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今回、お話をお聞きしたのは、東京を中心に店舗展開する『ZENKO』(堀内将男代表)青山店店長の宮本敦史さん。老舗サロンの『ZENKO』では入社式の際に、コンテストなどのクリエイティブ活動で結果を残したスタッフ、技術売り上げや店販売り上げで結果を出したスタッフなどを表彰します。
その中で最高峰とも呼べるのが『ZENKO賞』。1年で最高の売り上げを記録したスタッフ1名に贈られる賞で、今年は青山店店長の宮本敦史さんが受賞しました。(編)はこの入社式にお邪魔したのですが、その際のコメントが印象的だったので、後日少しお話をお伺いしました!
shinbiyo:『ZENKO賞』受賞の時に、「遠い店舗に異動となり、売り上げがほぼゼロになった」と話していましたよね。
宮本:はい。ちょうど10年前、28歳の時にこの青山店に異動になりました。それまでは東京の国領や橋本エリアの商業施設内のサロンで働いていたんです。インショップということもあり、女性中心に多くのお客様を担当させていただいていましたが、青山店に来て売り上げがほぼゼロになりました。
shinbiyo:前の場所からは1時間以上かかりますよね。インショップの便利さに慣れたお客様には通うのはちょっとつらい距離ですね。
宮本:はい。もうがっかりするほど、お客様が来ませんでした。それでどうしたものかと思い、手始めに時間がある限りチラシ配りに立ち続けました。またその頃からSNSも始めました。

宮本さんのインスタグラム (zenko_miyamoto_) メンズのパーマスタイルが多い。
チラシ配りは受け取ってもらえないことがほとんどでしたが、続けていくと、男性のお客様やベビーカー連れのお客様が足を止めてくれるんです。
僕は店の前を通る全員に笑顔でチラシを配って、自分自身も売り込もうと思っていたので、男性だから、お子様連れだからと敬遠せずにお配りしました。それがよかったみたいで、特に男性の方からは「美容室のチラシをもらうことが少ないから、興味を持った」と言われて、来店のきっかけとなった方もいらっしゃいました。
shinbiyo:青山店は男性が入りやすい落ち着いたインテリアだし、エレベーターも個室もあるのでお子さん連れが入りやすいのも良かったですね。
宮本:はい。元々『ZENKO』はファミリーで来店しやすい店づくりをしているので、それが喜ばれました。この辺りから、「男性客にアピールするのはどうだ?」と思うようになったんです。というのも、先輩から引き継いだお客様にたまたま男性が多く、そのお客様達にスピーディな仕事を褒められることが多くて。僕は長いことインショップで働いていたので、「手早く正確に」という仕事が身についていて、それがここでは武器になると確信したんです。またチラシ配りで男性の方への手ごたえを感じたのも大きかったです。
shinbiyo:そこからSNSもメンズデザインに特化したんですね。
宮本:特にその当時少なかった、メンズのパーマにターゲットを絞って打ち出しました。というのも、アラサーだった自分も毎日仕事に忙しくてスタイリングが面倒だなと思うことがあって。パーマをかけるとすごく朝が楽になるので、自分のような男性のお客様は多いはず、と思ったんです。そこで積極的に提案して、お帰りの際に写真を撮らせていただくように。その積み重ねで投稿数が増え、それを見た方が来店するという流れをつくることができ、客数が伸びてきました。
今考えると大胆に方向転換したな、と思うんですが、その時は自分がここで生き残るにはこの道しかないと思ったし、またこれからは男性も美意識が高い方が増えるから、先行者にはチャンスがあると思いました。現在は男性客が8割ほどで、その中の6割がパーマをオーダーされますね。また青山店自体のメンズ比率も上がって、メンズデザインを得意とするスタッフも増えました。
shinbiyo:宮本さんがチャンスを掴んだのは、ピンチの中でも行動することや、サロンを利用するお客様側の視点に立って戦略的に打ち出し方を考えることなど、行動力や客観性が大きなきっかけになっていますね。
宮本:僕、若い時はセンスも技術も自信がなくてなかなかチェックに受からなかったんです。ただその頃から読書は将来的に役に立つと思っていたので、経営者が書いた本をたくさん読んできました。何冊も同じカテゴリーの本を読むと、いくつか共通して書いてあることがあるんですね。例えば行動力や客観視の大切さなど。自分はまだ何者でもないけど、こうしたことを守ればいつかは実を結ぶはず、と思い、1年生の時から店の行事やコンテストに参加したり、幹部クラスの飲み会にアシスタントなのに出席したりして。「なんでお前が?」って苦笑されつつも、幹部の熱い話に加わっていました。今思うと色々なチャンスにつながったし、様々な考え方を学ばせてもらいましたね。
shinbiyo:入社式のコメントを「新入社員には周りから推される人になって欲しい」と締めくくりましたよね。これはそうした若い時の経験から出た言葉ですか?
宮本:そうですね。スタッフからもお客様からも推される美容師は結果が出やすいと思います。今やっていることに対して一生懸命に取り組んで、自分なりの得意分野をつくって欲しいな、と。美容の仕事は大変なこともあるけど、強みがあれば乗り越えられることも多いと思います。
特に『ZENKO』は学ぶ技術の幅や深さが特徴的で、この特化の時代に焦る若い子もいるかもしれないけど、お客様が自分でできないことや習得するのに時間がかかることは、AIの時代でも生き残ることができると思うから。今回「ZENKO賞」をもらえたことで、今までお世話になった先輩達への恩返しができたと同時に、今度は店長として周りから推される子達を育成したいです。

宮本さん。売り上げの高い先輩スタイリストが多い中で「ZENKO賞」を取れた時は、思わず心の中でガッツポーズをしたそう。


