東京都美容生活衛生同業組合(BA東京/金内光信理事長)は3月25日午後7時から、都内代々木の美容会館TBホールで「組織強化研修会」を開催した。BA東京では、業界の諸課題に対応することを目的にこれまでディスカッション形式の「美容サミット」を行ってきたが、依然として組合員の減少が続く中、組織基盤の再構築と持続可能な組合運営を図りながら組合員獲得を目指そうと内部向けの同研修会を企画したもの。研修会には支部役員や一般の組合員など約130名が参加、執行部の説明のあと熱心な質疑応答も行われた。
研修に先立って挨拶した金内理事長は研修会の意義などについて「組合加入のメリットを疑問視してか『組合費をとられている』と感じている組合員は少なくないと思う。研修会を通じて皆さんが毎月支払っている組合費という負担に対してどれだけのメリット(付加価値)があるのかを知って欲しい。各支部で未加入のサロンオーナーから加入のメリット等について聞かれたとき対応できるための資料も作成した」と述べた。
研修は5つの論題に関して執行部の各役員が説明を行うという形で進められ、はじめに福島吉功副理事長が「組合のメリット」をテーマに説明した。福島副理事長は、BA東京への入会メリットとしてまず美容所賠償責任補償・災害共助会・休業補償・低金利融資・法律相談等を挙げ「困ったらとにかく組合(または支部)に連絡をして欲しい。その一歩が解決への道に繋がる」とした。福島副理事長はこのほか加入によって様々な技術セミナーへの参加や営業に必要な各種情報が得られる等のメリットも紹介した。
石井庸子副理事長からは総合福祉共済制度のメリットが説明された。同制度について石井副理事長は「美容師のために全美連が設けた優れた仕組みの制度。昨年1年間各ブロックや支部での説明会を通じて多くの方に加入してもらった。社会保険に未加入のサロンでは福利厚生として活用してもらうことも出来る」と前置きして、様々な保障内容や特別給付金の具体的金額を説明した。
大田文雄常務理事は美・プラザ協同組合について説明した。同協同組合はBA東京の関連団体で美容サロン向けに材料の卸売やデジタル技術を活用した教育(VR・動画)、インバウンド対応支援、訪問美容等の事業を展開している組織で、大田常務は「個人では難しいことを組織の力で実現しサロンの未来を切り開くという理念の下で活動している」と意義を語った。同常務は更に「経営力や情報対応力、人材育成、労務環境の整備などサロン運営に求められる要素は多岐にわたっている。こうした背景を踏まえ、支えあえる組織の構築に取り組んでいる」として、スケールメリットを活用した共同購買やサロン繁栄勉強会・カスハラ対策・美デジプロジェクト(VR動画等を活用して美容技術や知識を効率的に習得する)・着物着付け・アイビューティシャン(まつ毛エクステ)や速習アカデミー(人材確保と早期育成という喫緊課題に対して短期間で即戦力を養成する独自カリキュラム)等の各種認定事業・サロンの社会的価値を高める社会貢献や受託事業・助成金支援事業などについて説明した。
また、「支部長の役割」を担当した村橋哲矢専務理事は「地域の衛生を守り、仲間を増やし、未来を創るリーダーになる」をテーマにした“保存版・支部長の手引き”を作成し参加者に配布、支部長の役割に関する詳細な解説を加えた。村橋専務理事は「環境が大きく変化する中で、我々にはそれぞれの地域における生活衛生の向上を進めるという重要な役割がある。この目的を達成するため、支部長はこれまで重要な役割を担ってきた」と、支部長が各地域における美容業の要であることを強調した。
その上で、支部長が地域と本部を結ぶ現場のリーダーと位置づけ、支部の代表・運営管理、本部との連携(パイプ役)、加入促進と組合員のサポート、地域の教育・交流事業の推進、行政・外部団体との連携など支部長の多岐にわたる職務について説明した。そして、支部長の最重要任務として「新規加入促進」を挙げ、「毎年2~3%の割合で進み続ける組合員の減少にいま歯止めをかけなければ我々の声は行政や社会に届きにくくなり、自分たちの首を絞める結果にもつながる」として、現組合員が総力を挙げて未加入の美容室にアプローチする必要性を訴えた。
村橋専務理事はまた、支部の活力を取り戻す一環として「インフルエンサー組合員の育成とSNS活用」を指摘し、「発信力のある若手や技術に秀でた支部員には“インフルエンサー組合員”として活躍してもらい、若い世代に組合の魅力を感じてもらうことも重要だ。各支部の活動をHPやSNSで積極的に発信することも大切」と述べた。
最後に金内理事長が「美容組合はナゼ必要か」と題して、「美容師でなければ美容の業をしてはならない」とする業務独占の根拠やこれを維持していくことの重要性について説明した。金内理事長はこのほか、国が進めている規制緩和に関連して「出張美容の対象が拡大されたり、現在特例で認められている週48時間労働が40時間に短縮となる労働基準局からの通知が発出されるなど将来に禍根を残すような動きが見られる」として一層の組織強化による政治力の向上を訴えた。とくに業務独占に関しては、これが70年間にわたって維持継続されてきた背景として美容組合の存在を挙げ「美容組合が必死になって守ってきたから業を独占できている。これこそが組合の最大のメリットではないか。その意味でも組合員を増やす意義は大きい」と未加入美容師の加入促進活動への理解を求めた。
説明終了後には質疑応答や意見交換も行われ、「若手美容師の中には経費や集客、開業問題等で将来への不安を抱えている組合員も少なくない」として①加入メリットの明確化、②ディーラーとの連携、③若手美容師の抱え込みを柱とする組織強化策の提案が行われたのをはじめ、組合加入の越境問題や理美容合併の可能性、出張美容、フリーランスが組合加入した場合の取り扱い、廃業に伴う事業継承など多岐にわたる質問や意見が出された。
このうち、事業継承問題について金内理事長は「組合員の高齢化で事業継承を望む声は増える傾向にあるので、組合の機関紙(BAタイムス)を通じたマッチング事業をしていきたい」、また「他県の出張美容専門業者が活動していて少なからぬ影響が出ている」という質問に対して村橋専務理事は「当該地域に美容所を開設していないので保健所には未登録のはず。衛生管理上の問題はないのか保健所に照会してみてはどうか」と答えた。

金内光信理事長

福島吉功副理事長

石井庸子副理事長

大田文雄常務理事

村橋哲矢専務理事

約130名の支部員が参加した

熱心な質疑応答も行われた
取材:小牧 洋
