煮詰めていくという感じです。

SHINBIYO2019年4月号より『ORIGINAL DESIGN』 超ミニマム 

クロップ(刈り上げ)を4作品全てに、さまざまな形で取り入れた作品。短く切り込みつつも、長短それぞれのデザインで「超ミニマム」なバリエーションを展開している。

Q2.ヘアデザインは、どのように考えていきますか?

「表裏一体」というか、「相反するもの」を入れ込むことが、僕の作品づくりの基礎、もしくはテーマになっています。例えばクールなテイストに仕上げたいときには、クールとは逆のフェミニンな要素も入れる。ウエットという質感がテーマだとしたら、ドライな質感のことも同時に考えていく。そのバランスが5:5ということもあれば、7:3ということもあるんですが、自分が心地いいと思うバランスを追求することで、全体の調和を取ろうとしているのかもしれません。

Q3.そのバランス感覚こそが福井さんの個性と言えそうですが、その個性はどうやって生まれたのでしょうか?

「あの人はどうしてこういう良いデザインを考えられるんだろう」とか「この人はこんな部分がズバ抜けてすごい」などの視点で、いろいろな美容師さんたちを見て来たことは大きいと思います。『PEEK-A-BOO』にも個性豊かな先輩がたくさんいるんですが、皆、『PEEK-A-BOO』という同じ枠の中にありながらも、それぞれの色が濃かったんです。そんな先輩たちに対して、自分の強みって一体何なのだろうと模索してた時期が僕にもありました。20代後半の頃です。他が不器用でも、何か一つ飛びぬけて輝くものがある、それが個性であり強みだと思うんですが、その当時の僕は「何でもそれなりにはできるけど、これってものがないよね」という、いわゆる器用貧乏。色が薄いというのは自分でも感じていました。でもあるとき、5つの項目があるとして、一つ一つは小さくてもバランス良く5つある、というのも、一つの個性なのかなと気付いたんです。自分の持つオールマイティなバランスをいい感じで高めていけばいい、そんな風にシフトチェンジしたことで、自分なりの強みを見つけられた気がします。

SHINBIYO2015年1月号より 『HYBRID BEAUTY』 コンクリート×JAPANESE

「2つのものを組み合わせる=ハイブリッド」という手法を用いて、新しい創造を行うデザイン企画。このときは「コンクリート」という直線的、重さ、硬さといったイメージを「JAPANESE」の持つしなやかさや柔らかさといったイメージと掛け合わせて、独特な浮遊感を表現した。

Q4.理想の女性像、福井さんの表現したい女性像は?

依頼をいただく作品のテーマや、その時々のつくりたいものにより、クールなテイストもあれば、めちゃくちゃフェミニンをつくったりすることもあります。ただ、自由なテーマで良い場合などでは、ちょっとカッコイイ感じや、クールなテイスト、芯がしっかりしている女性像というのは意識しているところですね。

Q5.モデル選びのこだわりは?

髪型を好きにさせてくれる人(笑)です。顔のパーツが整い過ぎていると、「美人」というほうが勝ってしまいがちですよね。僕らの仕事は、髪の毛の表現で印象を変える額縁づくりのようなものなので、個性ありきの方のほうが、額縁もいろいろと試せて面白いと思います。一度撮影をさせていただいた方にお願いすることもありますね。業界誌などのちょっと踏み込んだデザインにする際などは、信頼関係がないとなかなか難しいので、一度切らせていただいたり面識があるというのは、すごく大きな決め手にもなります。その点でも、信頼関係を構築することは、とても大事に考えていますね。

今回はここまで。来週の後編では、福井さんの撮影現場の様子や、クリエイションのヒントなどもご紹介します。お楽しみに!

PROFILE 福井達真/ PEEK-A-BOO

ふくい・たつまさ 1973年生まれ、京都府出身。ル・トーア東亜美容専門学校卒業後、『PEEK-A-BOO』に入社。現在、アートディレクターを務める。ユニーク且つバリエーション豊かなデザインを生み出し続ける気鋭のデザイナー。