全美連(𠮷井眞人理事長)は5月12日午後1時から都内代々木の美容会館9階ホールで第392回理事会を開催、付議事項の第79回通常総会(令和4年5月26日)及び第393回緊急理事会(同5月27日)の提出議案に関する件など全議案を承認可決した。冒頭、吉井理事長は「本年度最初の理事会だが、皆さんの慎重審議が連合会および各組合において有意義な活動につながることを期待しています」と挨拶し、議長に藤原國明副理事長を指名して議事に入った。
報告事項では最新の組合員数、美容師養成問題、外国人美容師の就労問題等について事務局および担当理事より説明が行われた。それによると、傘下組合員数は令和4年4月1日現在44,889名で対前年比1,721名の減となった。減少傾向に歯止めがかからない中で新潟県、徳島県、宮崎県の3県では組合員が増加した。これを受け全美連では組織強化事業の一環として行われている組合加入促進対策「組合員プラスワンキャンペーン(1年間で1名以上増加)」における達成組合として、5月26日に開催される第79回通常総会で3組合を表彰する。
美容師養成問題については「美容師の養成のあり方に関する検討会」が令和4年1月13日、同3月10日、同3月30日の計3回開催され「美容師養成の改善に関する当面の方針(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課)」として了承されたという。方針の内容は次の通り。
1.美容師の養成制度について、第18回規制改革推進会議投資等ワーキング・グループから指摘があった「国家試験(実技試験)」や「養成段階の知識技能の取得」等については、検討会での意見や議論を踏まえ、厚生労働省において関係者の協力を得ながら、令和4年から以下のように取り組むこととする。
(1)国家試験(実技試験)の改善
①「まつ毛エクステンション」の実技試験への導入のために必要な取り組みの推進等
・公益財団法人理容師美容師試験研修センター(以下「試験センター」)に対して、実技試験に「まつ毛エクステンション」を導入することに関し、公正・公平な試験が実施可能かについて具体的に検討し、可能な場合には、必要となる準備期間や条件を含めて、令和4年度中に明らかにするよう要請する。併せて、他の実技試験科目(ヘアカラーなど)についても、引き続き検討・研究を進めるよう要請する。
・都道府県を通じて、養成施設に対し、美容実習において「まつ毛エクステンション」を含めた必修の基本的な技術を確実に身に付けさせるよう、公益社団法人日本理容美容教育センター(以下「教育センター」)の協力を得ながら、改めて徹底するよう周知する。
②「オールウェーブ」を含む実技試験で問うべき課目の整理等
・①の取り組みを進めつつ「オールウェーブ」を含む現行の実技試験課目について、今後も問うべき課目とすべきか令和5年度の早期に整理する。
・他方、オールウェーブは美容に必要な技術であり、授業の中でしっかり教えるべきであることは確認できたことから、都道府県を通じて養成施設に対し「オールウェーブ」の学習の際などに、その意義や将来の活用場面などを含めて教育するよう要請する。
(2)養成段階の知識技能の取得の推進
①美容実習全体について
・都道府県を通じて、養成施設に対し、美容実習について必修課目を網羅するとともに、試験課題に偏らない、就職先のニーズも踏まえたものとなるよう徹底する。これに当たっては、教育センターの協力を得ながら行う。
②美容所における実務実習について
・都道府県を通じ、養成施設に対し一定の条件の下で美容行為を行うことが可能であることを改めて周知する。
・教育センターの協力を得ながら、効果的な実務実習の好事例(養成施設と美容所の十分な連携、実務実習計画など)について収集し、周知する。また、実務実習時間など現行の取扱いについて課題やニーズを把握した上で、より成果の上がる実務実習のための取組で速やかに実施可能なものは、令和4年度中から進める。
(3)養成段階から就業後の人材育成の連携・接続
・養成段階と就業後の人材育成の連携・接続が円滑かつ効果的になされるよう①全国レベルの取組に対して厚生労働省も参画し充実を図る ②地域レベル、養成施設単位において養成施設と経営者(団体)との連携を促進することとし、まずはモデルとなるような取組を収集し普及を図る。
・美容所における人材育成(社会保険の加入、労働基準の遵守を含む)の取組を推進するため、これらの重要性についての経営者への普及を図る。
・教育センターの協力を得ながら、養成施設による就業後のアフターフォローについて、モデルとなるような取組を収集し普及を図る。
2.以上の取組状況や効果も踏まえつつ、美容師養成については不断の検討・改善を行っていく。平成29年に行った理容師・美容師養成の教科課目等に関する見直しについても、新カリキュラムによる免許取得者の状況を踏まえつつ評価を行い、その結果を踏まえて、養成の在り方について必要な見直し等を行う。
いっぽう、外国人美容師の就労問題については金内光信副理事長から一般社団法人外国人美容師監理実施機関における作業の進捗状況が報告された。それによると、今年4月1日に予定していた本格的なスタートは、同機関の要件である無料職業紹介の許可が遅れたことに伴いこの秋頃になるという。なお、受け入れ体制についてのサロン(育成機関)側への説明会は3月8日に第1回目を開催しており、5月19日に第2回目が行われる。同機関ではすでに全国の美容学校への斡旋に関する案内も通知しているという。
付議事項第3号議案では、第79回通常総会への提出議案(令和4事業年度事業計画案)関連で質疑が出された。山口県の佐竹章宏理事長が「全国大会(全日本美容技術選手権大会)も時代に合わせて変わる必要があるのでは」と質したのに対し吉井理事長は「50回大会の担当県である群馬からも同様の要望があったが、新型コロナウイルスの影響等で実現しなかった。51回大会(広島県)では何とか調整して新しい時代に相応しい内容を目指したい」と答えた。
高知県の三宮豊辰理事長からは「従業員の営業時間外におけるトレーニングに対して残業代を支払うのは厳しい」との意見が出され、吉井理事長は「「営業時間内でのアイドリングタイム(従業員が実際に業務を行っていない時間帯)活用を考えていく必要もある」と応じた。
山本拓治広島県理事長の質疑は、フリーランス美容師との業務委託契約に関するもの。山本理事長によると、都市部だけでなく地方でもフリーランス美容師の数が増えており、「フリーランス美容師から、空いている鏡と椅子を貸して欲しいという問い合わせがある」といった相談を組合員から受けるという。同理事長は「民法では又貸しは違法になるので、不動産屋と大家に話をしてサブリース契約を結ぶようにと伝えているが、周知徹底が難しい。全美連のほうで適法なガイドライン的なものを示してもらえると助かる」と対策を求めた。これに対し吉井理事長は「連合会でガイドライン的なものを策定することはやぶさかではないので、現況を調べた上で弁護士等にも相談してみたい」と答えた。
挨拶する𠮷井眞人理事長
国人美容師育成事業関連で報告する金内光信副理事長
議事のもよう
(取材:小牧 洋)