ヘアは「New Normal」、帯結びは「奏海(かなた)」と「流麗(りゅうれい)」 コロナ禍を意識した創作意図
第106回トップマスターズモード発表/全日本美容講師会

全日本美容講師会(福島吉範会長)は7月7日午後5時から、都内港区のグランドニッコー東京台場で「第106回トップマスターズモード発表会」を開催した。発表会ではヘアの創作チームメンバーが「New Normal(ニューンーマル)」を、また帯結びメンバーが「奏海(かなた)」と「流麗(りゅうれい)」をそれぞれ紹介した。新型コロナウィルスの影響で昨年の第105回発表会は中止となっており、久々の今発表会も参加人数を抑えての開催となったが、ステージには「ニューモードで業界に元気を取り戻したい」という会員たちの思いが溢れていた。

105回発表会の中止後、106回発表会は当初OMC主催の世界大会(日本開催)で併催が予定されていた全国大会の中でPRステージとして行われることになっていたが、収束しないコロナ禍による世界大会の中止や全国大会の無観客開催を受け、この日の発表会が設定されたもの。このため、例年の発表会をコンパクトにまとめた特別バージョン仕様となった。

開会セレモニーでは初めに、去る6月14日の第4回通常運営委員会で選任された新役員(既報)が紹介された。新執行部を代表して挨拶した福島会長は「一年間頑張ってきた創作メンバーたちの奮闘に何とか報いたいと考え、普段はウエディング専用だという会場を無理を言ってお借りした。もっと多くの会員に見てもらいたかったが、ソーシャルディスタンスを理由に100名以内という制約の中で何とか開催にこぎつけた」と述べ厳しい状況下での発表形式に理解を求めた。同会長はさらにコロナ禍による諸事業執行への影響についても触れ「中止となった新井唯夫先生による高度研修会も今年度は二か所での開催を予定している。高い会費を負担して頂いている会員の皆様から『入会していて良かっと』思ってもらえる内容を目指したい」と新年度の事業執行に意欲を見せた。福島会長はまた特別賛助会員の(株)ガモウ、タカラベルモント(株)、賛助会員の(株)アリミノを紹介し協賛への謝辞を述べた。

セレモニーの最後に井眞人全美連理事長が「コロナ禍で多くのイベントが中止となったが、皆さんの努力でこうして素晴らしいステージが実現した。この後の研修会で勉強した方々が、全国の組合で開催されるトップマスターズモードの普及講習会に講師として出向いてもらえることに感謝します。厳しい状況下にあっても、お客様はサロンに来れば元気になれるということが大事だ。その意味でも美容業界にとってヘアや着付けは欠かすことが出来ない。普及活動が全国で成功し、このモードがより多くのお客様に届くことを祈念しています」と祝辞を述べた。

ヘアの創作ステージでは創作メンバーの中居由佳(チーフ、富山県)、AKIRA(東京都)、平塚考博(静岡県)、鎌田広大(岡山県)の各氏が「New Normal」のテクニカルポイントをデモンストレーションした。ニューノーマルの創作コンセプトは「持続性があり、マスクをしていても外していても素敵に見えるヘアデザイン」で、顔まわりの深さに注目し、レングス別にスタイルを提案している。ショート、ミディアム、ロングのカットテクニックは基本的に同じで、フロントの長さや切り込む深さで変化させてあるという。しっかりとしたフォルムに透け感や動きのあるフロントがポイント。一つの型にこだわらず、切り込む深さを変化させることで様々なバリエーションにつながるという。

いっぽう、帯結びの発表ステージには奏海チームから酒井カヨコ(チーフ、東京都)、芝原ミサコ(奈良県)、また流麗チームから中田眞智子(チーフ、神奈川県)、藤綿美香(長野県)の各氏が出演して、今年度開催される予定だったOMC世界大会/全美連 全国大会の開催地横浜をイメージしたエレガントな帯結びを披露した。「奏海」は、果てしなく続く未来への航路へと誘ってくれる“ロマン”をネーミングに込めたという。また「流麗」には「厳しい時代の中にあっても明るく麗しい未来を目指して前進しよう」というメッセージが込められている。

閉会の辞で福島会長は「今期の帯結びではヘアスタイルがわかるよう髪飾りを極力控えた。2期目の会長の責務はベテランに光を当てながら、若手にはチャンスを与えることだと思っている。全国の会員たちと知り合うことにも努めたい」と抱負を語った。

発表会終了後に行われた記者会見では、ヘアと帯結びの各創作メンバーが創作の意図や技術ポイントなどについて説明した。

  • ヘア「New Normal」

「マスクをすると顔のかなりの部分が隠れるので、パーソナルカラーにアイメイクをしっかり合わせて表現した。マスクのためリップが無くても通用するように、アイシャドーにアクセントを持たせた(メイク担当/AKIRA)」

「マスクで顔周りが暗くなると印象までも暗くなってしまうので、顔周りにレイヤーを切り込むことで明るい印象が生まれる。ポスターには今回初めてQRコードを付け、イメージ動画を見られるようにした(中居由佳チーフ)」

  • 帯結び「奏海」

「お客様が持っている普通の帯で結べるものを目指した。スタジオ等で記念撮影する場合も、肩越しに帯が見えるような結び方を考えた(酒井カヨコチーフ)」

  • 帯結び「流麗」

「力強く流れるパンチの効いたシルエットを意識し、鋭角的な部分がつながって流れていくイメージで創った。短い帯でも形やバランスを心がければ誰でも結べる帯結びを考えた。今は外国の人も着物を着る時代なので、チャレンジのしやすさも考慮した(中田眞智子チーフ)

開会セレモニーで挨拶する福島会長(右)と副会長の鳥海利江子(中央)、岩見悠紀子氏

祝辞を述べる井眞人全美連理事長

ヘア創作メンバー。左から中居由佳チーフ、AKIRA、平塚考博、鎌田広大の各氏

帯結び創作メンバー。左から「奏海」チームの芝原ミサコ、酒井カヨコ(チーフ)、

「流麗」チームの中田眞智子(チーフ)、藤綿美香の各氏

ヘアと帯結びのそれぞれの発表ステージ