2種のオイルを配合した新感覚の カラートリートメントが色持ちと発色の良さで人気

長く売れている「ヒット製品」には、愛される理由があります。
このコーナーでは、そんな珠玉の逸品を取り上げ、ヒットのヒミツを大解剖。
ユーザーに愛される理由を様々な角度から探ります。

『 TOKYO COLOR PALETTE 』

 


2種のコメ由来のオイルを80%以上配合したジェル化オイルカラー


近年のブリーチオンカラーの人気もあり、塩基性カラートリートメントの需要が増えた。手軽でダメージレスに様々な色を提案できるというメリットがあるが、その一方で色持ちが悪い、発色がしにくい、根元と毛先の染まりムラができるといった難しさもある。

そんな課題に立ち向かい、「ジェル化オイルカラー」という新しい発想を取り入れて注目を集めたのが、今回紹介する株式会社リトル・サイエンティストの『東京カラーパレット』だ。こちらは2022年10月に発売した製品で、2023年10月にアイテムが追加され、現在10品が販売されている。これらの製品開発に関わった研究開発部ディレクターの成瀬由賀里さんと、研究開発部 処方研の荻原祥吾さんに話を聞いた。

「『東京カラーパレット』はコメヌカ油、コメ胚芽油という2種のオイルを80%以上配合したオイル基材のトリートメントとなっています。これらをジェル化し、塩基性の染料をその中に微細分散させて、毛髪内部に染料を浸透させる特殊な処方設計になっています」(荻原さん)

現在、こちらの処方設計は特許出願中ということだが、元々、この製品は初期の開発段階ではごく一般的なクリームタイプのカラートリートメントだったという。しかし、根元と毛先の染まりムラが起こりやすく、納得のいく染まり上がりにならない。そこで「根元に溜まった皮脂が染料の浸透を邪魔しているからではないか?」と仮説を立て、皮脂に馴染むオイルをジェル化させ、そこに染料を溶かしたところ、しっかりと濃い発色が実現できたという。そこで「ジェル化オイルカラー」に大きく舵を切ったのだが、開発は難航したそうだ。

「ジェルの安定に多くの時間がかかりました。化粧品原料として使用されるありとあらゆるオイルを試してみて、たどりついたのがコメヌカ油、コメ胚芽油という2つのコメ由来のオイルでした」(成瀬さん)


シャンプーやトリートメントと混ぜて使う、ユニークな使い方


こちらの『東京カラーパレット』、面白いのがシャンプーやトリートメントと混ぜて使用することが推奨されている点だ。シャンプーやトリートメントと混ぜて使用することで、『東京カラーパレット』のジェルの乳化が崩れ、染料がオイルやトリートメントによって押し込まれることで毛髪内部に浸透する。この仕組みにより、ムラなく均一に染め上げることができるのだ。

また同社は元々、独自開発した油溶性ケラチンを配合したトリートメント技術に強みを持っている。同社のトリートメントと混ぜることによって、よりダメージ部の染まりムラを減らし、均一に染めることが可能になる。

「ドライ塗布が基本的な使い方ですが、トリートメントとの配合を変えることでブリーチ後のクイックメニューとして、シャンプー台でのウェット塗布も可能なため、幅広い状況での使用が可能です」(荻原さん)


日本の色文化を象徴する和をモチーフとした配色に新色が登場


またこちらの製品のネーミングには個性があり、日本古来の色文化を象徴するようなラインナップになっている。

「これまで塩基性カラートリートメントというと、ビビッドな色合いが特徴的でしたが、『東京カラーパレット』では日本古来の微妙な色のニュアンスに注目し、発売当初は日本古来の色文化を象徴する和の5つの色合いとして、桔梗(ききょう)・牡丹(ぼたん)・茜(あかね)・黒鳶(くろとび)・藍鼠(あいねず)を揃えました。その後、もう少し色の幅が欲しいというご要望を受けて新色の檸檬(れもん)・瑠璃(るり)を追加し、現在のラインナップになりました」(成瀬さん)

2023年10月には白髪ぼかしに使用できる、アルカリの入った白髪浸透ブースターに加えてグレイカラーに使用できる栗(くり)、薄墨(うすずみ)も登場。ブリーチオンカラーなどの使用だけでなく、ダメージを最低限に留めつつ、しっかり色を入れたいというグレイカラーへの対応も可能だ。『東京カラーパレット』は発売当初、日本各地でワークショップを開催し、毛束への染まりやカスタマイズ性の高さを実感してもらう場を多く設けたそうだ。それまで塩基性カラートリートメントは色持ちしない、発色が弱い、ムラになりやすいなどの印象を持っていたサロンも、実際に使用していただくことでこれまでの製品とは大きく違うと実感してもらえたのだそう。

1アイテムでブリーチオンカラーから白髪染めまで対応し、さらにサロンワークでの幅広いシチュエーションでの使用に対応できる『東京カラーパレット』。塩基性カラートリートメントの可能性を広げる製品として、今後ますます多くのファンを集めるだろう。

 

>>>まとめ

POINT 01

ジェル化オイルを採用した新しい塩基性カラートリートメント

POINT 02

トリートメントと混ぜて使い、色持ちや手触りアップ

POINT 03

ブリーチオンカラーだけでなく、白髪ぼかしも登場し、幅広く対応可能

 

取材協力:株式会社社リトル・サイエンティスト

*月刊『SHINBIYO』2024年7月号 連載「売れてる逸品!」vol.11より転載