パーマやカラー、トリートメント、処理剤etc.……、
いろんなケミカルプロダクツのパフォーマンスを
夜な夜な検証している研究熱心な美容師さんを毎回、お一人、ご紹介する
「YONAYONA CHEMICAL」
ご無沙汰しておりました。久々の今回は、ヘアカラーとサロン照明について面白い検証をしてくれた方がいらっしゃったので、そちらをレポートします!
検証してくれたのは、この方❗
『SOCO.』の惠口航造 さんです。惠口さんのお店は、埼玉県の浦和市にあり、同世代である30代後半から40代前半までのお客様から支持されているそう。
そんな惠口さんが、ある日、セット面の蛍光灯が切れかかっていたため、LED光に買い替えたところ、“ちょっとした違和感”を覚えたのだそうです。惠口さんが抱いた違和感とは、お客様の髪色。
「LEDに変えた途端に、いつも見ている髪色とは違うと思ったので、翌日、以前から使っていたものを買って来てつけ替えました」
しかしここで終わらないのが、惠口さんのスゴいところ。光源で、ヘアカラーの髪色が変わることを知ったその日の夜には、ある検証を始めたのだとか。そこで活躍したのが…
ジャーン、演色計です。
厳密に言うと、こちらはカメラの露出計についているオプション機能を使っています。趣味で写真を撮る惠口さんは、演色計を使えば空間の色の状態を把握できるはずと仮説を立てていたのです。
というか、皆さん、演色計ってご存知ですか? 演色計とは、照明の光が物体色に与える影響を数値化して表す機器のこと。ちなみにこの機器で測定される数値を「演色評価数」と言うそうです。
通常、演色評価数は、15色の試験色が照射光の下でどう見えるかを表します。また数値が100の場合が自然光と同条件であることを意味し、最良の状態とされています。
検証マニアの惠口さんは、営業後、この機器を使って、光源別に数値がどう変わるかを実験しました。
まずは、現在の演色効果が高い空間での測定から。
数値は、「93.7」と限りなくベストな状態に近い状態です。
続いて、光源を変えて違和感を覚えたLED光の空間も測定してみます。
数値を見ると、「77.2」。なんと! 20弱も違います!!
さらに惠口さんは、ヘアカラーしたウィッグでも検証してくれました。ここでは黒髪に12レベルのカラーをしたものを用意。
ちなみに左半分はアッシュ系12レベル、右半分はピンク系12レベルでそれぞれワンメイクしています。
まずは、演色効果の高い空間で撮影したものです。
2色の違いが分かりますよね。
続いて、演色効果の低い空間(LED光)で撮影したもの
惠口さんいわく、
「元々、LED電球は演色性能が低いと評価される傾向があるようです。サロンワークでこの数値が低いとこんな影響があります。
アッシュ系は、実際よりくすみが強く見えたり、実際より赤味が消えて見えなかったり。ピンク系は、実際よりピンク味が薄く見えたり、オレンジっぽく見えたりするんです」
なるほど❗ やっぱ照明の影響は大きいですね。ちなみに惠口さんは、自然光の下でもウィッグを撮影してくれました。
確かに、演色効果の高い空間での写真の色みに似てるかも。惠口さんは、続けます。
「演色効果の低い空間でカラー施術をすると、サロンから外に出た時に色が変化してしまうので、お客様が違和感を持つことがあります。
またヘアカラーの調合も結果的に間違ったレシピでつくってしまうなど、根本的な部分にも影響が出てしまうんです。
ちなみに僕の検証では、サロンのセット面は演色評価数90以上がベスト。そうすることで外に出た時の色のギャップが少なくなります」
素晴らしい❗ これを機に皆さんのサロンの光源がどうなっているか、一度チェックしてみては✨
えぐち・こうぞう/1986年生まれ。大阪府出身。2010年、国際文化理容美容専門学校(渋谷校)を卒業後、いったんサラリーマンの道へ。その後、美容への情熱を抑えきれず、美容業界に戻る。美容室3店舗を経てた後、フリーランスのヘアメイクとしてのキャリアも積み、2016年に独立。現在、埼玉県浦和市に1店舗を経営。