【シザーケースの中身を見せて!】『unica by Belle』新井直樹さんの愛用品を紹介

美容師の皆さんのシザーケースやシザーなどの愛用品をご紹介していただくこのコーナー。第2回目は、卓越したカット技術に定評があり、弊誌2月号の「全方位レイヤー」のカットテク企画もご担当をいただいている『unica by Belle』新井直樹さんが登場です。

——どんなシザーケースをお使いですか?

シザーケースはスタイリストになった時につくったんですけど、自分はハサミが好きでいっぱい買うだろうなと思っていたので、入れるところを追加してもらって6丁入れられるようにしています。

——機能的なシザーケースですね。お気に入りの様子が伝わってきます。それでは今度はシザーについてお伺いします。普段シザーはどんなものをお使いですか?

右から順にシザー2本、セニングシザー3本、レザー1本の計6本。

①メインで使っているブラント用シザー
②ドライカット用のメインシザー
③メインのセニングシザー(削ぎ率25%)
④メンズなどで使うセニングシザー(削ぎ率40%)
⑤顔周り等に使う跡がつきづらいセニングシザー(削ぎ率10%)
⑥レザー

①メインで使っているブラント用シザー

刃先までバチっと切れるような素材でつくられていて、6.3インチと少し短めなので小回りも利くタイプ。僕は大きくパネルを取らず、細かく取り分けて切っていくので、ロングシザーというよりはこれくらいのサイズ感がお気に入りです。

②ドライカット用のメインシザー

これは実はウェットカット用のシザーなんです。ウェットのシザーのハンドルをちょっとカスタムしてもらっています。刃先1/3は掴みやすいように、また根元部分は若干逃がし気味になるように研ぎも変更していて、チョップカットもスライドカットもできるようにしています。

普通、デザインをする時は笹刃※や、ドライ用のシザーを使ったりすることが多いと思うんですが、僕は力の加減でコントロールしたいタイプなので、ちょっと動かしただけでバサッと切れるように、あえてウェットのシザーをカスタムしてドライカット用として使っています。

※笹刃・・・刃が曲線になっているシザーのこと。

③メインのセニングシザー(削ぎ率25%)

メインのセニングシザーは削ぎ率が25%のものを使用。ちょっと抜けがいいように刃先を丸めて逃げるように研いでもらっているので、実際の%としては23%くらいになっていると思います。

④メンズなどで使うセニングシザー(削ぎ率40%)

40%のセニングシザーはメインで使うというよりは、メンズを担当する時に使用することが多いですね。レディスの場合でも、短くしたいけれど刈り上げたくないという人の時に、いっぱい開閉をしてぼかしながら長さを切ったりするのに使っています。

⑤顔周り等に使う跡がつきづらいセニングシザー(削ぎ率10%)

形状が特殊で、逃げるようになっているので、極力セニングの跡をつけないタイプのセニングシザーです。全体の量を減らすというよりは、前髪や顔周りで細かいディテールをつくりたい時に使っています。

⑥レザー

レザーに関しては、変わった形状のものを使っています。ロンドンに行った時に、たまたま美容フェスみたいなのがあって、そこで一目ぼれしたもの。どこのメーカーのものかもわからないんですが。この形状がめちゃくちゃ手に馴染んで、持ちやすくて使っています。鉄で重いので、力をかけずに切れるのが便利です。

__シザーのメンテナンスはどうされているんですか?

シザーのメンテナンスは1か月に1回、ハサミ屋さんに来ていただいて、コンディションをチェックしてもらいます。その時に研ぎが必要であれば、出しているという状況ですね。あと、僕の場合はセニングだったりドライだったり、逃がし方と掴み方に結構こだわりが強いので、研ぎ師さんと直接やりとりをさせていただいて、「ここの1/3の刃をこうしてくれ」といった微調整をしていただいています。その方は何人も試してやっと出会えた方という感じです。

__それぞれこだわりが感じられますね。自分に合うシザーを選ぶのって難しいと思いますが、どのように選んでいるのでしょうか?

僕もハサミ選びは苦労していて、何度も買い替えているんですが、結局やっぱり自分の手に馴染むものが一番かなと思っています。ハサミ屋さんによっては自分用にカスタマイズもしてくれたりするので、わがままを言ったりもしていますね。あと、セニングに関しては、やはり素材によって切れ方が変わってくるので、そこは妥協せずに試し切りなどをさせていただいたりすると、自分が使いやすいハサミが見つかるんじゃないかと思います。

——新井さんのシザーのお話、とても興味深かったです。ありがとうございました!

新井直樹 / unica by Belle

あらいなおき 1988年生まれ、新潟県出身。国際ビューティモード専門学校を卒業後、都内1店舗を経て、2010年に『Belle』のオープニングに参加。Belleグループの個人年間売り上げ1位になり、Belle統括マネージャーに就任。美容師の可能性を広げることを目指し、自身の経験や技術を伝える活動にも尽力。2024年1月に社内独立を果たし、吉祥寺に『unica by Belle』をオープン。□arai_unica

弊誌2月号の「全方位レイヤー」企画については、こちらをご覧ください!
https://www.shinbiyo.com/shinbiyo-2025年2月号/

YouTubeにて「全方位レイヤー」の新井さんのウイッグカットテクも公開していますので、そちらも要チェックです!
https://www.youtube.com/watch?v=VhUPl8biEMI&t=5s