全日本理美容品工業連合会(会員数 45社、川添義行会長)は9月17日午後3時過ぎから、都内文京区の東京ドームシティホテルで第22回東京大会を開催、総会に続いて講演会や懇親会も行われた。
第1部の総会では西村康明氏(東京理美容品工業会)の司会ではじめに川添義行会長(中部理美容品工業会)が挨拶した。川添会長は2年間の任期を振り返って「コロナが明けてからの運営方法については皆さんに相談しながら手探りでやってきたが、何とか無事に乗り切ることが出来た」と謝意を示した後、井上研司東京理美容品工業会会長の提案で実現した同連合会のホームページ(以下HP)制作に触れ「これがきっかけとなって3工業会が集まって話し合うという頻度が高まりコミュニケーションも深まった」と語った。
これに関連して発言を求められた井上氏は「昨年5月から実際の運用に漕ぎつけた。各会員企業のイメージ写真やロゴ、メッセージの閲覧が可能で、各社のHPへのリンクも張られている。アクセス解析の結果閲覧者数や閲覧時間は残念ながら少なかったものの、英語圏からのアクセスが意外と多かったので今後は英語ページの検討も考え会員各社の知名度アップに資したい」と協力を要請した。
川添会長は先に開催されたアジア・ビューティエキスポに向けた「連合会としてのアクション」を提案したという村島有治関西理美容品工業会会長にも発言を促した。村島氏は「以前からメーカーの立場からも発信したいと考えていた。井上氏のHP提案を機に有志という限定したスタイルながらエキスポへの参加を決心した」と述べたあと詳細を報告した。村島氏はこの中で今エキスポでは初めて会場内での製品販売が許可されたことに触れ「商品の魅力を直接伝え更に購入したお客様を通して周囲にも二次的な波及効果を生み出すという価値ある取り組みだった。次回は再び首都圏での開催となろうが、今回の学びと成功体験をもとに結束を固めより盛大な出展を目指したい」と意欲を示した。
総会ではこのあと川添会長を議長に指名して議事に入り、加藤祐司事業部長が23年~24年の事業報告を、また小野和徳会計理事が会計報告、阪本昇次会計監査が監査報告をそれぞれ行いいずれも承認可決された。笹木幹生氏(東京理美容品工業会)が「世界の美に関わるための環境づくりに取り組んでいく」と大会宣言を行い、最後に新会長に就任した井上研司氏が「お互いの交流を密にして結束力を高め、共同事業の拡大を検討していきたい。また、情報の発信力も高めて流通業者や理美容師を含めた業界全体に影響を与えられる団体を目指す」と抱負を述べた。
業務AIの活用をテーマに講演会
第2部の記念講演会では、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の古川慈之氏が「業務におけるIoTとAI活用」と題して講演した。AI技術の歴史から、2022年11月にOpenAIが対話型サービスのChat GPTを公開し、幅広い分野の質問に詳細な回答を生成できるようになったことから急激に普及したという生成AIの現状までをわかりやすく解説したあと、今後の課題について古川氏は「著作権で保護されたデータを無断で学習に使用した場合の扱いや、データ提供元の利益に反するサービスの提供、サービスへの入力で個人情報や機密情報が漏洩する問題等への対処。更には電力消費量の増加、データセンターの建設といった問題も出てくる」と語った。最後のデモストでは、会員企業における生成AIの業務への活用法についても紹介した。
午後6時からの第3部懇親会でははじめに井上会長が「連合会を懇親だけにとどまらず新しいものを生み出していけるような場にしていきたい」と挨拶したのに続いて来賓代表の滝川睦子東京理美容品卸商業協同組合理事長、駒田健治大阪美容用品卸問屋組合理事長、橋本健治全国美容用品商業協同組合連合会理事長らが、「理容、美容等の様々な垣根を越えたメニュー提案や顧客視点に立ったメニュー創設が増えている。理美容店向けの商材をエステティックサロンやネイルサロンが新しい発想でメニュー提案するというケースも珍しくない。メーカーの方々がこうした新しい動きに積極的に対応することを願っています(滝川氏)」「バブル崩壊後の30年間でわかったことは、日本はやはり価格ではなく技術力で共存共栄をはかっていくべきだということ。高い技術力で良いものを作った上で次はそれをいかに安く作るか考える、メーカーにはそういう順序をお願いしたい(駒田氏)」「全美商連の各ブロック会で会員に伝えていることは、もう一度フルサービスディーラーという基本に立ち戻って安心・安全を届けられる活動をしようということ。カラー剤など薬剤の正しい使い方をサロンに伝えられるのは我々代理店だけだ。こうした地道だが大事な活動を続けていきたい(橋本氏)」と祝辞を述べた。吉田博全国理容用品商組合連合会理事長による乾杯の発声で宴に移った。
(新役員)
▼会長=井上研司(株・東光舎)▼副会長=村島有治(株・トリコインダストリーズ)、川添義行(株・名縫)▼理事(事業部長)=笹木幹生(有・ペテック)、同(副事業部長)=西田康弘(株・ニシダ)、同(副事業部長)=加藤祐司(株・日出電気製作所)、同渉外部長=西村康明(有・西村製作所)、同(副渉外部長)=川上大輔(八光工業・株)、同(副渉外部長)=浅野成利(株・光工芸)▼会計理事=阪本昇次(株・阪本高生堂)▼会計監査=中埜鉄也(株・丸福商会)、小野和徳(株・ヨコイ)

川添義行会長

井上研司新会長

村島有治氏

新役員の方々(前列中央が井上新会長)

古川慈之講師

滝川睦子氏

駒田健治氏

橋本健治氏

吉田博氏
取材:小牧 洋
