株式会社ミルボン(佐藤龍二社長)は、2月7日に政策プレゼンテーション「NEXT VISION 2022」を開催。昨年に続き、今年もオンラインで配信した。
[コロナ禍による日本経済の影響と要因]
■ 企業の債務過剰感
大企業で15%、中小企業で33%、さらに物価高も重なり今後はさらに厳しさが増す。
■ 厳しい業種業態
交通宿泊業、飲食業、織物・衣服・アパレル関連が顕著で、緊急事態宣言・蔓延防止対策や外国人訪日インバウンド消滅がその要因だが、コロナが収束すれば改善に向かう。それに対し構造的課題として、「総人口減少・少子高齢化による市場縮小」「生産年齢人口急減による労働力不足(2000年からマイナス14%)」「特殊な商習慣や積年の業種構造的課題」「技術革新・デジタル化の加速」「新技術や新たなビジネスモデルの台頭」など、コロナが収束しても改善しない、持続していく本質的課題に取り組んでいく必要がある。
[経済の構造的変化]
■ニューノーマル時代の到来
・人々の価値観、行動様式の変容
・デジタルトランスフォーメーションの加速
■経済における大きな「ゆらぎ」
・物的消費から価値観消費への高まり
・サステナビリティ、カーボンニュートラルへの対応、気候変動意識の高まり
・地政学リスクが高まる時代の再到来
・大・中年のスマートシティ化、小都市のコンパクトシティ化、過疎地域の加速
・中間層の地位の不安定化
これを踏まえて、2022年は経済における構造変化の始まりであり、ターニングポイントの年。 今後10年に向けての向き合い方として、
[4つのパラダイムシフト]
1. 財務的利益・社会的利益の追求
2. 先が読めないことを前提とした事業活動
3. 付加価値の追求
4. 変化に対応できる人材マネジメント
[5つの戦略的アクション]
1.目指すべき方向を再定義する
2.不透明感への耐性を高める
3.シナリを構想力を高める
4.デジタル基盤を強化
5.社員のエンゲージメントを高める
[美容市場における背景]
美容産業の構造的課題である、社会保険、労務、賃金、採用、教育時間など、事業基盤の強化が必要であり、新たな価値/サービスへの転換創出、美容室の「あり方」の変革が必要とされている。
以上を受けて、次の政策を発表した。
美容室の新たなありかた改革
~サロン ソーシャル イノベーション~
(1)スマートサロン戦略
美容室のあり方として、デジタルとリアルが融合した顧客体験の場を目指す。デジタルでは生活者視点のストレスフリーな購買体験を実現するため「milbon:iD × POS連携」等を進め、リアルではビューティプラットフォームとしてのサロン空間の開発や、生涯価値の向上を実現する「知販管理メソッド」「知販教育システム」を開発し、知販ビジネスの未来をつくる。具体的には、商業エリアに新時代のビューティスポットとして、サロンと協働でモデルサロンを開発。全国100都市、500~1000サロンの展開を目指す。
(2)ビューテイライフケア戦略
ヘアケア、スキンケア、ビューティヘルスケアの3ケア構想によるビューティプラットフォームの実現を目指す。新たな中長期の挑戦となるビューティヘルスケアは、花王と協業で美容室で販売する経口ビューティヘルスケア商品を開発。確かな知識と知見にエビデンスに基づき開拓を行う。2022年後半にテストマーケティングをスタートし、2023年の開始を目指す。
[2022年取り組み方針]
■「スマートサロン戦略」と「ビューティライフケア戦略」を進めることで、美容室が街々の「ビューティプラットフォーム」となることで、技術売上:知販売上=1:1という、美容室の新しい新たなあり方に挑戦していく。
■「ビューティプラットフォーム構想」とは、「生活者が生涯美しく生きる」「美容師が生涯働き続けられる」ための美容産業として持続可能性を追求する。
■ 地域の人々の美しい生き方を応援し、未来に繋がる豊かな社会、サステナビリティ=住み続けられるまちづくりを目指す。
取り組み初年度の2022年は、「ビューティプラットフォームの土台創り」になるアクションとして、寄り添うDX、キャリアパス人材育成、ブランド&プロモーションの3つの軸より展開。
[寄り添うDX]
以下のDX戦略を続けることで、リアルサポートと併せサロンへの支援をより一層強化する。
■milbon:iD
会員数約17万人となった、milbon:iD の平均購入単価は¥12,000で、店舗平均¥4,872の購入単価と比べると非常に高いと報告(「ミルボン経営指数調査2021」による)。これは、美容室来店時の支払いタイミングとは別であることが、大きなサイズのリピート購入や、類を拡大した購入につながっていると考えられ、新たな購入体験が高い購入単価を実現している。今後はライブコマース機能を開発し、iD会員に向けてオンライン上で商品情報を伝えることで新たな知販の購入体験を提供していく。さらにmilbon:iD取扱い商品に関心のある見込み客をサロンに送客するために、デジタル&リアルのポップアップショップを展開する。
■エデュケーション iD
昨年4月からスタートして現在は、登録者約9,000名。マルチスキル習得の自己学習サイトとして、学習時間の効率、学習内容の統一性など、サロンの教育ベースとして活用が進んでいる。11月からは受講に必要なデータ入力が行える機能を追加し、自身の学習履歴・実績の可視化と併せ、サロンの管理者昨機能も追加され学習状況に合わせた周囲のサポートができる環境が整う。そして今年度より、ミルボンスタジオで行われる全セミナーの申し込みをエデュケーション iDへと移管し、さらに動画視聴サイトをスタートさせ、デザインや技術、マインドに触れる動画など魅力あるコンテンツを数多く準備。「びよーしどーが」など従来の教育サイトの機能をエデュケーション iDに統合する。
■データマーケティング
新たに知販に関する情報を管理する「知販管理メソッド」を開発し、生活者に寄り添う提案を継続することで、知販向上支援を行う。顧客とのコミニュケーションを深め、ヘア、コスメそれぞれの使用類数を増やし、最適なサイクルでのリピートを促すことで愛用顧客育成を進める。また、エリアマーケティングの新たな支援ソフトとして、従来の住んでいる人・訪れる人の情報に加え、自店の情報を組み合わせることで、個店ごとに異なる状況に合わせた出店戦略や既存店支援のサポートを広げる。
■MILBON DIGITAL ARENA
昨年6月にローンチしたDIGITAL ARENAはアプリダウンロードは役10,000人。今年度もモチベーションアップにつながるコンテンツを開催し、操作性・安定性をさらに高めながら進化させていく。また美容クイズゲーム機能を追加し、日頃からアプリを利用し楽しみながら美容知識を身につけるサポートを行う。
[キャリア人材育成]
今年度より生活者視点、社会視点によるビューティプラットフォーム構想実現に向け、知販教育とデザイン教育を柱に新たなキャリアパスに対応する人材育成を提案。
・キャリアパス ショートフィルムムービー
・キャリアパス育成プログラム
・ビューティソムリエ育成制度
・アビリティイベント
※DA(Design Abilities)は今年度よりコンセプトを一新し、統合的なアビリティイベントとして革新。
[ブランド&プロモーション]
■ Aujua
クライマティックケアシリーズ『エクスシールドライン』/2月発売予定
ヘアケアシリーズ『リペアリティライン』追加アイテム/夏発売予定
■ MILBON プレミアムポジション
育毛ケアライン『エンハンシング ビバシティ』/3月発売予定
『エイジングケアシリーズ』/6月発売予定
■ Villa Loyola
『ヴィラロドラ カラーパレット』/2月発売予定
『レノーボ アウトバス トリートメント』/6月発売予定
■ iMPREA
『トーンアップ CCクッションファンデーション』
『ホワイトニングレーザーショット』グランドサイズ
日中用美白美容液『クール ホワイトニングデイセラム』
/全て3月発売予定
■ CRONNA
『フレッシュシャーベットシャワー』/4月発売予定
■ 新ヘアカラーブランド「ENOG」/6月発売予定