松本 明
タマリス株式会社 代表取締役副社長
教えてください!
健康美を叶えるアイテムを生み出す理由
いま注目の、あの製品が生まれた背景を、発売メーカーのトップに直撃インタビュー!
製品に込めた思い、企業として大切にしていることなど、根掘り葉掘りお聞きします。
今月は、トータルヘアケアブランドの『アローブ』をメインに、タマリス株式会社のスタンスに至るお話まで、松本副社長に伺いました!
大切にしているのは 美容の面白さを伝えること
—— 松本副社長は、研究職に留まらず、様々なお仕事に関わってこられたと伺っています。そういった美容に対する見識の深さが、タマリスという会社や商品のユニークさにも表れているように感じます。
松本 私も、勤続51年目ですからね(笑)。色々なことに挑戦してきましたよ。それこそ、パーマ剤の『シスカール』の開発、商品化から始まって、営業にも回って。イギリスやパリに渡って、ファッション、ヘアメイク関係者との人脈を築いたり。
—— そんな松本副社長が大切にされていることは?
松本 美容の楽しさを伝えることですね。ヘアメイクの力で、女性をいかようにも変化させることができるのが美容師の仕事の面白さ。うちの商品開発のスタンスも同じですよ。
弊社はパブリック市場向けの商売をしていませんが、それもプロの美容家をサポートするという信念があるからです。
ヘアスタイルを健やかに、長く楽しんでもらうために
—— 研究者からキャリアをスタートされた立場として、商品に対してはどのような思いをお持ちですか?
松本 唐突ですが、iPS細胞ってご存じですか? 様々な組織や臓器の細胞に分化する能力と、ほぼ無限に増殖する機能を持つ細胞のことなのですが、例えば、肝臓が悪い人から体細胞を取り出して、iPS細胞を使ってその人に合う健康な肝臓を培養して移植することができるんです。これが今話題の再生医療です。
—— その再生医療が、美容の技術や製品にも何か関係しているというお話でしょうか?
松本 再生医療とまでは行きませんが、『シスカール』も考え方としては近いと思っています。他のパーマの還元剤と異なる点として、システインは人間の髪から抽出したL-システインを原料としていて、毛髪内で反応するとシスチンとなります。シスチンは毛髪の主成分の一つですから、パーマをかけると同時に弾力をもたらすことができるわけです。これって毛髪を再生するイメージに近いと思いませんか?発売以来50年近く経つことを考えても、長くご愛用いただいていると自負しています。もちろん、その他にも『シスキュア デコルア』や『シスキュア デコルア アシッド』といった新しい展開もしていますが、弊社としては新製品を続々と出すことよりも、消費者と美容師さんに本当に役立つものを考え抜いてつくることを第一に開発を行っています。
頭皮や毛髪のダメージをケア 酵素を活用したシャンプー
—— 『シスカール』の他に、ダメージへの配慮や髪への優しさという視点で開発された商品の中で、現在特に評判の良いアイテムについて教えてください。
松本 サロンはもちろんエンドユーザーからも好評なのが、トータルヘアケアブランドの『アローブ』です。その中でも『アローブENシリーズ』のスキャルプシャンプーは特に高い評価をいただいていますね。このアイテムの最大の特徴は、酵素を配合しているところ。年齢を重ねることはもちろん、日常生活の中でも様々なストレスを受けて、頭皮や毛髪にはダメージが蓄積しているのですが、それを酵素の力でケアするアイテムになります。
——エイジングに伴う髪や頭皮の悩みもケアできるアイテムのようですが、比較的大人の世代がターゲットになるのでしょうか?
松本 メインは頭皮や毛髪の変化を顕著に感じる世代が対象ですが、最近はエイジングの悩みが出始める年齢が低下している背景もあり、酵素が活躍する場面が増えているようです。このシャンプーが面白いのは、人によって泡立ちが違うところです。シャンプーが上手い美容師さんは、洗っている時の触感や泡立ちが頭皮の状態によって異なるのが分かるようですね。お客様に「頭皮に疲れが溜まっているようです」といったアプローチにもつながりやすいですし、実際頭皮ケアに関心のある方が増えているので、このスキャルプシャンプーを店販でかなりの数売っている美容師さんもいらっしゃいますよ。
—— マイナスから健康な状態へと導くという観点は、先程の再生医療にも通じるものを感じますね。
松本 そうですね。私も自分の髪は『シスカール』でパーマをかけていますし、酵素風呂にも通っています。おかげでこの通り、髪もフサフサですよ(笑)。これからも、健やかで美しい頭皮と髪づくりを叶えるプロダクツを提供しながら、美容を末長く楽しむお手伝いをしていきたいですね。
取材中、昔の様々な業界秘話も聞かせていただきましたが、一貫していたのは松本副社長の美容業界への愛と、次世代へ寄せる熱い期待。優れた商品をつくって売るだけではなく、それらを通じて「美容の仕事を楽しむ」ところまで全力でサポートしようという、メーカーの枠を超えた矜持を感じました。
>>> PROFILE
松本 明/AKIRA MATSUMOTO
1950年生まれ、熊本出身。1973年、タマリス株式会社入社し、研究部門として1974年発売の『シスカール』の開発を担当。営業部に転籍し『シスカール』の拡販に奔走。その後は、パリコレのバックヤードに参画するなど、美容メーカーとしてヘア&ファッション業界の発展に貢献する。企画部部長などを経て、現在は取締役副社長を務める。
ALORB(アローブ)
~こだわりのハイブリッド処方で 健康な頭皮と美しい髪を育む~
「一生涯美しい髪と共に過ごせるように」をコンセプトにしたトータルヘアケアブランド。充実したヘッドスパメニューを提供する「スキャルプケア」、ダメージに合わせた最適なトリートメントプランが提案できる「システムケア」、サロンの仕上がりを持続させる「ホームケア」の3つのラインで構成される。「スキャルプケア」ラインの『アローブENシリーズ』は、ダメージケア成分であるスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなどの酵素を配合した「スキャルプケア」に最適なアイテムです。
取材協力:タマリス株式会社
*月刊『SHINBIYO』2023年4月号 連載「トップに聞く!」vol.3より転載