11支部が参加 コロナ禍での会運営について議論
第27回全国支部長大会/HSA協会

協同組合理容芸術協会(通称:HSA協会/児玉利明会長)は11月21日午前11時から、都内代々木の全理連ビル9階で第27回全国支部長大会を開催した。3年ぶりの開催となった同大会には全国11支部から約50名が参加して新助講師の作品発表や特別セミナーなどが行われた。同協会には現在16支部あるが、今回参加したのは旭川、青森、仙台、新潟、中越、群馬、岐阜、浜松、北九州、福岡、熊本の各支部。コロナの影響でやむなく参加を見送った支部、会員も少なくなかったという。

児玉会長は挨拶の冒頭「第8波に入りつつあると言われる中で勇気をもって参加してくれ本当にありがたい」と謝辞を述べたあと「3年前、新会長に就任した直後からコロナに見舞われ会の活動がまったく出来ない状況となった。一時はHSAの存続に危機感さえ覚えたが、ピンチのときこそチャンスという座右の銘を信じて活動の続行策を必死で模索していた」と、現在同会で運用しているオンライン配信システムDOORS(ドアーズ)の採用に至った経緯を説明した。そして「このシステムと皆さんの協力のおかげで、コロナ禍にあっても本部・支部の活動が維持できている。HSAと業界の今後の発展を考える大事な会議なので建設的な意見を期待しています」と締めくくった。

続いて野島真樹事務局長より来賓の石井武夫名誉顧問、坂口義忠、小野田博次両監査、新支部長(岐阜支部/今井健次氏)、各支部長らが紹介された。表彰式では坂正男、榊間敏明、故・古川博一氏にHSA奨励賞、坂上兼司、岩井英行氏に八木奨励賞、また佐伯雄幸氏に支部奨励賞がそれぞれ児玉会長から贈られた。

正午からは新助講師のお披露目が行われ、新たに誕生した7名の助講師に児玉会長から修了証が授与されたあと、各助講師が自作のスタイルについてプレゼンテーションした。各地方支部の役員らの前でオリジナルスタイルのコンセプトやテクニカルポイント等を解説するこの日のプレゼンテーションは今後の講師活動(講習依頼)の重要な鍵になるとあって、皆真剣な表情で発表会に臨んでいた。ショートスタイルでプレゼンしたある助講師は「講習会ではサロンの現場ですぐに使えるスタイルや技術を伝えていきたい」と自己アピールしていた。

午後から実質的な会議に入り、はじめに児玉会長が「会の進むべき道を真剣に討議して欲しい」と前置きしてHSAの現状や課題、展望などについて所信を述べた。この中で児玉氏は全国の支部や会員数の減少によって70年の歴史を誇るHSAも運営状況が厳しくなっており、コロナ禍が拍車をかけているという現状を報告した。同会長はさらにHSAの理念にも言及し「お金儲けではなく会員や業界の若手を育成してヘア業界の発展に寄与すること」と述べ、特に本部、支部で行っている教育活動の重要性を強調した。その上で、オンライン配信システム「ドアーズ」がコロナ禍で果たした役割について「リアルではないが支部と本部がしっかりとつながり、皆さんに必要な情報を提供出来たのではないか。2年に1回だったこの支部長会議もシステムのおかげで開催頻度が大幅にアップ(3か月に1回)した。オンラインによって本部講習への参加も可能となった。HSAにとって今や不可欠な存在だ」と同システム導入のメリットを説明し理解を求めた。

この後の支部活動報告では各支部の参加者から活動状況や課題等が報告された。コロナ禍における講習会の実施状況には温度差が見られ「感染を心配する声が多いのでオンライン講習のみ」「対面講習の要望に応えて毎月行っている」など様々だった。支部の活性状況についても「コロナ前に戻ってきている。来年は親睦のゴルフコンペを開催したい」といった前向きな報告があったいっぽう「毎年退会者が出ているので若手の獲得に力を入れなければ」「何とか踏ん張っているが退会者が出るのではと心配している」といった厳しい声も聞かれた。

午後2時半からは特別セミナーが開かれ、完全会員制サロンを展開するなど独創的なサロンマネジメントが注目されている中谷嘉孝全理連中央講師が「お客を捨てる勇気~コロナ禍を勝ち抜いてきたお店がこっそりやってきたこと~」と題して約1時間講演した。中谷氏は地方の片田舎で成功を収めているヘアサロンを複数紹介し、その要因の共通点としてブルーオーシャン戦略やブランド性(思い、こだわり、ウリ、強み)を挙げた後、これからのサロンビジネスに最も大切なこととして店側の“顧客選び”を強調した。「客を選ばない店は客からも選ばれない」が信条という中谷氏は「この店でないと困る、と思ってもらえるリアルなブランドサロンになるためには客を捨てる勇気も必要。本気度(こだわり)こそが究極のブルーオーシャンであり、同時に小さな店の最終兵器だ」と持論を展開した。熊本支部の鶴田支部長が閉会の挨拶を述べ大会を終了した。午後4時からは会場を移して懇親会も開かれた。

挨拶する児玉会長

全国から11支部が参加した

各賞の受賞者と児玉会長(中央)

新助講師と児玉会長

新助講師たちによるプレゼンテーションのもよう

特別セミナーで講演する中谷嘉孝講師

取材:小牧 洋