3年ぶりの開催に150名が参加 伝統文化の魅力をアピール 板谷裕實氏のまとめ髪ステージも
第8回「きもので銀座」/東京都美容生活衛生同業組合

東京都美容生活衛生同業組合(通称:BA東京、金内光信理事長)主催の「第8回きもので銀座」(後援=東京美容家集団、美・プラザ協同組合)が10月25日、都内銀座で開催された。コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった同イベントには、主催者側の予想を上回る約150人の組合員など美容関係者が参加した。あいにくの空模様にもかかわらず、参加者たちは自慢のきもの姿で銀座通りをそぞろ歩きしながら日本の伝統文化でもあるきものの魅力をアピールした。

ライフスタイルの変化等できもの離れが深刻化する中、「イベントを通じて着物の魅力を再発見してもらおう」とスタートした「きもので銀座」。回を重ねるごとに業界内外からの関心も高まってきていたという。久しぶりの開催に、会場の第一ホテル東京は開始前から参加者の熱気に包まれていた。

司会進行の村橋哲矢専務理事が「皆さんの華やかな装いを拝見していると、オンラインイベントでは決して味わえない高揚感が沸いてくる」と開会の辞を述べた後、主催者側を代表して金内理事長が挨拶した。同理事長は「3年ぶりの開催とあって参加者数を心配したが多くの参集が得られて嬉しい。コロナの感染状況もやや落ち着いてきて街の中にも少しずつ活気が戻ってきているようだ。いっぽうで、原油高や物価の高騰が続いておりこのまま円安が進めば日本経済や我々の生活はどうなってしまうのか心配だ。日本人の所得が韓国に抜かれたというニュースはショックだった」と前置きしたあと美容業界の話題にも触れ「美容料金やサロンの客単価、更には美容師給与さえも今や韓国、中国に追い抜かれつつある。世界大会における技術レベルも下がっており、韓国に抜かれた日本は5位と低迷している。いつまでもアジアの盟主などと言っていられない状況だ」と厳しい現状を報告した。その上で理事長は我が国の美容料金がこの10年間ほぼ据え置き状態になっていることを指摘し「美容室経営はどんどん圧迫されており、この状態が更に続けば美容業への意欲自体が減退するのではと危惧している」としてBA東京の今後の取り組みについて所信を語った。

この中で金内理事長は、美容料金の適正化を図るための委員会を立ち上げたことを明らかにし「適正化の在り方や具体的な方法を検討し、まとまり次第報告したい。消費者の理解を得るためのポスター、パンフレット等の作成も考えている。この問題は美容組合だけでなく業界全体の問題だが、組合が主導するのが使命だと考えている」と述べた。

また、10月12日の第3回理事会で報告した外国人美容師の就労問題(既報)についても言及し、参加者に外国人美容師育成事業の趣旨や概略を説明した。懸案だった育成事業が7年がかりで実現したことについて金内理事長は「国家試験で資格を与えておきながら就労を認めないのは“美容鎖国”だ。コロナ前にアジアの美容事情を視察したとき現地で『日本で受け入れてくれないから仕方なく欧米に行く』という声をずいぶん聞き、こんなことを続けていたら日本はいずれアジア各国に追い抜かれると危機感を抱いた。それが今現実化しつつある。この事業で海外の美容師をしっかりと受け止め、日本の優れた技術や商品を世界に広めていくことが重要だ」と同事業への理解を求めた。当日は関連団体や学校、流通関係の代表など多くの来賓も出席し片山さつき参議、竹谷とし子参議、高島なおき都議が祝辞を述べた。

午後1時半からはショーステージが行われ、イタヤ・インターナショナルの板谷裕實氏が「板谷裕實の世界“ネオエレガンス”明日から使えるまとめ髪」のテーマで実用的なまとめ髪の数々を紹介した。板谷氏はシニヨンベースでたおやかなラインを意識したという和装のまとめ髪や、得意とするネットを使ったドレススタイルのまとめ髪など計5点の作品を、解説を交えながらスピーディーに仕上げた。モデルが場内をウォーキングすると、多くの参加者が熱心にスマホ撮りをしていた。

メインイベントの銀座散策は午後3時からスタートし、金内理事長を先頭に同ホテルを出発した参加者たちは着物姿で銀ブラを楽しみながら、コロナ禍での営業や暮らしなどについておしゃべりに花を咲かせていた。

挨拶する金内理事長

会場は参加者の華やかな着物姿で溢れた

技術展示する板谷裕實氏

板谷氏の紹介したまとめ髪

作品をスマホ撮影する光景があちこちで見られた

着物姿で銀座散策を楽しむ参加者たち

取材:小牧 洋