日本政策金融公庫は、生活衛生関係営業3,140企業(うち理容業432企業、美容業453企業)を対象に実施した「インバウンド対応動向調査」を発表した。
理容業・美容業における外国人観光客(インバウンド)の利用現状、受け入れへの取り組み、今後の方向性、および課題については以下の動向が示されていた。
〇 インバウンド利用の現状
生活衛生関係営業全体では「外国人観光客の利用がある」と回答した企業が46.0%に達しているが、業種別で見ると宿泊業(88.5%)や飲食業(60.5%)が高い数値を記録しているのに対し、理容業は27.1%、美容業は19.0%にとどまっている。理美容業は他業種に比べ、観光客の利用がまだ限定的な状況にある。
〇 受入れに向けた取り組みと効果
インバウンドの受け入れに取り組んでいる企業割合は、理容業が17.4%、美容業が11.3%(全体平均27.9%)と、他業種に比べ低い水準である。 一方で、取り組みを実施している店舗において「効果があった施策」としては、理容業・美容業ともにキャッシュレス決済の導入(理容38.3%、美容57.6%)が最も高い効果を示した。次いで、翻訳機器・アプリの導入(理容40.4%、美容36.4%)やWi-Fi環境の整備(理容23.4%、美容36.4%)が大きな効果を上げている。特に美容業では、Wi-Fi環境やキャッシュレス対応が集客・満足度向上に寄与している割合が高い。


〇 今後の受入れ方針
今後のインバウンド受入れに対しては、「積極的に受け入れたい」「自然体で受け入れていく」と回答した肯定的な割合が、理容業で49.8%、美容業で47.0%と約半数を占める。しかし、全体平均(65.2%)と比較すると低く、「できれば受け入れたくない」とする慎重な姿勢を示す企業も理容業で48.4%、美容業で50.1%と約半数に達している。
〇 受け入れにあたっての課題と慎重な理由
受け入れに肯定的な店舗では、「店舗内の案内表示やメニュー表等の多言語対応」(理容30.5%、美容30.5%)や「HP・SNS等の多言語対応」(理容22.0%、美容23.5%)が主な課題として挙がっている。
受け入れに慎重な店舗では、「言語・文化の違いから発生するトラブルを回避したい」(理容50.2%、美容56.8%)が最多の理由となっている。また、「多言語対応ができる従業員の不足」(理容27.8%、美容37.4%)や「国内客で売上が十分に確保できている」(理容27.8%、美容22.5%)点も受け入れを躊躇させる要因となっている。
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以上で示されたように、理容業・美容業におけるインバウンド対応は、他業種に比べて発展途上にある。施術中の対話や細かい要望のニュアンス把握が必要な業態であるため、言語・文化の違いによるトラブルへの懸念が受入れの大きなハードルとなっている。今後は、キャッシュレス決済や自動翻訳アプリといったITツールの活用、多言語でのメニュー整備を進めることが、受け入れ態勢構築のカギになると考えられる。
