【YONAYONA CHEMICAL】検証レポート/クセが強い髪、だけどダメージ毛。そんな髪、あなたならどう伸ばしますか? その2

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夜な夜な検証している研究熱心な美容師さんを毎回、お一人、ご紹介する

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前回から引き続き、『factor』の鈴木博三さんがトライしたのは、

クセが強いので伸ばしたいんだけど、ダメージしているので長く放置しにくい髪にどう対応するか

についてです。

そこで鈴木さんが考えたのは、酸成分を使えば、まあまあパワーのある薬剤を長めに放置してもダメージを抑えて還元させることができるのではないかということでした。詳しくはコチラご覧ください。

 

ちなみに今回、鈴木さんは、酸成分にフマル酸を使用。その理由をお聞きすると、

程良い凝集作用があるので、それを利用して、コルテックスなどの内部成分の過剰な流出を抑えながら、還元作用を進めるためです。

とのこと。

 

的確かつ、簡潔なご回答!!

とは言え、もう少しかみ砕いて解説して欲しいなぁ……。

 

鈴木さんはこう続けます。

今回のチオの還元値は8%と、そこそこだけど、㏗が9あるので、長く放置していけばいくほどキューティクルの膨潤は大きくなる可能性が高くなります。

当然、その分、中間水洗時に、コルテックスなどの内部成分が流出してしまうリスクも高くなるわけです。

でも、クセを伸ばすためにはこのくらいのパワーは欲しいんです。

ならば、還元剤を最初に入れて作用させておき、その上に酸成分をかければ、酸の凝集効果でキューティクルの膨潤を抑えられるのでは? と思いました。

ちなみに凝集とは、散らばったものや溶けてしまったものを固める効果のことです。つまり、この効果を還元タイムの途中で使えば、還元剤によって開き過ぎたキューティクルを酸凝集で適度に閉めることで、コルテックスなどの過剰な流出を防ぎ、ダメージが抑制できるのはないかというイメージです。

 

なるほど!

では、ここでもう一度、検証の内容を整理してみましょう。

 

■ビフォア
13レベルのライトナーでリフトアップしたウィッグの髪。また所々に16レベルくらいのブリーチが入っている。ダメージの状態は5段階で、3~4程度。
■使用薬剤
チオ系の1剤(㏗9、還元値8%)を塗布し、放置。その後、中間水洗をしてドライ。さらに180℃のアイロンで3回スルーする。アイロン後、過水タイプの2剤を塗布して10分放置し、流して乾かす。 *処理剤等は一切未使用

■1剤放置タイムの種類

①20分放置

②40分放置

③20分放置後、フマル酸を重ね塗りしてさらに20分放置

④60分放置

⑤30分放置後、フマル酸を重ね塗りしてさらに30分放置

 

そして、気になる結果はというと、

 

①20分放置

【鈴木さんの見解】20分放置。普通にいい手触り、指通りよし。

鈴木さんいわく、これくらいが理想の仕上がり感で、一応、今回の検証のベンチマークにしたのだそうです。

 

 

 

 

 

 

②40分放置

【鈴木さんの見解】①に比べて、ザラつきあり。特にブリーチ部分に感じる。でもまだ意外と悪くない質感。

ベンチマークの20分の倍の時間を置いているだけあって、質感の劣化は否めないですが、このくらいの毛髪強度があれば、まだ大丈夫かもという状態のようです。

 

 

 

 

 

 

③20分放置後、フマル酸を重ね塗りしてさらに20分放置

【鈴木さんの見解】ボソボソ感は少し出ているが、酸による凝集効果で、ツルっとした仕上がりになった。

こちらは今回の検証の中で、ビフォアの髪にブリーチした箇所が多く、状態が一番悪かったようです。なので、もう少し他と同じくらいのコンディションなら質感ももっと良かったかもと鈴木さんは付け加えてくれました。

 

 

 

 

 

④60分放置

【鈴木さんの見解】髪が細くなった。ギリギリで形状を保っているような印象。質感は明らかにアウト。

ただ、何らかの化学処理がされているウィッグの髪のためか、人毛を同じ条件で処理した時よりもダメージは少なったそうです。

 

 

 

 

 

 

⑤30分放置後、フマル酸を重ね塗りしてさらに30分放置

【鈴木さんの見解】一番柔らかくてツルツルした仕上がり。

今回の検証では、この毛の評価が一番高かったようです。60分間、まあまあ強めのチオ1剤をつけたままでも酸を使うことで髪のコンディションをある一定の状態にキープすることができました! とのこと。

 

クセが強い髪。でもダメージしている。そんな髪にストレート施術を行う場合は、酸成分を使うのも手かもですね!

この検証に処理剤が入ったりしたら、さらにどうなるかも気になるところです。レポート、ありがとうございます!

*上記は、あくまで施術の可能性を探る実験としての検証です。そのため実際にサロンで提案する場合は、必ず事前に毛束やウィッグなどで試してみることをお勧めします。

「YONAYONA CHEMICAL」では、皆様からの検証投稿もお待ちしております。「是非とも出してみたい!」という方は、コチラまでご連絡いただけますようお願いいたします!

鈴木博三(すずき・ひろみ)/1977年、福島県生まれ。アーデン山中ビューティーアカデミー美容専門学校を卒業後、県下のサロン1店舗を経て、2008年、郡山市に『factor』をオープン。確かな薬剤知識をベースに、髪質や要望でカスタマイズしたメニュー提案で多くの顧客に支持される。

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