全日本美容業生活衛生同業組合連合会(吉井眞人理事長)は1月19日午後1時から、都内千代田のホテルニューオータニで第390回理事会を開催、付議事項の第50回全日本美容技術選手権大会(群馬県)の入場料に関する件等を含む全ての協議事項および報告事項を承認可決した。
𠮷井理事長による開会の挨拶に続いて藤原國明副理事長の司会で議事が進行された。報告事項では各委員会の委員長から事業等の進捗状況が報告された。このうち組織強化・広報委員会では、井手口宥公委員長が昨年11月の東海・北信越ブロックを皮切りにスタートした令和3事業年度全美連組織強化担当者会議について概略を説明したあと他ブロックの開催日程も紹介、その上で「組合の組織拡大は美容師免許の堅持および業界の健全な発展のために必要不可欠だ」と危機感を込めて組織強化の重要性を訴えた。
また事業・教育委員会(澤飯廣英委員長)からは、現在厚労省と折衝が行われている「訪問美容」問題に関して昨年末に厚労省から各都道府県の衛生主管部長宛に課長通知が発出された件について事務報告があった。最近増えている、美容所を開設しないで出張美容(訪問美容)だけを専門的に行っている業者への規制について、全美連では衛生確保の観点からこれまでも厚労省など関係機関にあらゆる機会を通じて規制強化を要請してきており、平成19年には厚労省から「出張美容の実施主体は衛生管理の観点から美容所の開設者が相応しいが、開設者に限定しない場合には衛生措置が確保されるよう条例・要項等の設定を行うこと」という健康局長通知が各都道府県に出ており、更に令和元年にもこの局長通知と同じ内容の再通知が発出されている。このほか、厚労省では同年に各都道府県および政令市等に対して出張美容に関する条例等の制定状況についても調査を行っている。
事務報告によると、昨年末の通知内容は「店舗を有しない所からの出張は出来ない」というところまでは踏み込んでいないものの、各都道府県の条例等によって実際に行われている様々な規制の事例を紹介しながら条例の制定を促しているという。ただ、同通知が出たとはいえ放置したままでは改善が期待できないことから、同委員会では2月2日に急遽委員会を開催して今後の進め方を協議、場合によっては各県組合に協力を仰ぐ陳情活動等の具体的な対応策も検討することになった。
この他、1月13日に開催された「第1回美容師の養成のあり方に関する検討会」についても事務局から報告があった。これは、令和3年7月に政府の第18回規制改革推進会議投資等ワーキンググループでの「美容師制度のあり方」で必要な改善策の検討が求められたことを踏まえて、実技試験や養成施設在籍時の実習等について検討に資するために開催したもので、本年3月末までにあと2回の計3回開催されるという。
同検討会の構成メンバーは岩田卓郎(一般社団法人日本美容サロン協議会 副理事長、株式会社エアーエンターテイメント代表取締役社長)、遠藤弘良(公益財団法人 理容師美容師試験研修センター理事長)、谷本頴昭(公益社団法人 日本理容美容教育センター理事長)、津田まどか(ヴィヴィディ代表取締役・中小企業診断士)、原恒子(専修学校徳島県美容学校理事長)、福下公子(公益社団法人 東京都眼科医会会長・眼科医)、宮崎孝治(※座長・江戸川大学副学長)、吉井眞人(全美連理事長)の各氏。
第1回目の検討会では事務局(厚労省)から美容師制度の概要等に関して説明があり、このあと各構成メンバーから美容師養成のあり方について所感が述べられたという。同検討会ではこのほか、美容師養成のあり方に関する意識調査も美容師および養成施設を対象に実施しており、調査結果については全美連が国の補助金を活用して集計・分析作業を行う。
外国人美容師の就労問題については金内光信副理事長から進捗状況が報告された。金内副理事長によると、外国人美容師就労実施機関である一般社団法人の立ち上げ作業はすでに終え、現在全国の美容学校(約260校)にこの実施要項を送付している段階だという。2月末には外国人美容師の受入れを希望しているサロンへの説明会も開催する予定で、今後の見通しについて金内氏は「とくに大きな問題は無いと考えている」と述べた。
なお、議事に先立って福島吉範全日本美容講師会会長が、8月30日に札幌で開催予定の「第107回トップマスターズ(TM)モード発表会」について説明した。福島会長は「3年ぶりの開催となる。発表会の出演者は各組合における普及講習会の講師対象者でもあるのでぜひ支援をお願いしたい」と挨拶した。
挨拶する𠮷井眞人理事長
理事会のもよう
議事に先立ち総合福祉共済制度加入者増強運動等の表彰式が行われた
外国人美容師の就労問題について報告する金内光信副理事長
第107回トップマスターズモード発表会(札幌)について説明する全日本美容講師会の福島吉範会長
第50回全日本美容選手権大会の開催県(群馬県)を代表して挨拶する町田仁一理事長
(取材:小牧 洋)