シスチンの力で素髪のような髪へと導く、本格ケア
バイカルテ
毛髪の主要成分であるシスチン。このシスチンは水に溶けにくいということは意外に知られていない。そのため毛髪に不可欠な成分でありながら、毛髪補修成分であるシスチンを配合した頭髪化粧品はこれまでほとんど発売されていなかった。
しかし、ホーユー株式会社には、このシスチンを水に溶かし頭髪化粧品に応用する技術があるのだそうだ。
「この技術自体は2012年に開発されていましたが、実は、このたび発売された『バイカルテ』というケアシリーズに9年越しで応用させることができたんです」
そう話すのは、同社マーケティング室の仲嶋氏だ。この技術開発から『バイカルテ』開発の背景にはどんなエピソードがあったのだろう。
「開発は、今から5年前の2017年からです。このとき開発チームが目指したのは『素髪に導く処方箋』。開発に先立ち、メンバーが全国で現場の声を聞いたとき、ケアに強いお店ほど、『素髪』がキーワードだったんです」
一般に素髪とは、すっぴんでもキレイな髪、子供のときのようなヘルシーな髪と形容されることが多い。
「わたしたちは、そこからさらに掘り下げて、素髪を、
①人工的ではない自然なツヤ感
②ダメージしたと感じさせない質感
③デザインを崩さない適度な重さをあわせ持つ髪
と、再定義しました」
①人工的ではない自然なツヤ感
②ダメージしたと感じさせない質感
③デザインを崩さない適度な重さをあわせ持つ髪
と、再定義しました」
とはいえ、今の髪質はケミカルダメージが大前提、また自宅では熱ダメージが日常的に加わっている。さらにエイジングによる髪質変化に悩むお客様も多い。その中で上記のような素髪感は本当に表現できるのだろうか。
「一番の方法は、髪を再生させることですが、死んだ細胞である毛髪を再生することは不可能。そこで浮上したのが、冒頭でお話したシスチンの技術だったんです。実際にこの技術でひどいダメージ毛にシスチンを入れると、髪にしなやかさが感じられながらも柔らかく、軽いんです。また軽いのに髪が収まる。とにかく不思議な質感でした」
開発チームは、そこからさらに2年かけて製品の改良を重ね、狙いの素髪感と寸分違わない質感をつくり上げた。ポイントは、シスチンをどう定着させるかだった。
「粉末状のシスチンは、弱アルカリの領域で液体に可溶化します。そこで独自の弱アルカリ性水溶液で溶かし、毛髪内部に浸透させるわけです。その後、毛髪を緩やかに中性に傾けていくと、コルテックス内部でシスチンが粉末に戻り定着する。これが基本のメカニズムです」
シスチン定着による毛髪内空洞部へのケアだけでなく、配合成分であるハンスラージュエキスが毛髪内のダメージ部に対しても選択的に作用し補修する。

この流れを「CiP SHOT」という。しかもCiP SHOTにはお客様への演出効果もあるのだそう。サロンでは、まずアルミの小袋に入ったシスチンを含んだ「CYSパウダー」を、お客様の前で開封して専用のフォーマーに入れる。
続いて、ハンスラージュエキスが入った溶液をフォーマーに注ぎ込みシェイクする。粉末がゆっくり溶けていく様を見たお客様は、「わたしのためだけに用意してくれた」という技術者のメッセージに釘づけになる。
もちろん仕上がりはお客様でも実感できる上質な素髪感。ちなみに『バイカルテ』が発売されたのは1年前。それまで広告は一切打たず、製品の良さを理解してくれるサロンにだけ販売してきた。「ゆっくり丁寧に」。大手メーカーがそんな売り方をするのは異例中の異例。そこまでしてこだわった素髪感をぜひ体感してほしい。
プロフェッショナルカンパニー
マーケティング室 商品企画2課
課長代理 仲嶋友範さん
取材協力:ホーユー株式会社
*月刊『経営とサイエンス』2022年8月号 連載「気になる新製品」より転載