「稼げる新卒者育成を」と金内理事長 美プラザ協同組合を活用
新年会開催/BA東京

東京都美容生活衛生同業組合(通称:BA東京、金内光信理事長)は1月16日正午から、都内渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで2024年BA東京新年会を開催した。新年会には組合員のほか業界団体、養成施設、商社、行政関係者や議員など約500名が参加した。オープニングでは金内理事長と菅谷茂樹、福島吉功、石井庸子の3副理事長が登壇し、金内理事長が年頭の挨拶を行った。

金内理事長ははじめに能登半島地震に対する組織の対応について報告した。それによると、全美連の吉井眞人理事長が10日に被災地を訪れ激励やお見舞いを済ませたほか、各県組合に義捐金支援体制の協力要請も行っているという。これを受け、BA東京も各支部への協力を呼びかけた。同理事長は「東日本や熊本での大地震の時もそうだったが、こうした支援に対して被災地の組合員からは『組合に入っていて良かった』という声が多く寄せられた」と述べ、参加者に一層の支援を呼びかけた。

金内理事長は続いて日本の労働生産性のランキングが昨今著しく低下しているという話題を取り上げ、その要因として日本が人やデジタル分野への投資を怠ってきた結果だとする新聞記事を紹介した。その上で「このことは美容業界についてもまったく同じことが言える。国家資格という美容師の仕事に誇りを持ち社会貢献への使命感に応えるためにも、それに相応しい適正料金を実現することが重要だ」と述べた。この料金の適正化問題に関して、BA東京では美容料金適正化委員会を立ち上げて美容に対する付加価値を高めながら同時に組合員の意識啓蒙も図ってきた。しかし、この流れになかなか乗れない組合員も少なくないことから、今年も美容料金適正化のための見直しを進め労働生産性を高めていきたい考え。

この見直し作業とともにBA東京が力を入れているのが“稼げる新卒者”づくり。美容学校卒業者の初任給が18万~20万円、あるいはそれ以上と言われる昨今、生産性への寄与が難しい彼らを抱える余裕や体力がもはやサロンには無いという。この問題に対処するためBA東京では「美・プラザ協同組合」を活用して、組合員サロンが雇用した美容学校新卒者をスタイリストに育てる「早期養成アカデミー」をこの5月をめどに立ち上げる計画。具体的には半年間で顧客をカットできるまでに育てるのが目標。アカデミーについて金内理事長は「新卒者のモチベーションが上がるだけでなく生産性向上の一端を担える可能性も生まれてくる。更なる賃金アップにもつながっていくのでは」と期待感を示した。

このあと多くの来賓を代表して小池百合子東京都知事、吉井眞人全美連理事長、山口那津男参議院議員(BA東京顧問)が「被災地に対し都からは消防庁や警視庁、水道局等の人材を送り込んでいるが、美容業界にも多様なネットワークを活用して被災者に心のゆとりを取り戻してもらうサポートの輪が広がることを期待しています(小池氏)」「輪島の朝市で自宅や店舗を焼失した組合員から石川県の美容組合を通じて『美容用具が欲しい』という要請が全美連にあり、メーカーやディーラーが多大な協力をしてくれた。10日に現地を訪れたが、美容用具を受け取った被災組合員は『被災者に美しくなってもらうのが私の仕事』と金沢に移って頑張っている。こういう時こそ組織の力で被災組合をサポートしていきたい(吉井氏)」「いま力を入れているのが二次避難。これが整えば皆さんが美容サービスを提供する道筋も開けてくるのではないか。現状ではバラバラで分かりにくい政府の補助金制度を、一目で分かりやすいようなカタログ方式に改善している。それぞれの店にとって最適な利用方法を選べるようにしたい。この制度を活用して価格の転嫁や生産性の向上を図ってください(山口氏)」と挨拶した。

小倉悟(株)日本政策金融公庫国民生活事業本部 東京地区統括による乾杯の発声で祝宴に移ったあとは、令和5年各種表彰受賞者や昨年の全国大会上位入賞選手らが紹介され、金内理事長から花束が贈られた。菅谷副理事長の閉会の辞で終了した。

年頭の挨拶を述べる金内理事長

小池東京都知事(1939)

吉井全美連理事長

乾杯の発声をする小倉氏

金内理事長から全国大会入賞者らに花束が贈られた

取材:小牧 洋