「今年は美容料金見直す」と金内理事長
2023年BA東京新年会/東京都美容生活衛生同業組合

東京都美容生活衛生同業組合(通称:BA東京・金内光信理事長)は1月17日正午より、都内渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで「2023年BA東京新年会」を開催した。コロナ前には例年約600名が参加していたが、3年ぶりの開催となった今年は感染予防のため425名に抑えたという。オープニングではステージ上に金内理事長と菅谷茂樹、福島吉範、石井庸子の各副理事長が登壇し、理事長による年頭の挨拶でスタートした。

金内理事長ははじめにこの3年間を振り返って「コロナで皆が大変な思いをしている間に世の中はデジタル化がすごい勢いで進化し、それに伴って様々な分野で仕組みづくりの見直しが迫られている。我々の業界も例外ではなく、メニューの多様化やオンラインによる会議や教育も当たり前になってきている」と時代の様変わりぶりを指摘した。

そして、BA東京が長年にわたって取り組んできた外国人美容師の就労問題に触れ「全美連のサポートを受けながら昨年8月にようやく決着をみた。東京都からの特区認定が下り、その受け皿として外国人美容師監理実施機関というBA東京を中心とした監理団体が都の認可を受けた。この事業の中身は大変重要で、政府が掲げるクールジャパンという政策(日本の優れた伝統文化や伝統技術、製品などを世界にひろめていく政策)の一端を担うことにもなる。この事業の目的は人手不足の補完ではなく、優れた日本の美容文化を世界に発信していくための育成事業」と説明した後、すでに数名の外国人美容師が必要な手続きを終え、都内で就労していることを明らかにした。

金内理事長はこのあと低迷を続けている美容料金の見直し問題に言及し、先に立ち上げた美容料金適正化検討委員会で組合員を対象にアンケート調査を行っていることを報告した。この3月までには一定の結論をまとめる予定だという。理事長は同検討委員会を立ち上げるに至った背景などについて「日本の美容技術や接客は今でも世界のトップレベルと言われてはいるが、美容料金や従業員の給与に関しては今やアジアの中でも下部に属するようで、韓国などにはすでに抜かれつつある。このため経営者の美容に対するテンションもどんどん減退している」と述べた。そして、見直しに伴っては付加価値向上のための技術、接客等サービス内容のレベルアップが必要不可欠だとし、関連の講習会も準備していくという。

来賓を代表して祝辞を述べた𠮷井眞人全美連理事長は今年度のテーマとして「改革」を挙げ、あらゆる分野での総点検の必要性を強調した。そして「美容は人が行う仕事ゆえに多くの優秀な人材確保が業界発展の基本だ。原点ともいえる美容師法や生衛法を基盤にしながら、美容学校生が『この業界に入って良かった。将来の夢や希望を持つことが出来た』と思えるような業界の再構築を目指したい」と挨拶した。

また、吉池雅志(株)日本政策金融公庫国民生活事業部東京地区統括は乾杯の発声で「コロナ禍で様々なコミュニケーションが遮断されていく中にあって、美容室というくつろぎの空間がその役目を維持し続けてきた。この価値の高さを多くの国民が再認識した時期でもあった」と美容業への敬意を表した。

新年会にはBA東京の顧問を務める多数の議員が駆けつけ衆議院議員の下村博文、平沢勝栄、石原宏高、山田美樹、小田原潔、鈴木隼人、参議院議員の丸川珠代、片山さつき、竹谷としこ、都議会議員の髙島直樹、三宅しげきの各氏が祝辞を述べた。宴半ばには小池百合子東京都知事も駆けつけ、先のオリパラの選手村に設けられた美容サロンについて「本当に素晴らしいおもてなしをしてくれた」と謝辞を述べた。このほか、各団体を代表して大林博之インターコワフュールジャパン会長、久米健市日本エステティック協会理事長、山中祥弘ハリウッド美容専門学校理事長、高宮実タカラベルモント(株)常務執行役員らもお祝いの言葉を贈った。また、令和2年~同4年の3年間で叙勲や厚労大臣表彰等を受けた組合員21名(16名が出席)および第50回全日本美容技術選手権大会で優勝、準優勝を果たした2名の選手に金内理事長から花束が贈呈された。

参加人数を絞り開催時間も短縮、さらには来賓の挨拶も乾杯後に集中させ恒例の催し物も全て中止など感染予防対策を徹底させての新年会は菅谷茂樹副理事長の三本締めで閉会となった。

年頭の挨拶を述べる金内光信BA東京理事長

来賓祝辞を述べる𠮷井眞人全美連理事長

乾杯の音頭をとる日本政策金融公庫の吉池雅志氏

全国大会の花嫁競技で優勝した田中千穂選手(右)と

同ヘアスタイル競技準優勝の小野田礼花選手

選手村美容サロンへの謝辞を述べる小池百合子東京都知事

閉会の辞を述べる菅谷茂樹副理事

取材:小牧 洋