漆文化の今昔そして未来を学ぶ
第5回「美容考古学フォーラム」 / 美容考古学研究所

国際文化学園(荘司礼子理事長)美容考古学研究所(村田孝子所長)は3月21日(木)、国際文化理容美容専門学校渋谷校ホールにて第5回「美容考古学フォーラム」を開催した。


開演のあいさつに立つ村田孝子 美容考古学研究所 所長

村田孝子所長のあいさつで始まった美容考古学フォーラムは同研究所の主任研究員である篠原博昭氏の司会で進行した。

第5回目の今回は「漆 -漆文化の今昔そして未来-」と題した講演。

講師は長年日本美術史、特に蒔絵を中心とした漆工芸史を研究している日高薫氏で、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授を務める。


講師、日高薫氏

日高氏によると、日本では、古くは縄文時代から利用された歴史ある工芸であるが、塗料として利用されている漆は東アジア、東南アジアに生息する樹種のみであり、世界のその他の地域では漆文化は存在せず、そのため西洋をはじめとする地域の人々にとって漆は未知の塗料として、絹織物や磁器とともに「東方」を象徴する工芸品とみなされたとのこと。西洋では「japan」と呼称され、その高い芸術性から王侯貴族の支持を集め、マリー・アントワネットのコレクションにも多く見られたという。同氏はそのような漆の歴史と、漆原料の採取方法、その特長などを詳細に解説した。
最近の考古学的調査によると、日本最古の漆製品は9000年前、という可能性があり、また、日本での最古のウルシ材は12600年前との分析もあり、外来植物と言われている漆の起源は実は日本なのではないか、との議論も出ているとのことだ。

豊富随所でスライドを使用し解説

アジアで発達した漆文化、中でも蒔絵などを中心とし評価の高い日本の漆工芸品のその学術的背景を解説した講演は、来場した参加者の興味を強く惹いていた。

講演の途中で、荘司礼子国際文化学園理事長のあいさつもあり、2019年に故平野徹前理事長の肝いりで立ち上げた美容考古学研究所の発表の場をしっかりとしたかたちで届けたい、と起ち上げたこのフォーラムの第五回は幕を閉じた。


あいさつをする荘司礼子国際文化学園理事長