200余名が6部門で技を競う 海外からもエントリー
第75回全国理容競技大会/全理連

全国理容生活衛生同業組合連合会(通称:全理連=大森利夫理事長)主催の第75回全国理容競技大会(実行=北海道理容生活衛生同業組合/渡辺界立理事長)が9月19日、札幌市内の北海道立総合体育センターで開催された。大会では各県大会を勝ち抜いた総勢208名の精鋭が6部門で日頃鍛えた技と感性を競った。その結果、渡利勇太(1部)、山野邉美香(2部)、山口蓮斗(3部)、川筋正仁(マスタースタイリスト部門)、木村睦(ジュニア・クラシカルヘア部門)、田中穣(ヘアピース部門)の各氏が優勝した。また、理容2023メッセージ全国大会では小野寺真氏が優勝した。

競技は午前9時スタートの1部ジャパンカップオープン・メンズ(フェードスタイル)から2部の同レディス(クリエイティブスタイル)、3部ラ・セゾン2023「スクエア」と続き、正午過ぎからは50歳以上が競うマスタースタイリスト、23歳未満が伝統的なクラシカルバックをつくるジュニア・クラシカルヘア、ファッション性のあるサロンスタイルに挑むヘアピース部門(アデランスカップ)の3部門が同時に行われた。なお、今大会では1部に中国から3名、ヘアピース部門には台湾から1名の選手がそれぞれエントリーし、日本人選手に交じって健闘した。

コロナ禍の影響もあって一昨年から全種目の競技がマネキンモデルとなった全国大会だが、ウイルス感染症の位置づけが5類に移行後の今年も人間モデル復活とはならなかった。これについて会場から「選手は出やすくなったのでは」「ウィッグでは出る気がしないという人もいる」「全競技がマネキンでは盛り上がりに欠け寂しい。全国大会はやはり人間モデルでやるべきだ」など様々な声が聞かれた。全競技終了後の「理容2023メッセージ全国大会」では、7名の理容師が「シェービングは理容の魂」「ヘアドネーションが教えてくれたこと」等をテーマに、1人5分以内で力強い意見発表を行った。その結果「理容が私を支えてくれた」をテーマに、師匠や理容師仲間に励まされながらトランスジェンダーとして生きてきたという小野寺真氏が優勝した。

午後3時過ぎからは表彰式が行われ、主催者を代表して挨拶した大森利夫全理連理事長は出場選手の労をねぎらったあと「長引くコロナの中で一番心配だったのは選手のモチベーション。計画していた世界大会の日本開催は中止となったが、皆さんのやる気を落とさないようにとの思いで昨年2月にはオンラインでのジャパンカップオープンを行った。大事なことは、ただコロナ前に戻すのではなく世の中の変化をチャンスと捉えてプラスに転じること。開かれた日本をアピールするために今年はアジア各国に参加を呼びかけた。ビザの関係で困難もあったが、これからも大会を通じて世界との交流を深めていきたい」と語った。来賓祝辞で吉川秀隆タカラベルモント(株)会長兼社長は「先週パリの世界大会で日本の代表選手達も頑張っていた。皆さんもステップアップしてもう一つ上の世界を目指して下さい」と励ました。次回開催組合は愛媛県。

(山本賢司審査委員長講評)

  • 第1部門=新しい時代に挑戦した作品が見られたいっぽう、鮮やかなグラデーションが施された作品は少なかった。
  • 第2部門=ヘアカラーを効果的に活かし、デザインや衣装もよく考えた作品が多かった。
  • 第3部門=「スクエア」をきちんと理解出来ている作品が少なかった。
  • マスタースタイリスト部門=クリエイティブな作品が多くトータルでの完成度も高かった。
  • ジュニア・クラシカルヘア部門=シルエットと面のきれいさを意識すると更に良くなった。
  • ヘアピース部門=挑戦している作品が多く、ヘアカラーやファッション性も素晴らしい。

〈成績〉

第1部門 ジャパンカップオープン・メンズ(フェードスタイル)

▼優勝(内閣総理大臣賞)=渡利勇太(北海道)▼2位=坂本渓(福岡県)▼3位=浦越真大(福岡県)▼敢闘賞=上野山貴也(東京都)、石原寛太(千葉県)、合田匡我(大阪府)鈴木朝陽(大阪府)、伊藤雄介(北海道)

第2部門 ジャパンカップオープン・レディス(クリエイティブスタイル)

▼優勝(内閣総理大臣賞)=山野邉美香(東京都)▼2位=岩井勇磨(千葉県)▼3位=池田光貴(熊本県)▼敢闘賞=山田浩之(北海道)、佐々木太一(岩手県)、森和貴(福岡県)、川上美紀(長崎県)、島田将斗(千葉県)

第3部門 ラ・セゾン2023「Square」

▼優勝(経済産業大臣賞)=山口蓮斗(福岡県)▼2位=橋爪恵美(富山県)▼3位=武蔵翔(千葉県)▼敢闘賞=田浦宏光(広島県)、朝倉健太(千葉県)、依田拓己(熊本県)、沖田紗基(青森県)、神谷友裕(愛知県)

マスタースタイリスト部門

▼優勝=川筋正仁(香川県)▼2位=藤原浩一(兵庫県)▼3位=島袋公俊(沖縄県)

ジュニア・クラシカルヘア部門

▼優勝=木村睦(沖縄県)▼2位=尾形烈弥(長野県)▼3位=茂木一太(東京都)

ヘアピース部門

▼優勝=田中穣(北海道)▼2位=西山彰(神奈川県)▼3位=神谷友雅(愛知県)

理容2023メッセージ全国大会

▼優勝=小野寺真(宮城県)▼2位=栩木奈美江(静岡県)▼3位=田食勝一(鳥取県)

主催者を代表して挨拶する大森利夫全理連理事長

第1部門の競技の模様

渡辺界立大会実行委員長(左)と大森利夫大会委員長

第1部門優勝の渡利勇太氏

第2部門優勝の山野邉美香氏

第3部門優勝の山口蓮斗氏

マスタースタイリスト部門優勝の川筋正仁氏

ジュニア・クラシカル部門優勝の木村睦氏

ヘアピース部門優勝の田中穣氏

メッセージ全国大会で優勝した小野寺真氏

取材:小牧 洋