長く売れている「ヒット製品」には、愛される理由があります。
このコーナーでは、そんな珠玉の逸品を取り上げ、ヒットのヒミツを大解剖。
ユーザーに愛される理由を様々な角度から探ります。
サブリミック
『ワンダーシールド』
「先進のサイエンスで、一人ひとりの髪と頭皮の美しさを生む源泉にアプローチする」をコンセプトに開発された、資生堂プロフェッショナル株式会社の『サブリミック』シリーズ。今回取り上げる『ワンダーシールド』はそのラインナップの一つであり、サロン用とホームケア用が用意されている。2018年の発売以来、特にホームケア用は店販で人気とのこと。その秘密を、同社ヘンケルコンシューマーブランド マーケティング本部 ヘアケア・スタイリンググループの鈴石倫之さんに聞いた。
紫外線、花粉、タバコの臭いから髪を守り
トリートメント直後の手触りをキープする
「『ワンダーシールド』の特徴の一つは、こうした外的ストレス※ から髪を守る効果があることです。開発チームの中に、紫外線やプールの塩素による髪のダメージに悩む家族がいたそうで、『外的ストレス※ が避けられないとしたら、それに負けない髪にするにはどうしたらいいか?』という思いが製品企画のきっかけになったんです」(鈴石氏)
さらにもう一つの特徴は、サロンで受けたトリートメント効果を持続する効果があること。『ワンダーシールド』を塗布することで、トリートメント成分を髪に閉じ込め、施術直後のようなツヤ、滑るようななめらかさを持続させることができる。サロントリートメントに対するお客様の反応として、「直後はいいんだけど、効果が持続しない…」という声をよく聞くが、こうした不満を解消する力のある製品なのだ
熱の力でネットワーク化して
髪の表面に強力なシールドを張る
「髪の外的ストレス※ を防ぎながら、トリートメント効果を髪に閉じ込める――これを実現しているのは、名前の通りシールド効果によるものなんです。『ワンダーシールド』を塗布すると、まず分子の小さいシールド成分が、毛髪全体に均一に付着します。その後ドライヤーの熱が加わることによって、シールド成分がネットワーク化し、高分子膜を形成。これで外的ストレス※ 物質の付着や、毛髪内部への侵入を防ぎます」(鈴石氏)
毛髪の表面を、持続性の高い高分子膜でくまなく覆う。言わば疑似キューティクルとも言えるシールドを張ることで、キューティクルがダメージしている髪でも、外的ストレス※に直接さらされるのを回避できる。これが『ワンダーシールド』に搭載されている独自のテクノロジーのなせる業だ。
そしてサロンで行ったトリートメント効果を持続させる仕組みはどうなっているかというと、ポイントは髪表面の疎水化にあるようだ。前述したシールド成分が髪を覆うことで疎水化するのだが、この成分は毎日のシャンプーで洗い流されにくく、シールド成分に守られることで、施術直後のツヤやなめらかさの長時間持続が可能になっている。
鈴石さんによると、この製品の開発には数年かかっているそうで、使われている成分それぞれの濃度や配合のバランスを決めるのが最も難しかったとのこと。シールドを張るといっても、カラーやパーマ処理の邪魔をしない製品であることも、プロフェッショナル向けメーカーとしては絶対条件だったそうだ。
3日に1度、30秒の手間で髪を守る
取り入れやすいケア習慣
発売から5年が経過している『ワンダーシールド』だが、昨年2023年には年間ブランド内出荷量No1アイテムにも輝いている。女性誌で読者モデルによる「お気に入りヘアケア剤」として取り上げられることも多い。一般の消費者にも受ける秘密はその手軽さにあるようだ。
「エンドユーザーにとって使い方が分かりやすい、簡単というのは大きいでしょうね。ミストタイプで、シャンプー後の乾かす前につけるだけでOKというのは受け入れやすいと思います。使用は3日に一度が目安です」(鈴石氏)
サロンで行う『サブリミック』トリートメントメニューには、髪の悩みや所要時間別に数種類が用意されているが、そのどれにも『ワンダーシールド』が組み込まれている。施術で使われた製品を自宅でも使えるという特別感も人気の秘密なのだろう。今後も「髪を労わる頼れるアイテム」として愛され続けていくはずだ。
※外的ストレスとその悪影響
水(カラー褪色) 紫外線(つや低下) 臭い(不快感) 花粉ほこり(汚れ) 塩素(ごわつき) 熱(パサつき) 湿気(広がり)*高温度高湿度下(37℃、90%で8時間後)
>>>売れてる3つのPOINT!
POINT 01
日常生活で避けられない外的ストレス※から髪を守る
POINT 02
サロントリートメントの効果を持続させる
POINT 03
乾かす前に塗布すればOKのミストタイプ
取材協力:資生堂プロフェッショナル株式会社
*月刊『SHINBIYO』2024年9月号 連載「売れてる逸品!」vol.13より転載