前回、同名のタイトルで書いた記事が好評で、調子に乗ってその第2弾を書いています!
酸性パーマや酸性ストレートは、髪の等電点に近い酸性だから、髪に優しいと言われているようです。でも、しっかりと還元はするわけですから、それなりのダメージはあるんです。「酸性=傷まない」は大きな誤解! しかも、最近では「エステルビビり」と呼ばれるダメージによるトラブルも起きているようです。
酸性パーマや酸性ストレートのダメージがエステルビビリと呼ばれるのは、酸性の施術で使用される代表的な還元成分の特性が関係しています。
酸性と言えば、スピエラ®とGMTの2つですよね。これら2つは、実は、「エステル」と呼ばれる油性に近い成分なんです。そう、だから、酸性施術のダメージをエステルビビりと呼んだりするわけです。
この記事では、スピエラ®とGMTを総称し、便宜的に「エステル」と呼ばせていただきます。
『SHINBIYO』2月号の第2特集では、このエステルビビりの原因のひとつとである「エステル残留」という問題について、その回避法をご紹介しています。こちらは、エステルが油性に近い特性を持つことを利用し、なるべく残留しないようにする画期的なメソッドです!
しかし、エステルビビりなどの酸性施術特有のダメージを回避するには、エステル残留以外にも、もう一つ注意すべきことがあります。それは、「酸化不足」。
酸化ということは、2液のプロセスの前後に何か問題があるということ?!
実は、今、発売の『SHINBIYO』3月号の第2特集では、この「酸化不足」をフォーカスし、酸化不足をなくすための秘策をご紹介しています。
「酸化不足」問題の回避法を提案してくれたのは、このお二人。
『WECO BASE』の森 祐也さん(左)と、『Natural』のYOSHIさんです。
撮影当日は、森さんのサロンをお借りし、森さんとYOSHIさんの技術交流会さながらの、少しピリッとした雰囲気の中、お二人の秘伝のメソッドを公開いただきました。
「酸化不足」の回避法をメインで提案していただいたのは、森さんです。「なぜ酸化不足が起こるの?」という編集部からの質問に、森さんはこう答えてくれました。
「初歩的なミスを除いた時、一番に考えられるのが、2液の酸化前の髪の㏗です。
酸性ストレートの1液を塗布して放置した髪の㏗は、当然、酸性。おそらくその時の髪の㏗は、3~4くらいです。中間水洗を行い、少しだけ戻って4.5~5.5くらいになると考えられます」
なるほど、酸性域だと、キューティクルは収れんするので、その後に乗せる薬剤は浸透しづらい状態になっているというのが原因なんですね。
「それもあります。でも、もうひとつ重要な要素があるんですよ。それはブロム酸の㏗です。化学反応には一般にその成分が反応しやすい㏗値があります。ブロム酸で言うと、だいたい8.7くらい。過酸化水素だと、11.4になります。
先ほど、酸性に振られた髪の㏗は、4.5~5.5くらいとお話ししましたよね。つまり、その状態にブロム酸の2液をかけても、ブロム酸の作用が不十分のまま酸化のプロセスが終わってしまう(=酸化エラーが発生する)可能性が高いわけです。これが酸化不足の大きな原因なのです」(森さん)
そういうことだったんですね!! ここまでの話をまとめてみます。
①1液の影響で、酸化前の髪の㏗は4.5~5.5くらいなので、キューティクルが収れんし、薬剤が入りにくい状態にあるため
②酸化成分であるブロム酸が反応しやすい㏗は、8.7周辺。なのに髪はだいぶ酸性にあり、ブロム酸が働きにくい状態のため
上の状態が解消されれば、酸化不足はなくなるわけですよね。
じゃあ、どうすれば、それが可能になるのでしょう?
森さんがおすすめなのは、中間処理のタイミングで“ある成分”が配合された処理剤(トリートメントでも可)をつけることで、髪をアルカリ性に振ること。
「でも、無計画にアルカリに振ってしまっては、せっかく酸性域で施術した意味がなくなりますよね。なので、ここでは、アルカリによるキューティクルの膨潤やパサつきの発生が生まれない範囲での処理がポイントになるんです」(森さん)
上の写真が中間処理でアルカリ性に振る施術シーン。的確な剤を、的確なタイミングで使用すれば、アルカリによるダメージは起きません。ちなみに技術的には剤を塗布するだけなので、簡単、かつ、短時間でOK!
今、発売の『SHINBIYO』2023年3月号では、この辺のノウハウを余すところなく、ご紹介しています!
さらに今回は、酸性ストレートをした時、酸性パーマをした時、それぞれの仕上がりの「持ち」を飛躍的にアップさせる森さん秘伝の後処理も教えていただきました。
ここでは、酸性パーマ用の持ちの秘策をチラっとお見せします。
酸性パーマ用には、リッジ感と持ちを向上させるのが狙い。
そのポイントは、2液後の後処理で、“ある成分”配合の後処理剤をスプレーし、
さらにドライヤーで乾かすことで、成分を定着させるのがミソ!!
まさに、ここまでマスターしたら、もうエステルビビりは怖くない!?
前号2月号でご紹介したオイルコントロール、ドライコントロールのテクニックを併用することで酸性の施術でもう困ることはなくなるはずです!
詳しく知りたい方は、是非とも『SHINBIYO』2023年3月号をご覧ください。