全美連(吉井眞人理事長)は1月24日午前11時半から、都内千代田区のホテルニューオータニ翠鳳の間で第339回理事会を開催、報告事項や協議事項などすべての議案を承認可決した。当日は、理事会終了後に第81回臨時総会や新年懇親会も開催された。
体調不良で欠席した吉井理事長に代わって挨拶した原恒子副理事長はまず、能登半島地震について「石川県の能登地方では甚大な被害が出ており、組合員の被害に関する詳細は判明していない。災害救助法が適用された4県に対し、全美連では組合員の連帯の想いを伝えるために義捐金を募ることにした」と述べ協力を要請した。
野本義久副理事長を議長に指名後、被災した石川県の前川幸子理事が発言を求め今回の地震について「詳細が未だに掴めず報告できないが、吉井理事長をはじめ多くの方々からさっそくお見舞いや義捐金を頂き感謝している。そんな中、朝市通りで店を焼け出され着の身着のままで避難したという組合員から『被災者のカットをしたいので道具が欲しい』との要請があり、全美連を通じて送ってもらった鋏などを渡すことが出来た。この組合員の行動力のおかげで我々も少しずつ動き始めている」と報告したあと、出席している全理事にサロンで使用するためのポリタンクの提供を求めた。
議事に入りはじめに組織強化、事業教育、共済、連携事業デジタル化の各委員会報告が行われた。このうち事業教育委員会のハートフル美容師の研修について担当の澤飯廣英委員長は「マスコミから注目されているが、コロナ以降実施がうまくいっていない。県単位どころかブロック単位での実施も厳しいのが現状だ」と述べたあと同事業に関する今後の扱いについて「現在は総合健康推進財団に引き受けてもらっているが、今後も継続が可能かどうかは調整中だ。継続が困難な場合には連合会が独自の形で進めるかあるいは訪問美容に特化したような講習会に切り替えていくかということになる。いずれにしても次年度の大きな課題だ」と報告した。
また、連携事業デジタル化推進委員会の白川徹委員長は、令和5年度生活衛生関係営業対策事業費の補助金を活用した組合の認知度向上および組合加入促進等について、昨年12月20日に開催された説明会において、認知度向上に有効的なデジタル技術の活用に関してそれぞれのSNSが持つ特徴や動画マーケティングの基本戦略を用いた説明がなされたことを報告した。各県の参考用に説明会の内容を編集しユーチューブに公開するための作業を進めているという。
このあと、昨年10月の全国大会(広島県)時に報告された国家戦略特区ワーキンググループによる一般社団法人 日本ビューティー創生本部に対するヒアリングに関する追加報告が事務局より行われた。それによると、創生本部の提案(「理容師資格取得における新たな修学方法に係る特区提案」)に対して厚生労働省は「実施は困難」との見解を示しているが、このヒアリングの中で理容だけでなく美容も含めた“理美容の将来の在り方”も議論されていることから、場合によっては美容の資格にも影響を及ぼす可能性もあるという。全美連としては業務独占という国家資格は厳守という基本方針を堅持しながら、情報収集に注力していく考え。
付議事項では第52回全日本美容技術選手権大会(富山県)の入場料に関する件、協議事項では第400回理事会日程(令和6年5月15日午後1時、美容会館)、第82回通常総会(令和6年5月30日午前11時、美容会館)、第401回緊急理事会(令和6年5月30日通常総会終了後、美容会館)等が承認可決された。
賦課金、月額300円に
理事会終了後は第81回臨時総会が開催された。総会では1号議案の全美連「定款」の一部改正、2号議案の役員選任規程の一部改正に関する件、3号議案の令和6事業年度賦課金の額並びに徴収時期の承認に関する件等が審議された。
このうち賦課金については、平成25年度から1組合員当たり120円を200円に改定したものの、組合員の減少によって令和5年度の賦課金収入は平成25年度に比べ4,406万円(26.7%)の減少になっているという。このため、連合会の効率的な運営や一層の経費削減等に努めるとともに、連合会の安定的な組織運営と積極的な事業展開を図るため、令和6事業年度の賦課金を組合員1人当たり月額300円(均等割りの1組合当たり月額3万円は変更なし)に改定することとなった。
新年懇親会で義捐金の呼びかけ
午後4時からは会場を鳳凰の間に移して新年懇親会が開かれた。約180名が参加した懇親会では、開会の辞を述べた金内光信副理事長をはじめ出席者全員で能登半島地震による犠牲者に黙とうを捧げたあと、吉井理事長の欠席を受けて代理の原恒子副理事長が主催者を代表して新年の挨拶を行った。原副理事長は地震による甚大な被害が多くの組合員に及んでいることを報告し「4県の組合員を何としても助けたい」と全美連が募っている義捐金への協力を求めた。
来賓挨拶では駆けつけた多くの国会議員が祝辞を述べたが、田村憲久元厚生労働大臣は日本ビューティー創生本部から提出されている特区提案に触れ「国家戦略などと謳っているが首をかしげたくなるような案だ。これを認めてしまうと必ず美容の方にも影響を及ぼす事案なので、そういう事にならないよう我々もしっかり対応していく」と語った。
乾杯ではタカラベルモント(株)の吉川秀隆会長兼社長が「日本経済は世界のレベルからするとやや不安な面もあるが、日本のパワーは実際にはもっとあるはずだし、美容も世界一のパワーを持っている。理美容業界の全員が力を合わせて日本を元気にしていきましょう」と力強い発声を行った。
乾杯後も来賓の挨拶が続き関係団体からは厚生労働省の諏訪克之生活衛生課長、安達佳弘氏、日本政策金融公庫の佐々木祐介氏、理容師美容師試験研修センターの遠藤弘良理事長、日本理容美容教育センターの谷本穎昭理事長、全理連の大森利夫理事長、全国生活衛生同業組合中央会の伊東明彦専務理事、全美商連の菊地浩市理事長、日本パーマネントウェーブ液工業会の田尾大介氏らが祝辞を述べた。野本義久副理事長の閉会の辞でお開きとなった。
理事会で挨拶する原恒子副理事長
全美連の義捐金に謝辞を述べる石川県の前川幸子理事
新年懇親会で吉井理事長代理として挨拶する原副理事長
新年懇親会には約180名が参加した
乾杯の発声をする吉川秀隆タカラベルモント(株)会長兼社長
祝辞を述べる厚生労働省の諏訪克之生活衛生課長
取材:小牧 洋