【エトラス】
ETORAS
ここ数年で、メンズのヘアトレンドに地殻変動が起きている。カットベースで言うなら、それまでのツンツンしたレイヤーベースの男っぽいデザインから、グラを基調とした中性的で柔らかく動くデザインへと大きくシフトした。
「アイコンで言えば、EXILEからBTSにトレンドが変わったようなイメージです。菅田将暉さんのパーマスタイルなども含めて、柔らかい方向に向かっていますね」
そう話すのは、ホーユー株式会社プロフェッショナルカンパニー マーケティング室の岩井大輔さんだ。岩井さんによれば、今のメンズスタリングのポイントは、“決め過ぎないカッコ良さ”にあるのだそう。
同社の『エトラス』もそうした今のスタイリングニーズを徹底的に追求して開発されたブランドだ。全5製品がそろい、製品はスタイリングラインと、エフォートレスラインの2つに分かれるという。
「スタイリングラインは、日常的にスタイリング剤を使う方に日々のスタイリングを楽しんでいただくことをイメージしたつくりです。対するエフォートレスラインは、気楽にスタイリングを嗜み、質感を楽しみたい方向けにつくりました。こちらはいかにも付けた感じにはしたくない方に向いています。昨今は男性の価値観も多種多様になっており、そこに合わせる意味で豊富なラインナップにしています」
確かにバームやオイル剤型は女性向けのスタイリング剤ではよく見かけるが、メンズ向けでは珍しい。『エトラス』のラインナップにはそうした背景があったわけだ。
「実は開発途中で、『今のメンズスタイリングでは軽さと潤いが両立して欲しい』という新たなニーズが分かったんですね。そのため、処方設計を一から考え直したりもしました」
そこで生まれたのが油分に頼らないスキンケア発想の新しい処方なのだとか。
「当社では潤いを表現するには、これまで油分を多く用いていました。でも、流行のグラベースはトップが長いので、オイル過多になるとぺったりとしてしまいます。それを解消するためにたどり着いたのがスキンケアの発想だったんです。ヒト型セラミドやエクトインなどの保湿成分が髪の内部に浸透し、内側から潤いをプラスするので、仕上がりは、うるおい感はあるけれど、柔らかく動く髪が再現できます」
エクトインとは高級化粧品に配合されている保湿成分。かなりの効果が期待できる反面、価格も気になるところだ。。
「その点はエンドユーザーの手に届きやすい価格設定にしています。製品は良くても高価では、日常的にスタイリングするメンズのお客様にとって使い続けにくいですからね。それ以外にも『エトラス』には今のメンズに刺さるいろんな工夫をしています。例えば、“洗い流しやすさ”もそうです。アプリコット由来の界面活性剤を使用することで、ワンシャンでも流しやすい設計になっています」
剤の香りは、スタイリングラインがサボンノートで、エフォートレスラインがティーノート。いずれも美容感度の高い男性が好む香りで、女性からの印象も良いものを採用したそう。ちなみに異なるラインの剤をミックスして使っても香りが邪魔になることはないという。
2023年12月現在、欠品が続いているという同シリーズ。売り切れてしまうのはある意味、必然かもしれない。

取材協力:ホーユー株式会社 プロフェッショナルカンパニー