榎本昌治
アモロス株式会社 代表取締役社長
教えてください!
頭皮乾燥改善に特化した育毛シリーズの背景
いま注目のあの製品が生まれた背景を、発売メーカーのトップに直撃インタビュー!
製品に込めた思い、企業として大切にしていることなど、根掘り葉掘りお聞きします。
今月は『ハーバルカララシンピ』シリーズを中心にアモロス株式会社の育毛剤の歴史まで伺いました。
新しい育毛剤は
女性の頭皮乾燥改善に特化して開発
—— ハーバルカララシンピ』シリーズはまだ発売して間もない製品ですが、御社は育毛剤に関しては長い歴史をお持ちなのですね。
榎本 実は育毛剤カララシリーズには50年の歴史があるのです。今でもご愛用者の多い『薬用伽羅藍』や『KARARA』は昭和40年代から発売されているロングセラーです。お客さまは現在60代、70代の方もいて、皆さん「これがなくなってしまったら困る」と言って下さっています。ボトルやパッケージは時代を感じさせるものですし、使用時の匂いも最近の製品に慣れた人には強いんですが、逆にそれがいいという意見もありますね。
——既にそうしたロングセラーの製品がある状態で、新たに開発した『ハーバルカララシンピ』シリーズはどのような特徴があるのでしょうか。
榎本 育毛と一口に言ってもケースによってアプローチが変わってくるのですが、『ハーバルカララシンピ』シリーズは女性の頭皮の乾燥を防ぐことに特化した製品なのです。血行不良による女性特有の「冷え」を改善し、血流を促すことによって頭皮の状態を改善し、育毛につなげます。漢方には滞りを巡りに変えていくという「人参湯」の考え方があるのですが、この考えをベースにして、各種の生薬を配合した製品になっています。処方にあたっては和漢のスペシャリストに協力してもらいました。
—— 「人参湯」というのは聞いたことがある人も多そうですね。
榎本 人参・生姜・甘草からなる、古くから女性の保健薬として重宝されている漢方処方です。生姜で身体を温め、血の巡りを良くすると、人参が停滞していたエネルギーを動かし、気の巡りを良くする。そして甘草がこの巡りの全体的な調和を取る、とされています。冷えの解消と血流を促すことで、頭皮乾燥の改善を狙っているのです。
—— 漢方では、全体のバランスを整えて状態を良くしていくという考え方をしますね。
榎本 東洋医学の基本として気・血・水という考え方が良く知られていますが、このバランスが取れている時は健やかな身体を維持でき、流れが滞ってバランスが崩れると不調が現れるとされています。なので何か不調があった時、「この成分がこれに効く」という対処をするのではなく、全体を考えるのですね。育毛もピンポイントで効かせるものではなく、バランスが重要で、『ハーバルカララシンピ』シリーズにもそうした考えが反映されています。
全体のバランスを整えることで
健康で美しい髪が産まれる
—— 育毛剤だけでなく、クレンジングオイル、シャンプー、トリートメントも加えた構成になっているのもこれまでとは違うところですね。
榎本 「美容師とお客さまで育てる未来の美髪。」というキャッチコピーをつけているのですが、比較的若い世代向けの製品として設定しています。髪に関して意識の高い最近のお客さまに、未来につながる育毛をしていただきたい。トリートメント剤も、毛髪はもちろんですが毛髪以上に頭皮を意識した製品になっているんです。頭皮をきれいにして乾燥させない状態をつくるために、シリーズで使って欲しいと考えています。
メニューとして導入しやすい
クレンジングオイル
—— シャンプー前にクレンジングオイルを使うのですね。
榎本 このクレンジングオイルは、メニュー化に役立つものとしてぜひお勧めしたいですね。本格的なヘッドスパの導入は難しいけれど、簡単に取り組めるものなら…と探しているサロンさまも多いと思います。気持ちのいいマッサージを取り入れた頭皮のクレンジングメニューとして、単価アップに役立てられるはずです。
——今頭皮ケアや育毛はブームと言ってもよく、多くの製品が発売されています。長年この分野に取り組んできた御社としては今後の打ち出しをどのように考えていますか。
榎本 基本的には今までと変わらなくて、「サロンならでは」を意識して製品づくりをしていきたいと思っています。美容師さんとお客さまが長いおつき合いができるきっかけになるような、「ご縁ができたのはこの商品のおかげ」と言ってもらえるようなものをつくっていきたい。実際に髪の悩みが解消されたお客さまは、その美容師さんにずっとついていくわけで、そこにアモロスの製品があったら嬉しいです。営業について言えば、「伝えること」にこだわり、手を抜きたくないですね。合理化すべきものに関してはそうすべきだし、ネットの時代になってサロンや美容師さんに直接語りかける機会も減ってきましたが、それでも直接話すこと、伝えることは続けていきたいと思っています。
長い歴史のあるメーカーにとって、製品ラインナップの整理は頭を悩ますところ。昭和時代からのロングセラーがあり、製品同士が競合しないように調整しながらの新製品開発は苦労があったと思われます。これまでのユーザーを大切にしつつ、時代の変化に合わせて対応していく榎本社長の姿勢が強く印象に残りました。
>>> PROFILE
榎本昌治/SHOJI ENOMOTO
1955年生まれ、三重県出身。実家は美容室、身内に理美容師も多い環境で育つ。大学卒業後の1977年に入社、理系出身で研究職を志望しての入社だったが、企画部に配属され約20年製品開発・企画に携わる。その後営業、総務を経験し2017年社長に就任。
和漢植物成分とナノテクを融合
『ハーバルカララシンピ』シリーズ
育毛剤のロングセラーであるカララシリーズの新製品として2019年発売。和漢のスペシャリストである湯浅安夫氏の協力を得て、古くから女性の保健薬として知られる「人参湯」の考え方をベースに処方。先端技術から生まれた微粒子「ナノミセル」で有効成分を包み込み、毛根まで浸透させるナノテクノロジーも取り入れられている。クレンジングオイル、育毛剤、シャンプー、トリートメントというシリーズ構成。
取材協力:アモロス株式会社
*月刊『SHINBIYO』2023年12月号 連載「トップに聞く!」vol.6より転載