法定労働時間の特例廃止問題、 労働基準局がヒアリング
第400回理事会/全美連

全日本美容業生活衛生同業組合連合会(吉井眞人理事長)は、5月15日午後1時から、東京・代々木の美容会館9階ホールで第400回理事会を開催、報告事項や第82回通常総会等に提出する付議事項など全ての議案を承認可決した。議事に先立って挨拶した吉井理事長は、昨今の世界情勢に触れながら「大きな潮流が思ったより速いスピードで起きている。このメガトレンドは美容にとっても大きな影響を及ぼすだろう。世の中のこうした大きな変化を、決して後ろ向きではなく前向きのチャンスとして捉え事業の執行に取り組んでいきたい」と述べた。

野本義久副理事長を議長に指名して議事に移り、はじめに連合会が参加した催事や会議、業務関連の報告が行われた。このうち、法定労働時間の特例に関して4月25日に労働基準局より全美連、全理連、生衛中央会(全国生活衛生同業組合中央会)に対してヒアリングが行われたことについて事務局より説明があった。労働時間については労働基準法で「週40時間を超えてはならない」と規定されているが、特例として現在美容業をはじめ生衛業の大部分の業種で、常時10人未満の従業員を使用する場合は週44時間まで認められている。

ヒアリングには全美連から金内光信副理事長、全理連から大森利夫理事長、生衛中央会からは伊東明彦専務理事が出席し、労働基準局からの概要説明に対してそれぞれ意見を述べたという。基準局の説明によると、平成30年に公布され翌年に施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の附則として、法律の施行後5年を経過してこの特例について必要があると認められた場合は必要な措置を講ずるとなっており、今年がその5年目に当たるという。また、この働き方改革の法律の付帯決議で労働時間の基本原則は一日8時間、週40時間以内とし「その達成に努力すること」となっているが、必要に応じて調査を行い特例対象の範囲を検討することもある。

これを受けて労働基準局が、労働基準法の特例対象の業種で10人未満の従業員を抱える事業所を対象に実態把握の調査を行ったところ、理美容業における1日および1週それぞれの所定労働時間、総労働時間ともに他業種と比べ多かったという。また、週40時間の特例を廃止することによる支障の有無に関する調査でも理美容業の「支障がある」という回答は約86%と他業種よりも多く、その主な理由は「人手不足のため客の利便性を考えると営業時間の短縮は出来ない」だった。ただ、この調査は比較的大きな規模の事業所が対象だったため、労働基準局では今年度改めて調査を行いたいとしている。

この労働基準局の概要説明に対し、生衛中央会、全美連、全理連の各代表からは「傘下の16業種はほとんどが零細規模。浴場業を除く各組合は特例廃止に反対だ」「労働集約型で生産性の低い理美容業界の事情を考慮して欲しい」「営業終了後の練習には指導者への賃金支払いが発生するが、業界の現状は非常に厳しい。しかし、この練習を行わなければ我が国の理美容の技術レベルは低下の一途をたどってしまう」「コロナから立ち直りつつあるものの昨今の諸物価、賃金の高騰によって人を雇えなくなっており、このままでは労基法が適用されない家族従業員だけの業界になってしまう」等々の意見や要望が出されたという。ヒアリングではこのほか労働基準局から「労働者の健康面だけでなく今後は生産性や経済性、業界の特性などについても検討していきたい」との意向が聞かれたという。

事務局からはこのあと「厚生科学審議会 生活衛生適正化分科会 理容師・美容師専門委員会」の設置に関する説明が行われた。それによると、消費者ニーズの多様化・高度化が進む中で、時代に沿った知識・技術を修得できるよう、理容師・美容師の養成制度や理容師・美容師に必要な事項を総合的に検討するため、厚生科学審議会適正化分科会のもとに理容師・美容師専門委員会を設置することになったという。

この専門委員会のメンバーについてはまだ正式決定していないが、全美連、全理連の各代表のほか理容師美容師試験研修センター、日本理容美容教育センターの代表、学識者、消費者代表等で構成される予定。具体的な検討項目も未発表だが、昨年国家戦略特区に提案のあった理容資格(シェービングやカットに特化して1年間で資格が取得できる)問題や、理美容所の重複開設の見直し、理美容の教科課程等が検討されるもよう。第1回目の専門委員会が6月18日に開催され、年内をめどに中間とりまとめが行われる予定。

いっぽう付議事項では、2024年OMC世界理美容技術選手権大会研修旅行団の編成及び参加役員への費用補助に関する件、令和6事業年度第82回通常総会及び第401回緊急理事会の招集並びに提出議案に関する件を承認可決した。これに対し理事からは「昨年の全国大会の新種目『カットバトル』は評判が良かったが、選手集めには毎年非常に苦労している。全国大会の在り方を見直して欲しい(山口県・佐竹章宏理事)」「この3年間理事として組合員の増加活動に取り組んできたが、店の営業が疎かになってしまった。各単組でこの問題に対処するのはすでに限界だと思う。関係法令を変えるくらいの意気込みで抜本的な対応を取る必要がある(山形県・桑原通夫理事)」等の質疑があり、いずれも検討課題となった。

挨拶する吉井眞人理事長

野本義久議長

議事に先立って石川、新潟、富山の各理事長が能登半島地震への義捐金に対し謝辞を述べた。写真は石川県の前川幸子理事

第53回全日本美容技術選手権大会(2025年)開催への意欲を示す福島県の五十嵐康之理事