20代で下町に出店・小さなサロンに人が集まる理由
dolls/東京都台東区

美容師のキャリアで、独立は大きな目標であり、ターニングポイント。今回ご登場頂くのは、20代で開業したお二人の女性美容師さんです。開業するにあたり、出店先に選んだのは東京都台東区谷中の面積6.3坪の物件でした。都内の中心地へ出店を目指す方が多い中で、なぜ下町に?そして今では、地元だけでなく遠方からも幅広いお客様が集まるように。お二人にお話を伺い、幅広い層の顧客に愛される理由を紐解きます。


サロン:dolls
オーナー(共同代表):山本佳代さん(福島県出身),上條佳恵さん(長野県出身)
都内1店舗勤務時代に同期だった2人により2011年、谷中にオープン。

なぜ下町・谷中に出店?|スタート時の思い

Q.お二人とも美容学校入学を機に上京し、その後は都内のサロンに勤務されていましたね。独立する時は都心への出店に憧れを持つ方が多いかと思いますが、なぜ下町・谷中を選んだのですか?

A.「谷中が好きな町だから」ですね。二人別々のタイミングで谷中を訪れていたのですが、商店街で買い物をしていても、店員さんが気さくで、他所者の私達にも仲良い友達に話しかけるみたいに自然体なんです。それが素敵で、次第に自分たちも「こんな風に自然体な美容師になれたらな」という憧れを持つようになって、谷中に出店を決めました。

Q.どんな経営計画を立てて独立・出店に臨んだのか、教えて下さい。

A.それが、経営計画というのはほとんど考えていなかったんです。二人とも作家さん(イラストやインスタレーション)が好きなので、好きな作品を飾るギャラリースペースがあって、お客様に楽しんでもらう「美容だけに捉われない空間」をつくりたいという理想からスタートしました。なので、「家賃と材料費さえ払えれば・・・」という感覚でした。自分たちの給料のことも考えず(笑)

6.3坪という面積が有利に

谷中で理想の空間づくりを実現した二人。「例え少ないお客様でも、自分たちが心を込めて、楽しんで接客したい」そんな願いと共に、スタートした当初は、地元の人が少しずつ利用するように。そこで6.3坪でセット面は2つという決して広くない空間が、意外にも有利に働きました。二名のお客様で満員になったサロンの様子が、商店街を通る地元の人たちに「この美容室、流行っているんだ」という印象を与えるように。次第に地元のお客様を獲得していくようになりました。

理想の空間がコミュニティに|どんどん広がる顧客の輪

サロンに設けたギャラリーがアート好きなお客様の評判を呼び、作家活動する方も来店するようになりました。次第にお客様は地元だけでなく、遠方からも訪れるように。お客様にとっては、美容以外にも作品鑑賞という来店動機ができるので、ギャラリースペースがファンづくりに役立っています。

Q.最近では、映画鑑賞会も開催されていますが、これはどんなきっかけで始まったのでしょうか。

A.偶然、当店で席が隣同士になったお客様が映画好きで、その場で意気投合したんですよ。それで、サロンの2階で映画会を開くことにしたんです。10名入れば一杯になるスペースで、お客様がセレクトした映画を観賞するようになりました。

Q.初対面のお客様同士が意気投合して、映画会まで開くようになるというのはすごいですね(笑)

A.ギャラリースペースのおかげで、以前からサロンで知り合った作家好きのお客様同士の「交流の場」になっていたのですが、映画まで幅が広がるとは思いませんでした。

Q.SNSで趣味の合う人や友達を見つける時代、美容室がオフラインで「人と人がつながり、交流する場」になっているのはユニークですね。映画会をスタートして何か変化はありましたか?

A.映画会に来場して、「初めて当店のことを知った」というお客様と知り合えたことですね。

顧客の輪が広がり、新規のお客様との出会いにつながっている『dolls』。サロン経営は順調ですが、今でも自分たちのペースで仕事を楽しむことを最優先にしています。予約は二人で1日合計10名から12名に調整。美容とギャラリー空間の両立があってこその『dolls』。忙しさでサロンらしさが崩れないようにすることが、お客様を飽きさせない秘訣だからです。