スキンケアテクノロジーを応用させ、 ダメージを気にせずに、チオで素髪のようなストレートに導く

ストレート
熱凝集、ランチオニン結合、CMCの劣化など
ストレートの弊害に対応!


CRYSTALLIZING STRAIGHT

資生堂プロフェッショナルマーケティング部の宮内さんによれば、現状「サロン売り上げの4割以上がヘアカラーによるもの」なのだそうだ。多くのお客様がダメージを負っている今、必要なのは、質の高いダメージケア。特にエイジング世代への対策は急務でうねりなどへの対応も必要だ。

市場には酸熱トリートメントなどがあるが、一方では「思ったほどうねりが伸びない」「矯正と似た工程の割に矯正ほどの料金が取れない」といった声も聞こえる。

そうした声に応えるべく、うねりやクセを伸ばしながらダメージレス効果も高めることに着目したテクノロジー搭載の製品『CRYSTALLIZING STRAIGHT』がリリースされた。同製品の還元剤はチオ。その背景について、同社技術開発グループの石森さんが説明する。

「クセを確実に伸ばすためには、毛髪内部の奥にあるミクロフィブリルに働きかけ、その構造を変える必要があります。日本で使用できる還元剤の中では、チオグリコール酸が最もそれに適した還元剤と言えます」(石森氏)
とはいえ、チオの仕上がりは独特な硬さが気になるという技術者は多い。それに対して宮内さんが説明する。
「仕上がり感は、柔らかさやまとまりのあるストレートです。チオでも素髪のようなストレートが表現できます」(宮内氏)
これは、まさに髪質改善メニューが求める仕上がり感と合致する。石森さんが続ける。
「そこにはどんなケアテクノロジーを搭載させるかがカギでした。実際、実現までには10年の歳月を費やしました」(石森氏)
『CRYSTALLIZING STRAIGHT』のケアテクノロジーには、同社が最も得意とするスキンケアの技術を応用したという。

素髪のようなストレートをつくる『CRYSTALLIZING STRAIGHT』のオールスペック

「1剤には保護成分として『ヒドロキシプロリン』を採用しました。これはコラーゲンの構造を安定化させる役割があり、スキンケアでは保護・補修成分として活用されています。この保護機能をケラチンに応用させたわけです。
通常、コラーゲンやケラチンなどのタンパク質は、常温では安定的。それが温度が上がるにつれて動き出し不安定になります。さらに超高温になると、動きが活発化し、タンパク質同士が絡まり出します。これが熱凝集です。
ヒドロキシプロリンはアルカリ条件下ではマイナスの電荷を持ちます。施術中にヒドロキシプロリンがタンパク質に結合し、このマイナスの電荷同士が反発し合うことで絡み合いを防いでいるのではないかと考えています」(石森氏)
つまり、熱凝集が抑制されるわけだ。
「またアイロン処理によるランチオニン結合の生成が確認されています。この結合は元のSS結合には戻れないため、数が増えるとパーマ剤が効かなくなります。ヒドロキシプロリンによりこの結合の発生を抑えることができました」(石森氏)

ポイントは2剤にもある。リピジュア®を配合した点だ。リピジュア®は、キューティクルやコルテックス細胞を接着する役割であるCMCの脂質層の代替成分として期待されている。今回の開発において、同成分は前処理や後処理よりも、2剤に配合したほうが補修効果が高いことがわかった。

チオで確実にうねりを伸ばし、ヒドロキシプロリンとリピジュア®のシナジーで素髪のような質感をつくる、まったく新しい武器。ここから新たなメニューが発展しそうだ。

資生堂プロフェッショナル株式会社

月刊『SHINBIYO』2023年12月号 連載「気になる新製品」vol.11より転載