各地の美容師さん方の様々な活動をピックアップしていきます!
今回は東京・赤羽の美容室『To be…』代表 北沢尚史さんの「子供向けヘアアレンジ教室」を紹介。北沢さんは東京・江戸川区や墨田区にある老舗サロンの店長を務めた後、2009年にマンツーマンサロン『To be…』をオープン。高い技術力と共に、話好きという北沢さんの明るいキャラクターが人気でリピーターが多いのだそう。

店内の様子
そんな北沢さんが「子供向けヘアアレンジ教室」を始めたのは、昨年、お子さんが通う小学校での呼びかけがきっかけだった。
「その小学校では、地域の人や保護者が講師となり、夏休みの期間を使って子供たちに講座を開く企画を行っているんですが、これまでスポーツ、株、絵本など様々なテーマでの講座がありましたが、美容に関する講座は一つもありませんでした。そこで、子供たちに自分で髪を扱う楽しさを味わってもらいたいと思い、計画を練りました」
まず北沢さんは自分のお子さんを生徒役にして、約1年かけて技術を整理。1~2年生編、3~4年生編、5~6年生編と扱う内容にレベル差をつけていったそう。
「髪のとかし方に始まり、シャンプーの仕方や髪の乾かし方、寝ぐせの直し方といった基本から、一つ結び、くるりんぱ、三つ編み、キャンディヘアなどのアレンジのテクニックなどを整理していきました」
当日はイラストつきのテキストと、ヘアゴム数種類とコームといったヘアアイテムを用意。

当日の様子。興味があれば男の子もOK

当日プレゼントしたヘアアイテム一式。子供でも使える小さなコームとゴムやピン数種類
「テキストはイラストがうまい妻に依頼しました。また美容室ならではの雰囲気を味わってもらいたいということで、ヘアアイテムは子供向けの一般商品ではなく、あえてプロユースのものからチョイス。みんな興味津々でしたね」
北沢さんの奥さんのアサミさんも美容師。イラストが上手で、子供の関心を引くようにカラフルなテキストを作成してくれたそうです。また講座当日はサポート役としても活躍しました。(テキストのクオリティの高さはぜひ写真をご覧ください)

こちらはすべてアサミさんの手作り!
「当日は美容の世界を味わってもらいたかったので、美容師さんの講習会さながらにウィッグを使って解説していきました」
アットホームな雰囲気にしたいということで、1レッスン10人程度で2時間かけて行った。
「実際にやってみて、みんな楽しそうにしていました。わかりにくいところは、髪が長い妻が自分の髪を使ってやって見せながら、子供たちをサポート。高学年ともなると自分の髪を触り慣れているせいかみんな上手で、もう少しレベルを上げてもよかったなと思うくらいでした」

自分の髪の毛で手本を見せるアサミさん
当日は思わぬお客様も。
「小学生向けの講座だったのですが、近所の美容師の仕事に興味がある中学生の子が、一緒に受けたいということで参加してくれました」

奥で北沢さんの話を熱心に聞いているのが美容師の仕事に興味がある中学生の女の子
講座の様子は地域にも紹介され、普段、美容の仕事に馴染みがないような北沢さんのパパ友などからも「意味のある活動だ」「子供のために続けてほしい」という声が届いたそう。
「丁寧に準備した分、反響があって嬉しかったですね。以前働いていた店のオーナーから、『美容師として培った自分の技術を伝承する場を持ちなさい』と言われたことがありました。昔はその言葉を、業界向けに発信せよ、ということなのかと解釈していたのですが、ふと、こうやって次の世代向けに、自分が学んだことを役立てることも伝承と言えるんじゃないかと思い、やりがいを感じています」
ただ、いくつか課題を感じているという北沢さん。子供向けということもあり、親御さんが付き添える土・日での開催となるため、活動を始めて数回が経つが、すべて店を閉めて取り組んできた。また今は当日使用するアイテムを無料で提供しているが、継続するならどうするかも課題だ。
「お客様からは、この活動を応援していただいており、できるだけ長く続けたいので、無理のない方法を考え中です」
今年も夏休みでの実施を計画中だそう。これがきっかけで美容の仕事に関心を持つ子供が増えたら嬉しいと北沢さん。
地域での期待も集めている北沢さんの活動、応援しています!

子供たちが自分でヘアアレンジした仕上がり。上手!
北沢さんと奥さんのアサミさん。これからも頑張ってください!