強髪 HSC 15
美容液塗布→ポレーションで浸透という約7分の施術工程
頭皮用美容液は15%と100%の2種類から選べる
専用POPが用意され、顧客へ誘導しやすいシステム
2018年の発売以来、全国3,000店以上のサロンが導入
最新テクノロジーと5000年の伝統の融合
「ヒト幹細胞培養液」とは、幹細胞を培養した際に抽出した「上澄み液(培養液)」を指す。この培養液には多くの成長因子(細胞を活性化させる物質)が含まれており、現在、医療や美容分野において大きな期待が寄せられている。そのヒト幹細胞培養液を採用したトリートメントメニューとして、2018年の発売以降、着実に支持を伸ばし続けているのが株式会社cosbiの『強髪』である。
再生医療分野で研究されていた幹細胞培養液のテクノロジーが、美容分野で活用されるようになったのは、ここ数年のことだ。しかも『強髪』は、この最先端テクノロジーと、インドの「アーユルヴェーダハーブ」という5000年前から受け継がれる伝統を掛け合わせた、他に類を見ない製品である。
この組み合わせが生まれた背景を、同社の木田雅夫代表取締役はこう語る。
「元々、幹細胞培養液の生産会社が当社グループ内にあり、それを最大限に活かせる商品開発を10年ほど前から模索していました。そんな時、ある大学研究室の教授から『アーユルヴェーダハーブ』には幹細胞培養液の力を引き出す効果があるという研究結果を聞き、融合させることでさらに効率的に頭皮の健康を保つことができるのではないか、と考えたことが出発点です」
とはいえ、アーユルヴェーダハーブとヒト幹細胞培養液の混合比率や濃度の最適値を見つけるまでには、並みならぬ苦労があったらしい。そうして誕生した『強髪』は、発売から3年で導入店舗が3,000店を超えるほどのヒット商品に成長した。
効果があるだけでなく「提案しやすい」ことが最重要
しかし「確かな効果を持つ製品」ということだけが、ヒット要因ではない。
木田社長はこう続ける。
「良いものが売れるとは限らないのです。重要なのは、美容室が『提案しやすい』製品であること。そのためにも店販品ではなく、売り出すノウハウまでがセットになった施術メニューで、継続性が高く、かつ適切な価格帯であることを最優先としました」
その言葉通り、『強髪』は頭皮用美容液を塗布し、ポレーションで浸透させるというシンプルな工程で、所要時間約7分。プラス3,500円以上の単価アップを図れるという商品設計。セット面にPOPを設置し、顧客が手にしたタイミングで声掛けすることで、オーダー率50%以上を達成している。
顧客の未来を美容室が守る、というスタンスが大切
ただし、大きく支持されるためには大切なポイントがあります、と話すのは、同社ゼネラルマネージャーの大野雄亮氏。
「『強髪』は頭皮の健康状態の改善に優れた力を発揮しますが、『育毛』が目的ではありません。そこにターゲットを当ててしまうと、うまく展開できない可能性があります。老化に伴う髪の悩みで、お客様がおしゃれを諦めてしまうことが無いように、今から頭皮をいたわっていきましょうというスタンスを持つことが大切ですね」
木田社長も「自分たちのお客様の未来は自分たちで守る、という気持ちでお勧めして欲しいのです」と続ける。
人生100年時代と言われる今。美容室にとって「加齢で髪の状態が変わり、できる髪型が減っていく」ことで「おしゃれに対する自信や興味を失う」現象は、そのまま客単価の減少に繋がりかねない。そこに同社はいち早く着目したのだ。『強髪』はそうした「お客様の悩みを解決」し、且つ「スタイリストもアシスタントも売りやすい」「生産性が高い」製品だからこそ、今の時代のニーズにマッチしたヒット商品になったと言えるだろう。
>>>強髪 HSC 15のまとめ
Point 1
最先端テクノロジーと伝統を組み合わせるという着眼点
Point 2
「顧客の悩み解決」「美容室での売りやすさ」「生産性の高さ」のすべてをクリア
Point 3
顧客の髪の未来を守る、というスタンスが継続性を高める
取材協力:株式会社cosbi
*月刊『経営とサイエンス』2022年9月号 連載「売れてる一品!」より転載