突然ですがみなさん、パーマ提案していますか?
ハイトーンが流行って、カラー提案の幅は広がっていますが、パーマ比率はイマイチ伸びていないサロンが多いようです。しかし、積極的に提案できているサロンが少ないということは、逆に“売り”にするチャンス。
今後、パーマを武器にすることがいかに重要になるか、『gite』浜口ユウイチさん、『SHEA.』坂狩トモタカさん、『air』長門政和さんというパーマ上手3人に伺いました。
――皆さん日頃からパーマを積極的に提案されていると思いますが、パーマを売りにするべき理由は何ですか?
長門 パーマを売りにするべき1番の理由は、儲かるからです。カラーは配合が同じであれば誰が塗ってもだいたい同じになりますけど、パーマはそうはいきません。絶対的な技術があればお客様は他店に流れにくくなり、定着していただけるという点でパーマは強いと思います。
坂狩 パーマは必ずカットと連動するから、オンリーワンになるんですよね。結果、この人にしか任せられないという動機づけになる。僕は、パーマはデザインのためというよりも、かけておいたほうがいいものとして、トリートメントに近い感覚で提案しています。
浜口 特に若手のスタイリストは、売り上げを伸ばしたいんだったら、大人のお客様にこそパーマを勧められるようになったほうがいいですね。単価を上げる意味でも。これからは、そっちの世代のほうが人口も断然多くなるわけですし。
長門 大人世代が一番パーマを必要としているんですよね。白髪はカバーしたいし、ボリュームや華やかさも欲しい。そうなると、カット・カラー・パーマが必要。さらにトリートメントも加えたら、かなりいい単価になるわけです。
坂狩 例えばうちの場合だと、ゼロテクで行うリタッチが7,000円、デジパーが13,000円、カットが8,000円、トリートメントもつけたらやっぱり30,000円は超えますからね。ただ、世代が上がるのと比例して必要な技術の難易度も上がってくるので、相応の対応力を身につけなくてはいけませんけど。
――自信を持ってパーマを提案できるようになるには、何をするべきでしょうか?
浜口 まずアイロンに頼りすぎないことですね。アイロンは道具としては便利ですけど、カットベースに関係なく力技である程度形がつくれますから、それに慣れてしまわないこと。
坂狩 20代のお客さんだったらアイロンを使った仕上げで全然問題ないと思うんですけど、30代以上にはやっぱりパーマのほうがいいですよね。「パーマをかけたらスタイリングが楽になった」と感じてもらうことが大事なので、例えば毛先だけにかけるような、ナチュラルなスタイルがつくれるといいと思います。
浜口 あとは、薬剤とか巻き方の前にまずカット。僕は「パーマが上手い」っていうのはあまりないと思っていて、それはパーマが上手いんじゃなくて、カットが上手いということなんですよね。逆に言うと、カットが下手だと、パーマをかけた時にそれが露わになってしまう。
坂狩 ワインディングする時の角度など、カットの構造を理解していないと難しいところがありますからね。アシスタントが巻くと、同じロッド数と回転数でも僕が巻いたのと同じには仕上がらない。ちょっとしたテンションの違いでも、大きな差が出てしまうんです。
長門 パーマを狙い通りかけるには、そのために適切なカットの展開を頭の中で描けていることが必要ですよね。当たり前のことですけど、薬剤、カット、ワインディングの基本からちゃんと勉強して、美容師の仕事を好きになることが大事だと思います。学んだことを活かせる美容師の仕事の集大成が、カット&パーマなんじゃないかな。
坂狩 僕たちの仕事は何?ってことですよね。インスタグラマーじゃないでしょ!って。
浜口 そう。スマホを置け、練習せえ!ってことです。
熱いメッセージありがとうございました。
実は4月号から、この3名が登場する新連載「大人対応トレンディケミカル」が始まります。話題の新しい薬剤の使いこなしや、エイジング毛への対応テクニックが満載。パーマのネタはもちろんですが、それ以外にも役立つ情報を紹介していくので、是非ご期待ください!
浜口ユウイチ/gite
1979年生まれ、三重県出身。山野美容芸術短期大学卒業後、都内2店舗を経て2014年『gite』をオープン。「デザインのためのケミカル」を標榜し、ベーシックカットから最先端の薬剤の使いこなしまで幅広い技術を持つ。
坂狩トモタカ/SHEA.
1983年生まれ、福岡県出身。資生堂美容技術専門学校卒業後、都内3店舗を経て、2018年『SHEA.』をオープン。毛先に特化したパーマや、グレイカラーのデザインに定評があり、セミナーやヘアショー等でも活躍している。
長門政和/air
1982年生まれ、東京都出身。山野美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て『air』に入社。現在、『air GINZA』にて店長を務める。特にホット系パーマやストレートパーマを得意とし、メーカーの商品開発にも多く携わっている。