地元の中高生向けサロン内スクール
大分県『trico』の取り組み

全国的に美容師のなり手が少なく、リクルートに頭を悩ませるオーナーさんが多いと言われる昨今。中高校生向けにサロン内スクールを開催し、人材育成につなげているという、大分県にあるサロン『trico』さんの取り組みについて、オーナーのお一人で、スクールの校長でもある伊東直哉さんにお話をお伺いしました。

___中高生のためのサロン内スクールを行っているそうですね。

美容師に興味のある中高生に部活のような感覚で楽しく学んでもらえる場を提供できればと、ジュニア・ヘアドレッサーズ・スクール、略してJHSという名称でやっています。元々、北九州にある『Hair Design ZERO』さんが行っているスクールの大分支部という形で2018年4月に始動しました。

___どういった経緯で始めることになったのでしょうか?

大分でも美容師の成り手不足は深刻で、若い世代の方にもっと美容師という職業の楽しさを知ってもらい、美容師を目指す子を増やせればという思いでスタートしました。将来的に、リクルートや人材の早期育成に繋がればいいなという目的もあります。実際にスクール受講生から今年は1名うちに入社してくれました。

___スクールの活動はどのように行っていますか?

月に3回、毎週木曜日の18時~20時です。うちのサロンは2店舗あるのですが、スクールのある日は1店舗の営業を早めに切り上げて会場にしています。ウイッグを使用してカットの際の体の動かし方や姿勢のトレーニングを行ったり、アレンジの講習を行ったりというのが主なレッスン内容です。学生さんの会費は教材費も含めて月2000円。専門学生さんや、休眠状態から復帰を目指す美容師さんも受講生の中にいらっしゃるのですが、その方たちにはもっとアドバンスな内容でレッスンを行っているので、もう少し上がります。

___講師はどなたがしているのですか?

その時の内容にもよりますが、2年目のスタッフがメインで教え、僕も必ず立ち会うようにしています。教えることで若いスタッフも自身の知識を整理できたり、どうやったらうまく伝わるか勉強をするので、確かな成長が見られますね。これは嬉しい副産物でした。

___通常の活動の他に、何か行っていることはありますか?

年1~2回のペースですが、保護者の方向けに発表会を行っています。お店に親御さんを呼んで、普段やっているレッスンの様子を見てもらったり、受講生が自分のお母さんの髪をアレンジしたりしました。お子さんの成長を実感していただける場になったと思います。

___今後のJHSの活動の目標などありましたら、教えてください。

今まで生徒募集を店内でのポスター告知や、ホームページ、お客様の口コミなどのみで行っていたのですが、2019年は地元の中学校、高校にも出向いて、より多くの方に活動を知って頂く機会をつくろうと思っています。美容は人を綺麗にして、人の心までも動かせる夢のある仕事だと思っています。そんな夢のある仕事に少しでも興味を持ってもらえる方が増えれば幸いです。

将来を見据え、まずは正しい体の動かし方、姿勢を身につけてもらうことに、レッスンの重点を置いているそう。

トレーニング用のペーパーでできたウイッグを使用して、基礎を反復する。

カットだけではなく、ワインディングの練習を行ったり、アレンジのレッスンも行っている。

伊東直哉さん(trico)

1977年、大分県出身。明星国際ビューティカレッジ卒業後、県内2店舗を経て2012年に麻川 徹氏、日高雄一氏と共に『trico』を立ち上げる。現在、同店トップデザイナーで、JHSの校長を務める。