施術者のやりやすさなどを考えて、座ったまま前方向にスイング可能

シャンプースツール
インテリア家具のようなスタイリッシュな雰囲気と使いやすさ、そしてリーズナブルな価格で人気の株式会社mateliから、初のシャンプー椅子『シャンプースツール』が発売された。
これまでスタイリングチェアやドレッサー、家具類といった、主にスタイリングスペースに設置する製品類の企画・開発・販売を行っていた同社から、初のシャンプー椅子の発売となった経緯を、同社代表取締役社長粕野忠司さんに話を聞いた。
「シャンプー椅子の開発を計画したのは、当社のお客様方からシャンプー椅子の選択肢が少ないという声をよく耳にしたからです。現在の市場を踏まえつつ、後発だからこその新たな製品特徴、そして当社の特徴であるデザイン性と機能性を高めながら無駄なコストを削減してリーズナブルな価格を実現する、という2点を実現するため、試行錯誤を繰り返しました」
こちらの『シャンプースツール』は、土台部分の流線形のスタイリッシュなデザインが特徴。機能的に大きな特徴は2点。まず1つ目が三角形の座面だ。自転車のサドルをイメージしたという三角形の座面を採用することによって、足で挟みやすくなり、安定感が出ると共に、力が入りやすくなった。しかし一つひとつの辺を鋭角にすると、挟んだ時に太ももが痛くなる可能性があるため、座面の表面だけでなく側面側にも二重構造でウレタンを巻き、またぐ時に痛くないように配慮した。またこの肉厚のクッションを、汚れがふき取りやすい上質なフェイクレザーで覆うことで、耐久性の高さと座り心地の良さを両立したそうだ。
「三角形の座面のデザインに関してですが、足の挟みやすさばかりを追いかけると、今度は辺が細すぎて座った時に椅子から滑ってしまう恐れも出てくるため、足で挟みやすく、かつ座った時に力が入るバランスを探しました」
もう1つの特徴は、角度調節機能を採用し、座面が前に6度から8度まで倒れるよう設計したことで、ヘッドスパなど長時間の施術も、座ったままで行動半径が広がり、最適な姿勢を保持することができる。


「最近多いヘッドスパメニューは手の力というより、体重をかけて身体全体で押し込むものです。この商品は椅子そのものの座面が前に倒れることによって、疲れにくく作業もしやすくなります。また座面が前に倒れることで、背の低めの方から背の高い方まで、様々な身長の方が自分の作業しやすい角度を見つけられます。特にシャンプーやヘッドスパの際に、背が低めで、力が弱い女性スタッフなどは、足を大きく開いてふんばる必要がありましたが、三角形の座面と、前傾姿勢が取りやすいこの製品を使うことで仕事がしやすくなったと、女性のモニターの方から好評でした」
こちらのシャンプー椅子は水回りへの耐久性を高めるために樹脂カバーを2重構造にし、水が内部に侵入しても外に流れていくよう設計した。シートのフェイクレザーは程よく密着する滑りにくい素材を採用することにより、施術中の傾きにグリップをきかせることができ操作性を向上させている。


こまやかな点まで、使う側の目線を意識したという『シャンプースツール』。今後のシャンプー椅子の選択肢を広げるアイテムになりそうだ。
株式会社mateli
代表取締役社長
粕野忠司
取材協力:株式会社mateli
*月刊『経営とサイエンス』2022年12月号 連載「気になる新製品」より転載