「美容室」倒産が急増 人件費と資材費の上昇が影響
TSRデータインサイト/東京商工リサーチ

東京商工リサーチは、2024年1-4月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「美容業」(美容室)を集計・分析した「美容室」倒産状況を2024年5月10日に発表した。

1月-4月 2015年以降最多ペースの倒産件数

コロナ禍が収束したものの、美容室の倒産が急増している。2024年1月から4月までの間に美容室の倒産件数は前年同期比で48.3%増の46件に達し、2015年以降の同期間で最多。年間ベースでも過去最多の2019年(105件)を上回る可能性があるという。

背景には、コロナ禍で在宅勤務やテレワークの広がり、対面接触を避けるための来店控えがあったが、コロナ関連の資金繰り支援で倒産は抑えられていた。5類移行後は来店客が徐々に回復したものの、水道光熱費や美容資材の価格高騰、人件費の上昇が収益を圧迫し、倒産件数が増えている。

美容室は過小資本の店舗が多く、「1百万円以上5百万円未満」の資本金の店舗や「個人企業他」が多く倒産。また、負債額では「1千万円以上5千万円未満」が最多で、負債1億円未満の倒産が大半を占めているという。

参入障壁が低く店舗数が多いため、同業者間の競争が激化。円安による美容資材の価格上昇や人手不足、人件費・光熱費の高騰に直面し、コスト転嫁のための値上げが続く中、顧客離れも懸念され、技術力や接客力、ブランディング力が重要となり、SNSを活用した集客対策が求められるなど、今後は強みを持たない美容室の淘汰が進む可能性があると予測している。

※この調査は、2024年1月から4月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「美容業」(美容室)を集計・分析したものです。

出典:東京商工リサーチ