昨年11月に行われた弊誌主催のセミナー『プレママ&現ママ美容師 交流会』ですが、たくさんの方に興味を持っていただき、来られなかった方からのお問い合わせも多数いただきましたので、今回は特別に登壇者のお一人である『himawari』岡村智代さんにお話を伺ってきました。ママ美容師を目指す方、今まさに頑張っているママ美容師の方へのメッセージに加え、ママ美容師として働く上でのヒントなどもお話いただきましたので、是非参考にしてみてください!
−−11月のセミナーでは、ご登壇いただきましてありがとうございました。セミナーを終えてみて、いかがでしたか?
今回のセミナーでは、第一部で『SiiKA』のサトーマリさんと私のプロフィール的な紹介があり、第二部として仕事の上でのそれぞれの取り組みについてのまとめがありましたよね。そして、第三部で来場者の皆さんとの意見交換会があったのですが、最後、第三部の盛り上がりがすごかったと思います。いざしゃべり出したら、皆さん止まらない(笑)。今まで、自分が行ったセミナーなどでは、質問の段階になると皆さーっと帰ってしまう印象があったのですが、今回は、質問しなくてもその場でちゃんと聞いていてくださっていて。結構時間も延長しましたが、誰も席を立とうとしない(笑)。皆、他の人の話を聞きたいんだなあと、その光景がとても印象的でした。
−−その中でも特に印象的だった質問などはありますか?
質問で印象深かったのは、結婚10年経っても出産に踏み切れないという方のお話ですね。ああいう方って多いんだろうなとは実は前から思っていて。美容師の方たちって、私自身もそうですが、仕事が軸になってしまっている方が多いと思うんです。責任感が強すぎるために、お客様のことやスタッフのことを考えて、自分の中で「これでは出産できない」と思いこんでしまうことって多いんじゃないかなと思います。
自分も実際、産んでみての経験ですが、子供ができると必然的にスタッフと一緒にいる時間って減ってしまうんですよね。若いスタッフたちは、私がガツガツやっていた頃とか、遅くまで残っていた姿を知らないので、自分とは違う、遠い存在だと思ってしまうんです。スタッフによっては、「一緒にいる時間=愛情」と受け取ってしまうこともあるので、うまく折り合いをつけて、良い関係に転換していけるかという部分は正直難しいなと思いました。
−−今抱えている悩みを打ち明けてくださる方、本当に多かったですよね。でも実際に目の前でちゃんと活躍しているママ美容師さんのお話を聞けたことは、大きかったんじゃないかと思います。
あんまりそういうことについて、意見を言ってくれる人って周りにいないですもんね。割と周りがネガティブになっているというか、あまり協力的じゃないところもまだまだ多いんだと思います。ママ美容師が働きやすい環境がそろえば、本当に変わってくると思うんですけどね。ママ美容師になったからダメになるわけじゃない、ママになったからこそ美容師として活きてくるという感じになれたらいいですよね。
会場にはママ美容師さんも結構多かったんですけど、実際に仕事に復帰して軌道に乗っているママ美容師の方たちからは、自分の悩みというよりは周りをどう巻き込むかという質問が多かったのですが、プレママという段階の方たちは不安だらけなんだなと思いました。
−−ママ美容師の不安を減らすためには、お店やスタッフの協力体制といった「環境づくり」がいかに大切かわかりますね。自分でもできることがあるとしたら、どんなことだと思いますか?
大切なのは、発想を転換すること
マイナスをプラスにする考え方
やっぱり進化することだと思います。ママ美容師になる際、どうやってもお客様の人数は減ってしまうと思うんです。今までのお客様が離れてしまうのは、もちろんショックだと思います。でも、そこでいかに発想を転換できるかだと思うんです。離れていくお客様がいるということは、新しいお客様をその分担当できるということ。過去の自分に縛られている方ってすごく多いのですが、新しいことが舞い込むように前を向くのが大切だと思います。お客様がいなかったら、誰かのヘルプをやってみるとか、お店の中でできることってたくさんあるんです。そこで新しい出会いが生まれたり、何か新しい情報が得られるかもしれない。思考がマイナスになるとそこで停滞してしまいますが、少しでもチャンスを広げられるように自分側が柔軟になれば、きっかけはたくさんみつかると思うんです。
人に会う、誰かの意見を聞く
視野を広げることで新しい価値観に出会える
あとは、今回のセミナーみたいに、違うサロンの方のお話を聞いたりするのも、視野が広がりますよね。自分もそうなんですが、お母さんになるとやっぱりコミュニティって狭くなりがちなんです。休みの日も子供とは一緒にいるけど、他の人に会わなくなってしまう。それはやめたほうがいいと思います。絶対に誰かに会ったほうがいい。誰かに会えない場合は、こういう記事を読んでみるのもいいですよね。新しい価値観に出会えれば、気持ちが軽くなったりすると思います。
ずっと美容師であり続けるために
オシャレすることを怠らない
あとは、セミナーでサトーさんも「おばさんになっちゃいけない!」っておっしゃってましたが、「美容師で居続けること」ですかね。具体的にはオシャレを楽しむことを忘れないということです。美容師だとわかるように、自分のことを装うことも大事だと思います。そういう気持ちを忘れてしまったら、お客様を綺麗にすることもできないと思うんです。常にマンネリにならないように、オシャレでいることは大切だと思いますね。
岡村智代(himawari)
1986年生まれ、新潟県出身。東京総合美容専門学校卒業後、都内2店舗を経て、2011年に『tuta project』入社。『蔦tuta』勤務を経て、2013年『himawari』オープン&店長に就任。