全理連(大森利夫理事長、加盟店数 37,000店)は5月24日午前11時から、都内代々木の全理連ビル9Fホールで「第18回地球温暖化防止対策」に関する記者発表会を開き、今期取り組むという熱中症警戒アラート時の「バーバーサロン COOL SHARE」事業や「2024 SDGs・クールビズヘアスタイル」の紹介等を行った。
全理連では環境省が提唱する地球温暖化防止対策に応えて2007年から活動を開始。理容の特性を活かした「髪を1㎝短く切って体感温度を1度下げるクールビズヘア」や夏を快適に過ごすための「冷シャンプー」(第1回)を皮切りに、シャンプー後にドライヤー無しでもスタイリングが可能なベリーショート&ノードライヤーヘア(2012年)、脱プラスチックに向けた提案の募集(2020年)など様々な活動を推進してきた。
大森理事長は挨拶でまずクールビズヘアの公募結果について「今年はSDGsを意識した手ぐしでスタイルが決まるクールビズヘアを募り、海外からの55点を含む130点の応募があった」と報告したあと、COOL SHARE事業については「地球温暖化が叫ばれる中で本当に心配されているのが熱中症の問題だ。地域に根ざした理容店を避難場所として提供するこのバーバーサロン COOL SHAREは、熱中症警戒アラートが発表された時に重大な健康被害が発生する恐れのある子供や高齢者を守るための社会安全事業であり、社会貢献にもなる」と述べた。具体的には店内で十分な間隔を保ちながらクーラーや冷たいタオル、水分補給等で休息してもらい、症状によっては意志を確認した上で連絡も取りあうようにするという。COOL SHAREのステッカーを組合員店に配布するほか、サロンが取り組むうえで必要な「心得」をHP上で公開して全国規模で展開する。
発表会には伊藤信太郎環境大臣、秦康之環境省地球環境局長も出席した。伊藤大臣は全理連がこれまで取り組んできた一連の地球温暖化防止対策に対して謝辞を述べたあと、2050年のカーボンニュートラルや2030年の削減目標等の実現に向けて国が取り組んでいる脱炭素とより良い暮らしの両立を目指す「デコ活」について説明した。この中で伊藤大臣は「その一環としてクールビズやTPOに応じたオフィスでの服装の自由化、サスティナブルファッションなどの呼びかけを行っている。ヘアスタイルの工夫なども重要な要素だ。ドライヤーの時間を短くして夏を快適に過ごすヘアスタイルの普及や理容店をクーリングシェルターにするCOOL SHARE、脱プラ等への取り組みに敬意を表したい。今後も理容店や理美容関係商社と連携してデコ活を推進していきたい」と語った。
続いて、2024 SDGs・クールビズヘアスタイルの最優秀賞に選ばれた勝木琢海さん(新潟県)が、環境負荷軽減をキーワードにドライヤーの時間を短くして手ぐしで決まるというヘアのスタイリングを披露した。同スタイルのコンセプトについて勝木さんは「長さを残したスタイルにフェードスタイルを組み合せた。スタイリングには、固まったり手ぐしが通りにくいジェルとかワックスではなくオイルとヘアバームを使った。時間が経ってスタイリングが崩れても手ぐしでかきあげてすぐに直すことが出来る」と解説した。
最後に全理連の活動に賛同してプラスチック代替品への移行に取り組んでいる理美容商社を代表して、大森理事長から滝川(株)に感謝状が贈呈された。また発表会場には各社の「脱プラスチック商品」も展示された。
〈2024 SDGs・クールビズヘアスタイル〉▼最優秀賞=勝木琢海(新潟県)▼優秀賞=Viktoriia Vradii(ウクライナ)▼入選=野田典宏(埼玉県)、Dennis Pagliawan(フィリピン)、松林亮太(国際文化理容美容専門学校)
〈10年後の理美容業界に求める未来像の意見・提言〉▼最優秀賞=原田良太(兵庫県)▼優秀賞=浦川政裕(長崎県)
挨拶する大森利夫全理連理事長
伊藤信太郎環境大臣
クールビズヘアについて解説する勝木琢海さん(右)
店頭に貼られる「バーバーサロン COOL SHARE 」のステッカー
取材:小牧 洋