資生堂美容技術専門学校は3月29日、新型コロナウイルス感染症感染防止策を講じたうえで、東京都北区の同校ホールにて「大竹政義校長退任セレモニー」を開催した。
大竹政義氏は、2006年に副校長として本校に赴任し、2009年より第五代学校長に就任。以来13年間に亘って、自身のヘアメイクアップアーティストとしての経験を踏まえた実践的な教育を行い、後進の育成に努めてきた。今回のセレモニーは、その功績を讃えるとともに、学園が新たなスタートを切る節目にもなっている。
大竹氏は挨拶の中で、自身の学園での経験を次のように振り返った。
「校長職を拝命した当時は、一体自分に何ができるのかという思いがあった。というのも、前任の校長はカリスマ美容部員として名を馳せた永嶋久子氏。学生に対してもいつも心に響く話をしており、私自身も感銘を受けていた。永嶋氏と同じことはできないが、では自分には何ができるだろうと。
私は資生堂に属する企業人として、宣伝広告、花椿誌、世界各国のコレクションの現場で一流のクリエイターたちとともに仕事をしてきた。その中で、自分なりの美意識を磨く多くのチャンスをもらうことができた。そうしたヘアメイクアップアーティストという仕事を通じて得られた学びを、学生たちに直接話し、手を取って指導することが自分自身の役割と思って13年間歩んできた。
そして今、卒業生が現場で活躍し、大きく成長している喜びを実感している。学園としては新たなページを開くことになるが、これからも大切にしてほしいことがある。それは、常に世の中に必要とされる学校であるということ。社会情勢が大変なスピードで変化する中にあっても、美容界で求めらることを感度よく捉え、最新の美容技術、情報、教育を実践していって欲しい。そして永続的な発展をしていくことを望んでいる。」
と結んだ。なお、大竹氏は理事長職は継続して勤める。
卒業生から花束と色紙を受け取る大竹氏。
大竹氏からバトンを受け継ぎ、第六代学校長を務めるのは大久保紀子氏だ。
SABFA1期生としてクリエイション技術を学び、現在は資生堂トップヘアメイクアップアーティストとして活躍している。2019年からは、副校長として学園運営に携わっている。
大久保紀子新校長
大久保氏はこれからの学園運営の抱負を次のように語った。
「広告撮影、ショーのバックステージ、美容メソッドや商品開発など、ヘアメイクアップアーティストとして世界各国でキャリアを積んできた中で気付いたのは、美容には多様な人々を幸せにする無限の可能性があるということ。そんな美容の仕事に携わることができる幸せを、後進に伝えられることは大変名誉でやりがいのある仕事だと感じている。当校では毎年280名近くの若き美の担い手を美容界に送り出しており、豊かで彩のある社会を創造することに貢献できているのではないか。2029年には創立70周年を迎えるが、引き続き、社会からの要請に応え求められる学校であり続けられるよう邁進していきたい。
そこに向けて、育成すべき3つの人物像を次のように掲げることとした。
1.世界で活躍できるアーティスト
2.新しい美容のプロデューサー
3.信頼できるスペシャリスト
こうした人材を育成するために、学園として次の3つのことに挑戦していく。
1.クリエイティビティを高める教育
2.人間的な魅力を高める教育
3.教職員自らが学び成長する環境をつくる
学校教育の主役は、一人ひとり異なる個性と可能性を持つ学生達自身。これまで5名の学校長と同様、一人ひとりと真摯に向き合い、それぞれの良さを引き出し、夢の実現に向けてサポートすることを約束する。」
在校生だけでなく、卒業生をはじめとした社会人に対しての学びの場も提供していくという。
挨拶を述べる計良宏文テクニカルダイレクター
また、資生堂トップヘアメイクアップアーティストで、SABFA校長の計良宏文氏が、継続して学園のテクニカルダイレクターを勤める。
そして、株式会社資生堂 代表取締役 社長 CEOの魚谷雅彦氏より、大竹氏の資生堂グループとしての長年の活躍と後進育成への貢献を評して、感謝状が贈られた。
株式会社資生堂 代表取締役 社長 CEO 魚谷雅彦氏
魚谷氏より感謝状を受け取る大竹氏
セレモニーの後半には、計良氏、大久保氏、大竹氏がそれぞれヘア&メイクアップショーを行った。
大竹氏のステージ
ショーのフィナーレ
最後には、サプライズとして大竹夫人から花束が贈られ、盛大かつ温かな拍手の中、セレモニーは幕を閉じた。
大竹政義校長在任中の学園13年の歩み
2009年 学園創立50周年、大竹政義氏が第五代校長に就任、美容師科内に専門教育に特化した3つのクラス(HS、BS、BC)を設置
2010年 BCクラスをビューティーコンサルタント科へ昇格、エステ教室の設置
2013年 大竹政義氏が資生堂社長賞受賞
2014年 ICDベストワールドアカデミー受賞
2017年 ICDグローブエデュケーター・アワード受賞
2019年 学園創立60周年
2020年 ヘアクリエイション授業導入
2021年 SDGs教育導入、ICT教育導入