人材不足を解消する“ジュニアヘアドレッサーズスクール”の取り組み 
子供たちに仕事の楽しさを伝える美容塾/アジアビューティサービス

なり手がいないなら育てればいい
人材育成の新たな仕組みがサロンを救う

福岡県行橋市にある美容室『ZERO GROUP』では、6年前から「ジュニアヘアドレッサーズスクール」という美容の塾を週2回(木・金)開催している。

対象は小学生から高校生までの子供たち。学ぶのは、カット、ワインディング、ヘアカラー、シャンプー、メイク、スタイリングと美容の主たる技術で、教えるのは同サロンの代表・久保義明氏とスタッフだ。

すでに、塾で学んだ子供のうち数名が同サロンの社員として入店しているのだという。なぜ美容の塾を始め、どういう教育をしているのか、塾開催日にお伺いし、話を聞いてみた。

    CONTENTS
    ・ジュニアヘアドレッサーズスクールを始めた理由
    ・ジュニアヘアドレッサーズスクールの教育方針
    ・ジュニアヘアドレッサーズスクールで使用するトレーニングツール

ジュニアヘアドレッサーズスクールを始めた理由

免許を取って入社した人の95%が辞めてしまった…だから子供の時から教えようと

夕方6時前、学校から、あるいは自宅から子供たちが集まってくる。下は小学2年生、上は高校3年生と幅が広い。伺った日は9人の生徒さんが集まった。週2回教えて、月謝は2,000円というのだから、ボランティア活動に思える。

「ジュニアヘアドレッサーズスクール」を始めた理由について、『ZERO GROUP』代表の久保氏はこう語る。「美容学校から入った人が入っては辞め、入っては辞めの繰り返しでした。免許を持って入ってくるから、プライドがあるというか、一から純粋に学ぶことができないんだろうとなと思って、それじゃあ、自分で子供のうちから育てたほうがいいと考えて、スクールを始めたんです」

これまでにスクールに通ったことのある子どもは、30名ほど。現在、そのうち6名が社員として『ZERO GROUP』に採用されている。

ジュニアヘアドレッサーズスクールの教育方針

カタチや感性は子供が持っている。教えるのは基本動作だけ

取材で訪れた日は、初心者は「PORICA」というペーパーや毛束を装着できるウイッグを使って、中堅以上は通常のウイッグでカットの練習をしていた。

先生によるデモンストレーションなどなく、塾が始まると生徒は思い思いに切り始めた。

「スタイルとか、カタチとかを前提にしたトレーニングはしません。カタチから入ると教える側の感性を言いやすく、その子の持っている感性が伸びてこないんです。その子の持っている感性を伸ばして、それを僕がパクる(笑)。

教える側がカタチから入り出すと、できる人の目線で話をしてしまうので、子供たちにとっては自分はできないできないになってしまって、伸びる子も伸びなくなってしまう。だから、スクールで教えることは、足の運び、身体の位置、肘の使い方、手の使い方といった基本動作だけなんです。正確な仕事ができるようになるための基本動作だけです」

写真下で、久保さんがチェックしているのは、小学校6年生がカットしたグラボブ。この目で一部始終を見ていたので、フェイクではない。子供はもともとその子にしかない感性を持っている。このグラボブを見て、それは確かなことに思えた。

ジュニアヘアドレッサーズスクールで使用するトレーニングツール

正確な仕事ができたかを見極められる教材が必要

スクールでは基本動作トレーニングを「PORICA」で行う。「PORICA」は、頭部に板やペーパー、毛束を装着できるため、正確な仕事ができたかどうかを見分けやすい。一方、通常のウイッグだと髪の量が多く、見分けにくいのだという。

また、ペーパーや毛束が装着できるということは、初期のトレーニングコストが抑えられるというメリットもある。毛束として装着するのは、特殊加工された毛糸をパネル状にしたもの。加工技術により繊維によるひっかりがなく、また熱を加えて加工することができるので、アイロン技術のトレーニングにも活用できる。

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トレーニングウイッグの詳細はこちらから        

経営とサイエンス 10月号掲載

Shinbiyo.com