「事業の推進方法を工夫し昨年以上の結果を」と藤原理事長
第83回通常総会/全美連

全美連(藤原國明理事長)は5月29日午前11時から、都内代々木の美容会館9階ホールで令和7事業年度 第83回通常総会を開催、3号議案の令和7事業年度事業計画(案)の承認に関する件を含む全議案を原案通り承認可決した。

総会では議長に川原陞(香川県)、副議長に桑原通夫(山形県)、志村勝美(茨城県)の各氏を選任、藤原理事長の挨拶に続いて国会議員、関係団体等来賓が祝辞を述べた。前内閣総理大臣の岸田文雄衆議院議員は「多くの事業者が物価高や人手不足など様々な課題に直面している」と前置きしたうえで「物価高騰に機動的に対応するための価格転嫁がスムースに出来るための支援を行っていく。日本政策金融公庫による融資や税制措置など様々な努力も必要だ。このため政府は今物価高に負けない賃上げや事業者の収入向上を実現するための経済政策を進めている」と国の経済政策をアピールした。

続いて挨拶した元厚生労働大臣の田村憲久衆議院議員は岸田氏が述べた国の経済政策について「デフレ時代の旧弊一掃を賃上げ・投資が牽引する成長型経済を実現するため、新しい資本主義実行本部(岸田文雄本部長)が石破総理に提言している」と報告した。田村氏はまた現在国が進めている年金制度改革についても触れ「この週末にも衆議院を通りそうな情勢。個人事業所でも5人以上の所は厚生年金に加入しなければならないのではと心配しているかも知れないが、既存の生衛事業者の場合は従来通りで大丈夫」と説明した。このほか、塩崎彰久衆議院議員(愛媛県)、牧島かれん衆議院議員(神奈川県)もそれぞれ祝辞を述べた。

厚生労働省の諏訪克之生活衛生課長は「美容業界では幸い毎年約2万人の新しい美容師が誕生しているが、人口減少が進む中で産業界における人材獲得競争は今後ますます激しくなっていく。若い世代が美容界にしっかり定着してもらうためには人材育成が鍵になろう。養成施設の関係者と協力して専門学生からサロン就職に至るまでのサポート体制を業界全体でつくることが重要」と団結を訴えた。同じく厚生省の安達佳弘能力評価担当参事官も、2028年に愛知県で開催される技能五輪国際大会に関連して「より良い経済社会実現のためにも、優れた技能を持っている人が適切に評価されることが重要。全美連が後継者育成にも真剣に取り組んでいると聞いているが、こういう国際大会のような機会をとらえて育成への機運が醸成されていくよう全力で取り組みたい」と人材育成の大切さを強調した。

日本政策金融公庫の佐々木裕介常務取締役は、振興事業貸付の条件を改正したことについて「この制度は組合にずっと加入してもらうことが目的。この点を組合員に周知して欲しい。資金繰りも大事だが、組合加入の勧奨についても引き続き連合会と協力して取り組んでいきたい」と挨拶した。

議事に先立って令和6年度組合員プラスワンキャンペーンの表彰式が行われ、令和7年4月1日現在の組合員数が1年前に比べ1名以上増加した福島県、徳島県、沖縄県に対し、藤原理事長より表彰状と記念品が贈られた。1号議案の令和6事業年度事業報告の承認に関する件では、組織強化・デジタル委員会(今野仁委員長)、教育・広報委員会(谷上司委員長)、共済委員会(山口雅生委員長)の各委員長から実施事項について報告があり承認可決された。また、3号議案の令和7事業年度事業計画(案)の承認に関する件では、藤原理事長が「継続事業を中心とした事業となるが、昨年以上の結果を出すために推進方法等を工夫しながら策定した」と趣旨説明を行った。総会終了後の午後1時過ぎからは第406回緊急理事会(非公開)が開催された。

藤原國明理事長

岸田文雄前総理大臣

田村憲久前厚生労働大臣

諏訪克之厚労省生活衛生課長

安達佳弘厚労省能力評価担当参事官

日本政策金融公庫の佐々木裕介常務

取材:小牧 洋