サスティナブルな美容師ライフを送るために『trico ultra beam』が行った5つのアップデート

オープン当初からクリエイション活動に力を入れている『trico ultra beam』。そもそもお店をつくる母体となったのが、サロンの垣根を超えた撮影会だったと、代表・麻川 徹さんは言います。

左から、伊東さん、麻川さん、日高さん

サロンは、麻川さんと、役員で教育担当の伊東直哉さん、副社長で営業担当の日高雄一さんの3人がしっかりとタッグを組んで、20年以上、繁盛店として切り盛りしています。

また3人は撮影などのクリエイションでもタッグを組みます。

フォトシューティング中の3人

お邪魔した日は、麻川さんがヘアを担当し、伊東さんがフォトを担当。日高さんがPCで仕上がりの確認やレタッチの方向性を決めるという感じで、まさに息ぴったり。

3人でのクリエイションは、近年、動画などにも広がっているようで、動画の場合はカメラが日高さん、編集が麻川さん、全体のプロデュースが伊東さんとまた役回りを変えたりするのだそうです。

「最近では、若手スタッフの撮影のサポートに回ることが多いんですよ」と笑う麻川さん。

「若い子たちにもつくることの楽しさ、奥深さを知って欲しい」と、麻川さんは常々思い続けているクリエイションへの気持ちを語りながらも、昔のように、深夜までとか、休みを潰してというほど、熱を入れて創作活動ができなくなっている現状についても話してくれました。

地域自治体も巻き込んで行ったクリエイションイベント「OASOBI」の撮影風景

「コンプライアンスの時代なので、美容室側も変わらないといけないですからね。ある意味、スタッフには平均以上の待遇が提供できる”優良企業”として社会の中で機能しないと。

昔は時間度外視でワイワイ楽しくやることが普通だったのですが、今ではそれを負担に感じる人もいるはずですし。僕らオーナーはそういう部分にも配慮してサロンワークやクリエイションをやっていかなければいけないのかなと思っています」

それを裏づけるように『trico ultra beam』では、サロンの利益の大部分をスタッフの働く環境向上のために使っているそう。

ちなみにここ10年ではざっと5つのアップデートを図ってきたという。

■『trico ultra beam』が行ってきた待遇改善 アップデート5.0

・2012年 アップデート1.0として、全スタッフの給与をアップ休日を増やす

・2017年 アップデート2.0として、初任給をさらにアップ

・2018年 アップデート3.0として、中退共を活用した退職金制度を導入

・2020年 アップデート5.0として、年間110日の休暇および8時間労働制を確立

・2021年 アップデート5.0として、民間保険を活用した退職金制度も導入

彼らがそこまでスタッフの働く環境にこだわるのには、ある大きな事件が関係していました。その詳細は、今発売の『SHINBIYO』2023年12月号の連載「ターニングポイント」でご紹介しています。

麻川さんたちの夢は、「サスティナブルな美容師ライフを送ること」。

「若手の撮影のサポートが多くなりましたが、長くやってきた自分たちだからこそできるクリエイションも発表し続けていきたいと思っています」

 

それを象徴するように2023年度のJHAでは、九州・沖縄エリア 最優秀賞を伊東さんが受賞されました。

夢は、サスティナブルな美容師ライフを送ること

2023年12月号では、地域社会も動かした彼らのクリエイション活動の軌跡も見ることができます。

気になる方は是非ともチェックよろしくお願いいたします。

あさかわ・とおる/1970年、大分県大分市生まれ。1985年、高校卒業後、ガテン系の仕事で資金を貯めて、1990年、明星国際ビューティカレッジに入学。卒業後、大分市、別府市の2店舗を経て、2000年に『ultra beam』を立ち上げる。その後、市内の有力3店舗をまとめるかたちで『trico ultra beam』をオープン。現在は、サロンの代表として、次世代の若手のプロデュースを中心に活動している。