【YONAYONA CHEMICAL】「アルカリ vs. 酸性 」ヤバすぎてレポートするのを控えていたストパーセミナーを大公開! 前編

パーマやカラー、トリートメント、処理剤etc.……、

いろんなケミカルプロダクツのパフォーマンスを

夜な夜な検証している研究熱心な美容師さんを毎回、お一人、ご紹介する

「YONAYONA CHEMICAL」

実は、昨年、ヤバいストパーセミナーにお邪魔していたのですが、あまりの衝撃にレポートするのを控えていたんです。

そのセミナーのテーマは、

「アルカリ矯正 vs. 酸性矯正」

これだけでヤバくないっすか! しかもアルカリ側の講師は、こちら

『Rescue-Hair』菊地克彦さんです。『SHIBNIYO』でも何度か登場いただき、卓越したストパー技術を披露いただいている、まさにアルカリ矯正界の巨人

 

対する酸性サイドは、こちら

『AS』岸口新志さんです。岸口さんは、知る人ぞ知る酸性矯正の使い手。今から10年前に、当時、新美容出版から発行されていた『marcel』というケミカル情報誌で、初めてスピエラ®を使った酸性矯正のノウハウを世に送り出した人でもあります。酸性矯正界では、プリンスの名を欲しいままにする孤高の技術者!

 

もちろん、二人とも技術の進化は止まっていません。むしろ、菊地さんはアルカリの極へと、岸口さんは酸の極へとお互いが別のベクトルに突き進み、技術の質は常にバージョンアップしています。

 

この二人が同じリングで相まみえるとは!

しかも今回のセミナーは、ストパーの効きを分かりやすくするため、一切の処理剤の使用は禁止とのこと。まさにリアルガチなルールです。まかり間違えば、流血沙汰になりかねない?! 会場にはそんな空気が漂っていました。 レポートするのを躊躇したくなる気持ちも分かるでしょ?

会場となった表参道の『OASIS』には、噂を聞きつけた美容師さんが多数来場!

でも、今回はあえて2人の血沸き肉踊るバトルを世に送り出そうと決心しました! 理由は、このページを楽しみにしてくれる熱いファンの皆さんなら、二人の闘いの中に何らかのヒントを見つけてくれると思ったからです。

ちなみに今回は、技術の違いを際立たせるため、プロセスの区切りごとに、アルカリ矯正サイド、酸性矯正サイドの2元中継形式でお届けしたく思います(その分、プロセスの流れが分かりにくくなることをご了承くださいませ)。

アルカリ矯正・1剤塗布

では、「青コーナーーーー!」じゃなかった(汗)、アルカリ矯正サイド・菊地さんの1剤塗布からです。

モデルさんは、月1回ペースで白髪染めをしている方。髪質は軟毛で半年前に矯正もしているそうです。中間にはビビリが確認できます。結構、難敵だなー。

菊地さんが使用するのは、チオ系の1剤を複数ミックスすることで、剤のパワーを変えて使っているのがポイントです。さらに塗り分けにはセオリーがあるのが、菊地さん流。いわく、

今回は、還元剤をブロックする保護剤と、4種類のチオを塗り分けます。㏗6.5、6.2、5.8、5.4の4タイプでダメージに応じて塗り分けていきます。基本は、還元剤が必要のない部分は保護剤でカバーし、伸ばす部分でダメージのあるところは㏗が低いものを塗布します。ちなみに僕の場合は、コーム塗布が基本ですよ

ちょっと見えづらいのですが、ワゴンの奥にあるコームの色で剤が何かを識別できるようになっています。合理的!

2~3ミリの極薄スライスをいったん取ってから塗布するのも、菊地さん流ですね。

ちなみにスライスを留めるシングルピンには、ウレタンをつけてグリップ力をアップ。こうすると、多毛のお客様などの髪がポロっと取れてしまうことを防ぐことができるのだそうです。

1液塗布後、22分放置してシャンプーします。菊地流では、どんな髪でも放置20分が目安。ただし、塗布を開始してクラウンにくるまでに最初に塗布したパネルが反応してきたら2~3分短縮、タフウェーブでリッジの強い人は2~4分追加と、かなり細かくルール化されています。

酸性矯正1液塗布

対する酸性矯正サイドは、どう出るか!

まずはモデルさんの状態から。

結構なハイトーンっすね。髪も細そう。クセの状態は……、って、岸口さん?? あれ???、毛髪診断することなく、しれーっと1液を塗っている。しかも塗り分けなし。これって大丈夫なんっすか??

(岸口さんの写真)

僕は、スピエラ®を使ってストパーをします。その場合、細かい毛髪診断はしないんですよ。最初にスピエラ®が使える髪質かどうかだけチェックして、後は塗布するだけ。ちなみに今回は、毛先15センチくらいは除いて、あとは全部塗布します。

 

ちなみにスピエラ®が使える髪質とは、一般的な軟化がしやすい髪や、弾力のない髪が最適なのだとか。

なお、あとで関係者にお聞きしたところ、こちらのモデルさんの髪の状態は、矯正履歴毛とのことで、毛先が1年前、中間が4か月前、それより根元が2か月前に施術したそう。さらにハイライトも入っていました。こちらもかなりの難敵です。

岸口さんは、塗布しながら髪の状態も確認しているようで、毛先15センチ以外にも顔周りともみあげにはスピエラ®を塗りませんでした。

塗らない箇所はあるものの、岸口さんの場合、髪がダメージしていても、新生部でも1種類のスピエラ®しか使いません。複数の剤の塗り分けをする菊地さんとは薬剤選定の発想からもう違いが出てますね!

ちなみに岸口さんのスピエラ®矯正の放置は10分。これもどんな髪でも固定とのこと。

放置タイムを固定するという発想は菊地さんと同じ。でも長さは変わります。岸口さんいわく、「スピエラ®は10分でも24時間でもそれ以上でも結果は同じです」と笑っていました。

というか、この二人スゴすぎ!!

実は、今、発売の『SHINBIYO』5月号の特集の鼎談に、菊地さん、岸口さんが登場しています。

ちなみに彼らがここで討論してくれたのは、「なぜ今、ストパー事故が多発しているか」。この道、20年以上の達人がストパーの失敗の原因を解き明かし、どうすれば解決できるかまでをレクチャーしてくれています。気になる方は是非ともチェックしてみてください!

さてさて次回は、後編。シャンプーからドライ、アイロン、2液塗布についてレポートします!