コレクション170丁から 珍しいシザーベスト3
シザー&カットマニアの齊藤さんが解説!

シザーを170丁以上所持し、それぞれを独自に掘り下げて研究されているシザー&カットマニアの齊藤広晃さん(salon de coiffure Le reve)に、ご自身のコレクションの中からお気に入りの珍しいシザーベスト3をお伺いしました!

コレクションのシザーはすべてが大切なもので、甲乙をつけるのは難しいとのこと。今回は、「内切りも外切りもできる!」をテーマに(※)、フレキシブルにカットを変えられるシザーをチョイスしていただき、お話を伺いました。

★お気に入りシザー1丁め

「ハンドルがくるくる回る

 “ヌンチャク”シザー」

親指部分が回る、珍しいタイプのシザー。指をはめてくるくると回せるので、僕は「ヌンチャク」と呼んでいます(笑)。内切り、外切りどちらを行う際も、シザー側が手に合わせて動いてくれるところがお気に入りポイントですね。

ハンドルの親指側、薬指側、刃と全てオーダーメイドなので、それぞれ自分に合うものをチョイスして組み合わせて形にしていただきました。パーツはほとんど削り出してつくっているそうです。ハンドル部分の皮加工も手が滑りづらくていいし、カッコいいでしょ(笑)。3、4年前に岐阜にあるシザー工場でつくってもらったもので、全部合わせて確か18万円くらいだったと思います。

★お気に入りシザー2丁め

「親指を入れるところが上下に移動する、

 ドイツのアンティークシザー」

静刃側のリングが可動式なので、ハンドルをメガネタイプにもオフセットタイプにも変えられるのが特徴。持つ人の手の大きさに合わせて、ちょうどいいところを狙って調節することができます。薬指以外の指を入れて持つこともできて、すごく自由なシザーです。

ちなみに、小指を入れている状態だと外切りが切りやすく、薬指を入れた状態だと外も内も切りやすい。中指になると内切りやチョップが切りやすくなり、さらに人差し指を入れた状態だとチョップやチョコチョコ細かい部分の繊細なカットが自由に切れるようになります。

数年前にネットで「祖父の形見のシザーをお譲りします」と出回っていたのを見つけ、一目惚れで購入しました。5万円くらいでお譲りいただいたように思います。

ドイツの刃物ブランド「ゾーリンゲン」製で、6~70年前のものだそう。アンティークですが、僕はサロンワークでも現役のシザーとして使っています。ただし、ドイツ製ということもあり、軟毛向きという特徴があるため、一般的な日本人の髪質の方をカットするにはあまり向いていないかもしれません。柔らかい髪質のお客様に繊細なカットを行いたいときに活躍してくれていますね。

★お気に入りシザー3丁め

「フェラーリのデザイナーがつくった、

 イタリアの容姿端麗シザー」

フェラーリのデザイナーが理美容シザーをつくったという情報を聞きつけ、すぐに調べてイタリアのメーカーのサイトから購入しました。イタリアは車もそうですが、「見た目さえ美しければ、多少乗りづらくても気にしない!」みたいなノリがあるので、このシザーもルックスの美しさを最優先してつくられたものだと感じます。

ただし、決して使いづらいということはなく、すべての角を丸く削っているためお客様の肌や自分の手に当たってもストレスが無いなど、実用性も考えられているのが特徴。独特なハンドルの形状で、内でも外でもどちらでも切りやすいですね。とても切れ味が良く、日本人の髪も難なく切れます。スーパーカーのような鋭い切れ味ですね(笑)。

ただ、欧米人の手に合わせてつくられているために重量感があり、日本人女性にはやや不向きかもしれません。これは日本円で6万円くらいだったと思います。僕、シザーを買うとき値段をあまり見ないんですよね。気をつけないととは思っているんですが…(笑)。

シザーやカットのお話になると、熱量がすごい齊藤さん。並々ならないシザー愛を感じました。「SHINBIYO」8月号でも、「経営とサイエンス」2018年9月号でも、齊藤さんにご登場いただいている企画があります。気になる方はぜひチェックしてみてください!

(経営とサイエンス2018年9月号より)(SHINBIYO8月号より)

齊藤広晃(salon de coiffure Le reve)

さいとう・ひろあき 1978年生まれ、大阪府出身。大阪市内やパリなどの店舗を経て、2006年枚方市内に『salon de coiffure Le reve』をオープン。サスーン系、フレンチ系カットのサロンで相次いで働いた経験から、流派にこだわらずカットの奥深さにのめり込む。同時にシザーへの興味も深め、収集すること170丁以上。カットとシザーの因果関係の研究に一人没頭する。現在は、そのマニアックな知識を活かし、美容師の体を守るために必要な正しいシザー選びの知識を広めるべく、雑誌取材、セミナーなどでも活動中。お店は本人含めスタイリスト3名。現在、齊藤さんの予約は6か月先まで埋まっている。

https://www.hasaminokoto.jp

(※注)シザーには、それぞれ得意分野があります。簡単に分類すると、ハンドルがメガネタイプのものはブラントの内切りやチョップカットがしやすくできていて、オフセットタイプのものは外切りに向いています。普段お客様をカットする際、どの切り方の割合が高いかに合わせてシザーを選ぶことで、腱鞘炎を防ぐことができると齊藤さんは提唱しています。詳しくは「経営とサイエンス」2018年9月号の齊藤さん監修企画をご参照ください。