パーマやカラー、トリートメント、処理剤etc.……、
いろんなケミカルプロダクツのパフォーマンスを
夜な夜な検証している研究熱心な美容師さんを毎回、お一人、ご紹介する
「YONAYONA CHEMICAL」
前回からの続きです。
前回は、酵素配合の処理剤とカラーの施術をお届けしました。
続く今回は、酵素&矯正の施術の模様をレポートします!
まずは、ビフォアから。
3か月前に矯正をした髪。根元に弱いクセのうねりが確認できます。モデルさんいわく、「ハネて、ふくらむのが悩み」とのこと。インナーカラーも入っており、所々にブリーチムラも……。これは、結構な難敵です。
担当するのは、『DEFRAG-Peridot huit-』平元裕二さん。
平元さんは、竹内さんと親交のある美容師さんで、現在は、広島県東広島市で1店舗経営されています。
今回の平元さんの狙いは、「クセを伸ばすより、落ち着かせて、日々のスタイリングを楽にしてあげたい」そうです。
さてさて、どんな施術をするのでしょう……、などと思っていると早速、酵素が登場!
前処理として酵素のフォームを塗布していきます。こちらは酵素が生成したアミノ酸を髪に補給させる意味と、この後塗布するストレート1剤から頭皮を保護するためだそう。
基本は前回のカラー施術と同じ考え方ですね!
その後、平元さんはおもむろにスライスを分け取っていきます。細かっ! しかも丁寧!!
平元さんのお店では、スライスの厚みで料金が変わるのだそうです。
ちなみに気になる料金は、
・厚めスライス (10㎜程度): 10,000円
の幅で展開しているみたいです。ある意味、理にかなった料金設定です。
平元さんいわく、極薄スライスだと根元ギリギリから塗布できるので、クセをしっかりと調整したいお客様向けで、厚めスライスはそこまでクセが強くなく、甘めに伸ばす場合に有効とのこと。酸熱施術の時も厚めスライスが多いそうです。
おっと、ここで面白いアイテムを発見! 下の動画を見てください。
カラー用のスパチュラを利用して塗布しています!! これ、なかなか塗りやすそうですね。
1剤は、チオ系を使用。強めと弱めの2タイプがあり、今回は、
・還元を効かせないところ :弱め単品
で塗布していくとのことです。
塗布しながら、平元さんはこんなアドバイスをくれました。
今回のようなお客様には、まず、事前にピンと伸ばすストレートではないことをお伝えします。サロンでは、「クセを緩和させる施術です」とお話しすることが多いですね。
またお客様に「何でもやれますよ」というのは禁物。それで失敗したら意味がありませんから。ただ、「今日切ってもいいところは少し無茶してみます?」とお聞きすることもあります。そんな感じで、できること、できないことをしっかりお伝えすることで、お客様との信頼関係を築くことができます。
塗布後、40分放置です。その後、シャンプー台でシャンプー水洗。
泡を溜めてバブリングする感じで1剤を洗い流す。決して、ガシガシ洗わないのがポイントだそうです。
その後、酵素フォームをつけてプレーンリンスをします。ここではシャンプーでは取り切れなかった1剤を酵素の力で分解する役割があるようです。
水洗後は、酵素が配合されたスプレーを全体に塗布します。
とにかくプロセスとプロセスの間には酵素を投入するのがポイントのようですね。ここでは、前処理同様、酵素のアミノ酸補給と、頭皮の保護を目的としているとのこと。
その後、ドライに移ります。基本はフルドライですが、ダメージ部など特に還元を効かせたくない箇所は完全フルドライ(乾いたと思った段階でさらに毛髪内の水分を抜くイメージ)にするそう。
ここで、酵素のアイテムを考案した竹内さんが、以下のように補足してくれました。
施術の要所で酵素を使うと、パーマの残臭がしなくなるんです。おそらく酵素が還元剤を分解したのだと思いました。
それを証明すべく、一応、チオが分解できるかどうかは、イオンクロマトグラフィーという機器を使って測定してみたんです。データ上ももちろん分解できているという結果でした。そうした検証後も知り合いの美容師さんを中心に酵素を使っていただき、システアミンやスピエラRの残臭がなくなったという報告や、手荒れなども改善したという報告も聞いています。
なるほど、スゴい実力だ! なんて聞き入っている間に、アイロンの施術を見逃してしまいました(汗)。今回は、不備が多くスミマセンです。
ちなみにアイロンのポイントは、髪一本一本に均一に、かつ確実に熱を伝えるため、スライスは薄めにとること。
さらに1回目のアイロンでクセを伸ばすためのスルーを行い、その後のアイロンはドライヤーでは取り切れなかった水分を飛ばすためにスルーするそうです。
ワンストランドについては、この考え方で2~4回の範囲でスルーしていくと、平元さんは付け加えてくれました。
気になる仕上がりはコチラ
狙い通り、自然なストレート感が表現できていると思いました。現在、酵素の種類はまだ特定できていないようで、今後、いろいろと研究を進め、その辺も明らかにしていきたいそうです。
ケアの分野にまた新たな流れが生まれそうです!