異なる髪の個性に細かくアプローチし、 多彩なデザインや質感を思い通りにつくるパーマシリーズ

長く売れている「ヒット製品」には、愛される理由があります。
このコーナーでは、そんな珠玉の逸品を取り上げ、ヒットのヒミツを大解剖。
ユーザーに愛される理由を様々な角度から探ります。

クオライン
『 QUOLINE 』

「クセ毛の個性」に着目した設計で
柔らかく手触りの良い髪を実現

薬剤選定の難しさ、伸びない・かからないといった仕上がりの不安定さ、熱変性によるダメージなどの失敗が懸念され、ともすると敬遠されがちなパーマ施術。しかし、それらの不安を解消し、近年のパーマ市場において躍進を続けているのが株式会社アリミノの『QUOLINE』だ。2010年に発売、2014年のリニューアル以降、右肩上がりの売り上げを続ける同シリーズだが、特に2018年の再リニューアル時から2023年度（3月まで）の出荷本数を比べるとなんと約440％アップというから、その勢いがいかほどかが感じられることだろう。ヒットに至った背景や特徴について、株式会社アリミノ 商品開発部　第1開発グループ 係長の山﨑淳史さんに話を伺った。

「『QUOLINE』の最大の特徴は、多彩なデザインや質感を思い通りに表現できるという点です。2010年の発売当初は、ケア意識が高まった頃で、“クセに対してしっかり対応できる”というのがメインのアプローチでしたが、2014年のリニューアル時に『クセ毛の個性』という点に着目したことが大きな転機となりました。捻転毛や波状毛などそれぞれのクセに合わせた1剤（液）の開発により、薬剤選定がシンプルに行えるようになったのですが、その点を特に評価していただけていると感じています」

その後、ストパーやホット系パーマの既施術部分など異なる髪の状態に関しても研究を重ね、2018年にラインナップを拡充。時代は「動かない髪」から「動く髪」へとニーズが移行したが、熱ケア成分「トリメチルグリシン（ベタイン）※」を配合したことで、手触りの良さを実現。その柔らかな質感は今尚、大きな支持を集めている。

※保護

アルカリ減の商品設計でダメージレスに
適材適所なアイテムで薬剤選定の不安も解消

『QUOLINE』は現在、医薬部外品と化粧品の全11アイテムの展開だが、1剤（液）のラインナップにおいて作用の強弱が「番号化」されており、適材適所のアイテムを選びやすくなっているのも、特筆すべきポイント。

「発売当初は、作用の強いものと弱いものを組み合わせて使うラインナップだったんです。そこで強弱が分かりやすいように具体的な数値にしたのが始まり。弊社では、pHや還元剤濃度、アルカリ度などのスペックも公表しているのですが、今は突き詰めて勉強をされている美容師の方も多いので、薬剤の理解度が高まる、教育がしやすいと好評をいただいています」と山﨑さんは語る。

元々、過度な膨潤や反応をさせないように、極力ダメージレスな処方にこだわって開発が進められていた『QUOLINE』シリーズだったが、2018年よりアルカリを極力抑えてアプローチする「T-C80」や「CA-T-C100」を追加したことで、1剤（液）のラインナップがさらに充実。ここまで豊富な種類は、他では類を見ない。 「商品ラインナップは多くなり過ぎても分かりにくくなりますよね。でも、安定したリッジ表現を考えた上では、それぞれに適した強弱があったほうが、シンプルに薬剤選定ができるという判断に至りました。適材適所で使っていただけるように設定しています」

『QUOLINE』はダメージに配慮した設計が特徴だが、柔らかな質感の実現には同社の基礎研究を活かした「トリメチルグリシン（ベタイン）※」という、熱変性を抑え、髪が硬くなるのを防ぐ成分を配合した功績も大きい。時代のニーズに合った改良が、人気の秘密と言えそうだ。

※保護

メンズ市場におけるヒットなど
“クリームパーマ”の新たな可能性

質感、デザインを想いのままに表現できる『QUOLINE』だが、今新たに注目を集めているのがクリームパーマのアプローチだという。その動きとはどんなものなのか。

「ここ最近、各社でもメンズアイテムを販売したり、メンズ需要はとても高まっていると思うのですが、弊社の『QUOLINE』を使ったメンズパーマも好評をいただいているんです。クリームタイプの薬剤（液）を使ったソフトツイストや波パーマなど、メンズ市場において今人気の質感を提案しているという声は多いですね」

『QUOLINE』の操作性や使い勝手の良さは、当初想定していたストレートパーマやホット系パーマといったカテゴリーを超え、さらなる可能性へと広がりを見せているようだ。数度のリニューアルを経て、すでに完成度の高いラインナップを掲げている同シリーズだが、この先はどんな展開を考えているのだろうか。

「研究員達とは、毛先に対してのアプローチをより繊細にしていきたいね、と話しているところです。まだまだそこに大きなニーズがあると思っています」

時代の動きを予測し、寄り添いながら常に変化をしてきた『QUOLINE』。今後もさらなる進化を遂げながら、パーマユーザーを魅了し続けてくれることだろう。

POINT 01
「髪の個性」に合わせた設計で、多彩なデザインに対応

POINT 02
適材適所の商品ラインナップで、薬剤選定の不安を払拭

POINT 03
市場ニーズの的確な分析で、常に時代が求める質感を提供