全理連中央講師会(船津博司会長、木下裕章幹事長)は5月27日正午過ぎから、都内代々木の全理連ビル9階ホールで令和7年度定期総会を開催した。総会でははじめに専門講師による「カスタマーハラスメント対策セミナー」が行われ、令和7年度の事業計画(案)や収支予算(案)を含む全ての議案も原案通り承認可決した。
総会に先立ってケミカル部会の飯島克昌講師からヘアカラーに関する注意喚起が行われた。それによると、同講師会では毎年日本ヘアカラー工業会(略称:JHCIA)とヘアカラーに関する様々な問題について話し合いの場を設けているが、最近はブリーチ後のヘアカラーによるかぶれ(アレルギー反応)等のトラブルが急増しているという。飯島講師はJHCIAが作成したパウダーブリーチ剤による施術トラブル関連の資料に基づいてやけどやアレルギー(アナフィラキシーを含む)を防ぐポイントを説明し「お客様を守ることはもちろん大事だが、手のかぶれで将来有望な若手を離職させないためにも、正しい知識と技術を再確認して施術に臨んで欲しい」と訴えた。
木野島徹副幹事長による開会の辞に続いて挨拶した船津博司会長(神奈川県理容組合理事長)は、この日のカスハラ・セミナーが神奈川県中小企業団体中央会の協力で実現したと前置きし「神奈川の組合員がノイローゼになるほど酷いカスハラ被害に遭い組合に助けを求めてきたのがきっかけ。社会的にも関心度が高く我々の商売にとっては死活問題なので、しっかり勉強していって各県の講習等で活かしてください」とテーマへの理解を求めた。
続いて挨拶した木下裕章幹事長は、このほど同講師会の講師の定年が55歳から60歳にまた名誉講師は定年を廃止(従来は60歳)するなど定年制度が改訂されたことについて報告した。このほか、先日訪れたという大阪万博は「理容師の未来を創造する上で参考になるパビリオンが多かった」として「講師会もただ諸課題に対応しているだけでなく、やはり未来に向けた活動にも大いにチャレンジしていく必要がある」と組織のマンネリ化に警鐘を鳴らした。なお、来年は創立50周年を迎えるため記念行事を計画中だという。
このあと行われたカスタマーハラスメント対策セミナーでは、「カスハラから従業員・企業を守るために」をサブタイトルに、三井住友海上火災保険(株)MS&AD経営サポートセンターの松本徹也氏が約1時間にわたって基調講演をした。社会保険労務士や中小企業診断士としてトラック協会をはじめ運送業団体や商工団体で人事労務、働き方改革、SDGs経営などあらゆるテーマでの経営者向けセミナーも数多く行っているという松本氏はまず、カスハラという言葉が最近よく聞かれる背景について「良い意味でも悪い意味でも日本に昔からある“おもてなし文化”や“顧客第一主義”さらには“お客様は神様です”意識などが間違った解釈で広がってしまった部分もある」とした上で、「お客様は何を言っても許されるみたいな誤解が変な方向に走っている。SNSの普及で広がり方(範囲・スピード)も昔に比べると桁違い」と述べた。
そして「満足と不満足の伝わり方」については、接遇に感動・満足したお客様は1人が平均して5人にそのことを伝えるのに対し、不満を感じたお客様の場合は1人が平均して10人(SNSではもっと多い)に伝えているという。松本氏は更に「使用者は労働者が生命・身体の安全を確保しながら働けるよう必要な配慮をしなければならない」という安全配慮義務についても触れ、「対策を怠ると安全配慮義務違反を問われる可能性がある」と警告した。同講師はこのほか、カスハラに関する法制化の動きとして昨年10月に全国で初めて制定された東京都カスハラ防止条例(2025年4月1日施行)も紹介し「今後同様の動きが他の地方公共団体にも波及する可能性があり、高い注目を集めている」と注意を促した。日々のニュースでも話題になるテーマとあって、松本講師の話す要点を熱心にメモる参加者も多く見られた。

挨拶する船津博司会長

挨拶する木下裕章幹事長

講演する松本徹也氏

ヘアカラートラブルの説明をする飯島克昌講師

全国から参加した中央講師の皆さん
取材:小牧 洋
