全理連(大森利夫理事長)主催のヘアワールドジャパンカップ2024(第76回全国理容競技大会)が10月21日、愛媛県松山市の愛媛県武道館で開催され、約190名の選手が5部門で技と感性を競った。同県での開催は第27回(昭和50年)、第53回(平成13年)に次いで今回が3回目だが、「地方色を意識した(大森理事長)」という4部の「坊ちゃん・マドンナカット」部門には韓国、台湾など海外からも20数名の選手が参加、国際色豊かな大会となった。その結果、佐々木彩瑛(1部)、岩井勇磨(2部)、田浦宏光(3部)、牧野雅樹(4部)の各氏が優勝したほか狐塚均氏(5部)が最優秀賞に選ばれた。
午前9時から行われたオープニングセレモニーでは、大森理事長が野志克仁松山市長をモデルに「坊ちゃんカット」を披露、松山大会ならではの演出で会場の雰囲気を盛り上げた。今大会では、夏目漱石の小説「坊ちゃん」にあやかって坊ちゃん・マドンナカットをヘアワールドジャパンカップ2024の正式種目に加え、作品審査も顧客目線を重視してプロではなくモデルの野志市長をはじめ地元企業の代表者や業界の関係団体代表など30名が担当した。
続く開会式では、はじめに吉村則男実行委員長(愛媛県組合副理事長)が「選手の皆さんは頂点を目指して精一杯頑張ってください。そして、この愛媛の舞台から世界へと大きく羽ばたいて」と歓迎の挨拶を述べた。“坊ちゃん”姿で登壇した野志松山市長も「これまでの努力と鍛錬で身に着けた実力を存分に発揮し、お互いが刺激しあうことで更なる飛躍へとつなげて下さい」と選手を励ました。審査事項を説明した船津博司審査委員長は「皆さんが1年かけて積み重ねてきた努力に敬意を表し、全ての作品を真剣に審査することを誓います」と挨拶した。最後に、親子で1部クラシカルフリースタイルに出場する愛媛県組合の沼田倭、至功さんが力強い選手宣誓をして競技に移った。
第1競技の4部・坊ちゃん・マドンナカットには36名が出場したが、うち韓国、台湾からの選手が21名と海外勢が半数以上を占めた。全理連では同種目の競技を通じて国際交流を図る目的で今年2月から大森理事長らが韓国や台湾、中国などアジア各国に出向いてヘアショーを行い、ジャパンカップ2024への参加を呼びかけてきたという。このあと1部・クラシカルフリースタイル、2部・レディス・クリエイティブヘア、5部・アデランス杯・ヘアピース、3部・Hair Creation-2024ラ・ソアーの競技が行われた。全国大会でのウィッグ競技については「昔のような人体モデルのほうが華やかで良い」「接客業なのだから人体モデルに戻すべき」といった意見が今年も会場から聞かれたが、選手たちのウィッグ衣装への工夫は年々進化してきており、上着はもちろんのことパンツやシューズまでコーディネートした作品も数多く見られた。このほか、1階エントランスホールに設けられた特設ステージでは、全理連が推進している“儲かる業づくり”のセミナーが開催され、稲葉孝博推進委員長をはじめフェードチームの飛田恭志、仲山浩史、牟田口則之、岡本淳也氏らが適正価格化の提案やフェードカットのデモストを行った。
全競技終了後の午後3時半過ぎから行われた表彰式および閉会式で主催者を代表して挨拶した大森大会委員長は「新しいことに挑戦して儲かる業づくりを進めていく必要がある。その意味で、これまでの地域における交流から海外との交流へと広げた今大会の意義は大きい。これを次の大会にむけて更に発展させていきたい」と語った。諏訪克之厚労省生活衛生課長による福岡資磨厚生労働大臣のメッセージ代読に続いて中村時広愛媛県知事、吉川秀隆タカラベルモント(株)会長兼社長も「海外からの同業者も多数参加し技術の交流を通じて友情の輪が広がったと思う(中村氏)」「今日ここで得たものは生涯の糧となるはず(吉川氏)」とそれぞれ祝辞を述べた。
(第1部門・クラシカルフリースタイル)
▼優勝=佐々木彩瑛(内閣総理大臣賞、東京都)▼2位=鈴木朝陽(大阪府)▼3位=柴本龍(大阪府)▼敢闘賞=石田勝理(東京都)、林聖也(東京都)、北野樹来(大阪府)、白倉寛也(三重県)、伊藤雄介(北海道)
(第2部門・レディス・クリエイティブヘア)
▼優勝=岩井勇磨(内閣総理大臣賞、千葉県)▼2位=川筋晶代(香川県)▼3位=松橋彪太(北海道)▼敢闘賞=井上敦史(東京都)、池田光貴(熊本県)、岡田早代(東京都)、佐久間優(東京都)、島田将斗(千葉県)
(第3部門・Hair Creation-2024ラ・ソアー)
▼優勝=田浦宏光(経済産業大臣賞、広島県)▼2位=奥敏夫(奈良県)▼3位=柿本宗春(神奈川県)▼敢闘賞=松村一生(大阪府)、山本友貴(大阪府)、瀧代正男(北海道)、唐木澪(大阪府)、成田知己(岡山県)
(第4部門・坊ちゃん・マドンナカット)
▼優勝=牧野雅樹(神奈川県)▼2位=大森詢一朗(愛媛県)▼3位=上代敬之(島根県)▼敢闘賞=船城明奈(徳島県)、佐々木碧天(養成校)、有田光輝(東京都)、庄司俊也(山形県)、CHOI/MUN HEE(韓国理容社会中央会)
(第5部門・アデランス杯・ヘアピース)
▼最優秀賞=狐塚均(埼玉県)▼優秀賞=福江成江(香川県)▼敢闘賞=齊藤拓也(大阪府)

オープニングセレモニーでは大森理事長が野志市長をモデルに「坊ちゃんカット」を披露した

歓迎の挨拶を述べる吉村則男実行委員長

船津博司審査委員長

4部・坊ちゃん・マドンナカット競技には多くのアジア選手が出場した

挨拶する大森理事長

祝辞を述べる中村愛媛県知事

祝辞を述べる吉川タカラベルモント(株)会長兼社長

5部最優秀賞の狐塚均氏

4部優勝の牧野雅樹氏

3部優勝の田浦宏光氏

2部優勝の岩井勇磨氏

1部優勝の佐々木彩瑛氏
取材:小牧 洋
